第七十八話 八番
新選組に新しく、隊としては最後の隊 八番隊が創られ、8に纏わる 皆さんご存知であろう、安藤 ユウコさんも登場してきます。面白かったら、幸いです。
時代は幕末、長く続いた江戸幕府の力も衰え、刀の時代も武士の世も終わろうとしていた。そんな中、火中の栗を拾い 江戸幕府と京都守護職になった会津藩 並びに、繋がりのある会津地方に味方する、奇特な侍の集団が京の都にいた。その名も、新選組。新選組は、京の都の治安を守るのはもとより、京の都の景気まで 潤す、頼もしき侍たちであった。そんな新選組 局長に、ガキ大将がそのまま大人になり、いつもふざけては人を笑わしている北野 武。新選組 副長に、良くも悪くも名前が売れ、鬼の副長と呼ばれるようになった 未だ少年の俺 土方歳三。一番働く一番強い 一番隊 隊長に、街を歩けば黄色い声援の飛ぶ 色男にして、世界一の武器の使い手 俺より四つ歳上の斎藤一。一番隊 隊員に、未だ少年で スピードなら世界一の天才 沖田総司。死に番と呼ばれる 名を名乗ってから踏み込む新選組の流儀に法り、すぐ死人の出る 四番隊 隊長に、歳の頃なら 局長と同世代だと思われる、『天然理心流』の師範 近藤勇。四番隊 副隊長に、近藤さんの用心棒で 無口な野口君。新選組の屯所内で暮らしていた、百姓二人を天国へと導き 満を持して新選組 最後の隊 八番隊に入るのが、沖田の保護者を自認する 井上源三郎だ。そして侍を志し、もうそろそろ見習い卒業予定のガキンチョ2人、安藤 ジュンヤに 口の聞けないリュウスケが居て、新選組問わず 子供に学問を教えている 北野 勝君などがいる。
新選組の道場で、局長の北野 武君や近藤さん等と、新選組最後の隊 八番隊の創設の話し合いをする。
「じゃあ 源爺、満を持して 八番隊 隊長だな」と俺。
「はい。精進、致します」と源爺。
「土方殿!土方殿が一番隊と行動を共にしているように、おいらも どこか他の隊と行動した方が、いいんじゃないかい?」と北野局長。
「うん、まず 一番隊は 斎藤さんと沖田しかいないから、強いし 話も通る。わざわざ名乗ってから踏み込む 死に番も、なんのそのだ。で、近藤さんが隊長をしている四番隊は、死人がよく出る。四という数字が、死人番号と呼ばれ始めてきたしね。因みに、一番隊と四番隊以外の隊は、今のとこどうでもいい。北野局長が、一番隊と行動を共にしたら邪魔だ。四番隊と行動したら、下手をしなくても死ぬ。なので、北野 武君は、今まで通り 人を笑わせながら、局長としてデーンとしててくれ」と俺。
「ひえーっ、おいらじゃ死人か…。分かった。今まで通りでいくよ」と北野局長。
ここで 、あまり勉強をする気のない、安藤 ジュンヤ君が話しかけてきた。
「トシさーん!八番隊を作るなら、僕もリュウスケも 八番隊ですか?」
「うん、確かに安藤君もリュウスケも、もうすぐ見習い卒業だけど 2人が入る隊は、八番隊ではない。新選組 最後の隊 八番隊の役目は後方支援だからね。ガキンチョ2人はもう少しだけ、学問と武道に励みなさい」と俺。
「リュウスケ、ダメだった…。」と安藤君。
「げらげらげら笑!安藤先輩は、まだ 見習い」と北野局長。「武さん!僕やリュウスケの方が、先輩なのですからね!」と、北野局長は 安藤君に、追いかけ回されている。
それを見て「がはははは笑!」と、近藤さんも笑っている。
大抵 新選組の玄関にある二つの座椅子に、門番がてら 俺か斎藤さんが居るが、そんな斎藤さんから客人が来たとのこと。俺に客人かと、玄関へ行くと歳の頃 二十歳そこそこの美人で仕事も出来そうな女性がいた。
「新選組 副長、土方歳三だ。名を名乗れ」と俺。
「安藤 ユウコと申します。あの威風堂々たる行進を目の当たりにして、とにかく新選組の為に、働きたいです。どうかよろしくお願いします」と女性が名乗る。
「安藤という名字は、安いに藤で安藤か?」と俺。
「はい!」
「安藤さん?安藤さんは、才能もあるだろうし実力もあると思う。でも、新選組は男所帯で、女性はいないんだよなぁ。安藤 ユウコさんなら大丈夫かもしれないけど、男ばかりの所へ女性が入ると、要らぬ争いが生まれたりするのも確かだ。斎藤さん的には、どう思う?」と俺
「副長、大丈夫じゃないですか。この女性は、将来 有名人になるでしょうし」と斎藤さん。
「8だよな」と俺。
「8です」と斎藤さん。
「まあ、斎藤さんがいいなら、俺もいいや。ただし、安藤 ユウコさん。自分の身は、自分で守るですからね」と俺。
「はい。私は、薙刀も得意です!」と安藤 ユウコさん。
「じゃあ八番絡みで、新選組の幹部たちが道場に居るから、新選組入りの了解を取りに行こう」と俺。
斎藤さんは門番のままで、俺と安藤 ユウコさんとで、道場へと向かう。
道場へ到着すると、一同 安藤 ユウコさんの美貌に、目を奪われる。
「新入り予定の安藤 ユウコさんだ。新選組に入ることについて、俺と斎藤さんの許可はある。あとは北野局長と近藤さん、其れと源爺と安藤繋がりで、安藤 ジュンヤ君の許可を得たい」と俺。
「安藤 ユウコと申します。どうか新選組で、働かさせてください」
「おうっ、おいらとしては新選組入りは、許可出来るな。仕事も出来そうだし、ピンと来るものを感じるしな」と北野局長。
「私としても、新選組入りは大丈夫です。了承いたしました」と近藤さん。
「まずは、私が名乗ってからですね。新選組 八番隊の井上源三郎と申します」
「源さん?」と驚く、安藤 ユウコさん。
「はい。永らく沖田君の保護者をしていて、トシ君からは源爺と呼ばれています。安藤 ユウコさんと再び巡り会えて、光栄です」
「私もです。新選組に、源さんがいるなんて!」と、喜び嬉しそうな 安藤 ユウコさん。
「何だ、源さんの知り合いかい?」と北野局長。
「はい。古い馴染みの女性です」と源爺。
「おうっ、それなら大丈夫だな。あとは、ガキンチョの方の安藤 ジュンヤ先輩の許可だけだな」と北野局長。
「別に女性が新選組に入るのはかまわないけど、僕の方が先輩ですからね。安藤という名も、僕の方が先ですからね」と安藤 ジュンヤ。
「フフッ笑。はい!」と安藤 ユウコさん。
「じゃあ源爺もそうだし 安藤 ユウコさんも、新選組 最後の隊 末広がりの八番隊を、まずは2人で始めてみてくれ。八番隊の任務は、後方支援だけだけどね。あと安藤 ユウコさんの方は、学問の先生もしてくれ。特に歴史は、実際のところと教科書の中身が、違ってたりするからね。学問は、新選組の子供問わず 北野 勝君が教えているから、改良してみてくれ」と俺。
「分かりました。新選組には、北野 勝様まで、いるのですか?」と安藤 ユウコさん。
「ああ。おいらの弟だよ。勉強しか出来ないけどな」と北野局長。
「トシさーん!北野局長よりも、安藤 ユウコさんより先輩の、僕とリュウスケは何番隊ですか?」と安藤 ジュンヤ。
「八番隊は出来たばかりだし、後方支援だけだからな。ジュンヤ、一番働いて一番強い隊は、何番隊だと思う?」と俺。
「四番隊は、すぐ死人が出るし…。多分、一番隊が一番です!」と安藤 ジュンヤ。
「じゃあ一番かっこいい一番隊に入れるように、もう少しだけ 稽古を頑張ろう」と俺。
「トシさん、もう少しだけですからね」と安藤 ジュンヤに、念を押される。
「ああ、約束する。俺は京で、俺の宝物を見つけたからね」と俺。
源爺が安藤ユウコさんを、新選組内を案内して この日はお開きとなった。
《だーっ、2017/05/18今現在 東 清二として、最後の最後の人生を送っている俺は、毎日毎日 何をやってるんだ俺は?ただのアホなんじゃないか?と思いながら、日々を過ごしている。俺が避けていた恐れていた最低最悪の人生を、想定以上の最低最悪の状態で経過している。50歳が寿命だとしても、寿命まであと15年もある。確かに、全宇宙の支配者 クソ大和田も その側の人間たちもいない場所へと、俺はたどり着いた。でも其処には、当たり前かもしれないけど 俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫も居なく、俺の側の人間たちもいない。あとは、念能力だけ。念能力さえ復活すれば、不死身のクソ大和田も完全に消せるし、そうすれば俺の元々の称号 幸福の王子様としての働きも出来る。俺の両手 いっぱいに、念能力を!》
こうして、新選組に新たに後方支援部隊として、八番隊が創設された。そしてその新選組 八番隊に、皆さんもご存知であろう 安藤 ユウコさんが加わった。8に纏わる女性のね。新選組には、一番隊 四番隊 八番隊の他にも隊はあったのだけど、今の朧げな俺の記憶じゃ、他の隊のことは覚えていない。多分、あまり興味が当時俺にはなかったのだろう。次回の話は、京を動かす 斎藤屋敷が、どうにかなります。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!