表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「副長、土方」  作者: 東 清二
64/192

第六十四話 北野

壬生にて、皆さんもご存知であろう北野と名乗る男が、姿を現わせます。まだ、顔見せ程度ですが。

俺の名は?土方歳三ひじかたとしぞう壬生みぶという地名の場所で、着々と建設作業をしている。大人数の住める屯所は、もう出来た。豚と牛を飼育する小屋も、沖田総司おきたそうじ井上源三郎いのうえげんざぶろうの手によって、完成した。そして 強き漢達を創る、『天然理心流てんねんりしんりゅう』の新しい道場も、近藤勇こんどういさみ野口君ぐちくん等の手によって 完成間近だ。何もかも、建築資材や大工たち、他にも お金 米 酒などを用意してくれた、斎藤一さいとうはじめのおかげだ。これからさむらいを目指す、まだ ガキンチョの安藤あんどう ジュンヤとリュウスケも、好奇心と崇高な者を目指すことに、目をキラキラ輝かせている。そんな中での話。


俺は、二階建て以上の屯所を完成させ、厠も池も作ったので、竹林を工夫して 忍者対策の罠を作ることにした。沖田おきた源爺げんじい、それに安藤あんどう君とリュウスケも、俺と一緒に竹林にいる。

「トシさーん!次は、何をすればいいですか?」と安藤あんどう君。

「うん。ここが攻め込まれても大丈夫なように、プールがわりため池も作ったから、あとは念には念を入れて 竹林に罠を作る。手伝うか?」と俺。

「はい!」と安藤あんどう君。リュウスケも頷く。

「それじゃ まずは、細い竹はしならせ固定しておく。尚且つ、固定を解除すると ボヒヒーンと、入って来る敵にダメージを与えられるようにね」と俺。試しに俺が、見本を見せて 先を縛った竹の固定を刀で斬ると、竹はボヒヒーンと元の位置に すごい勢いで戻る。

「すげえ!僕も、やってみたいです」と安藤あんどう君。リュウスケと一緒に、竹の罠作りを始めた。


「じゃあ 沖田おきた源爺げんじいは、しなりようのない太い竹を、膝より低い位置で斜めに叩き斬ろう。踏んだら大怪我をするようにね。ため池もあるし ここまでしなくてもいいかもしれないけど、夜中に忍者の組み合わせだと、厄介だったりもするからね。源爺げんじいはともかく、沖田おきたに太い竹、斬れるかな?」と俺。

「ウキーキキッ!」と沖田おきた。どうやら、やる気になったみたいだ。

沖田おきた君、トシ君のオンボロ刀だと こんな太い竹を斬ったら、刀が折れてしまうかもしれないので、斎藤さいとうさんの用意してくれた刀で斬りましょう」と源爺げんじい

やる気になった沖田おきたは、太い竹細い竹 関係なく 御構い無しに叩き斬っていく。

沖田おきた、それじゃ見晴らしが良くなり過ぎてしまう…。無駄にやる気にさせた、俺がいけないのか…。〉

安藤あんどう君もリュウスケも、足元にも 竹製の、罠を作ったので 踏まないように注意するように」と俺。

「うわー、罠が 知らない間に、こんなにたくさんある。危なく、踏むとこだった」と安藤あんどう君。

「まぁ 安藤あんどう君もリュウスケも、まだ 背が小さいので 転ばなきゃ大丈夫だよ。斜めに斬ってある竹は、大人が踏む用に作ってあるからね」と俺。

「うわー、僕たちは まだガキンチョだったー。早く、大きくなりたい」と安藤あんどう君。

そうこうしてると、来客があるとのこと。責任者は誰だ?となり、俺が対応することにした。


その来客は、中年の大人の男で イメージとしては、ガキ大将がそのまま大人になると、こういう大人になるといった印象だ。髷も結ってなく、かといって 一般人でもない。強さと面白さを、兼ね備えている。そんな男が、目の前に居る。

「俺の名は、土方歳三ひじかたとしぞうだ。名を名乗れ!」と俺。

「ひじかた としぞう!ひえー、おっかねえ。おいらの名は、この時代じゃ 誰も知らないだろうけど、名字は 北野きたのだ。名前の方は、ちょっと教えられないな」と、北野きたのと名乗る男。

「この時代でも、俺はピンと来てるけどな。東西南北の北に、野球の野で、名字は北野きたのだろう?」と俺。

「おうっ、おいらのことを、知っているかもしれないんだな。おっかねえ。今日は、御礼を言いに来たんだ。おいらのところで扱っている建築資材や大工たちが、凄いお金を頂いている。この時代 そうそう、こんなに有難い仕事ないからな」と北野きたの

「どういたまして。ただ それだったら、俺じゃなく 斎藤さいとうさんの手柄だな。お金も物も者も、用意したのは、斎藤さいとうさんだからね」と俺。

「じゃあ、その斎藤さいとうという男に、御礼を言えばいいんだな」と北野きたの

「ああ。ここで待ってたら、そのうち来ると思うよ。京の都で生きるなら、この時代は斎藤一さいとうはじめの名を覚えていて、損はないと思う」と俺。


持っている男なのか、タイミングよく 斎藤さいとうさんと、何故か 仏教の高僧 久米くめさんも、やって来た。

斎藤さいとうさん!壬生みぶの開発の事で、この名前は教えられない 名字は北野きたのという男が、御礼を言いたいらしい。斎藤さいとうさんも生臭坊主なまぐさぼうずも、この名無しにピンとくるだろう?」と俺。

「はい。斎藤一さいとうはじめと申します。以後、お見知り置きを」と斎藤さいとうさん。

久米くめと申します。多分 私のことも、顔と名前が一致するのではないですか?」と久米くめさん。

「さいとう はじめに、久米くめ!両方とも、おいらでも知っている 有名人じゃねえか。オマケに、最初に顔を出したのが、ひじかた としぞう!ここ壬生みぶは、どうなっているんだ?」と北野きたの

「とりあえず名前を教えられない、名字が北野きたのの男。斎藤さいとうさんに御礼を言ったら、帰っていい。か、俺たちに、北野きたのと名乗る男が、合流してもいい。考えといてくれ」と俺。

「おうっ、それもいいな。じゃ 、さいとう!建築資材と大工たちの給金の件、ありがとな。おいらも、ちゃんとしなきゃな。それじゃあ」と言い、北野きたのと名乗る男は 帰って行った。


「トシさん、北野きたのさんって なかなかの大物ですよね?」と斎藤さいとうさん。

「ああ。斎藤さいとうさんにも、生臭坊主なまぐさぼうずにも、負けないぐらいな。北野きたのって名字は 本名だし、俺たちと一緒に さむらいをやってってくれたら、すげえ 有難いんだけどな。久米くめさんも、北野きたのと名乗る男の顔と名前ぐらい知ってるだろう?」と俺。

「はい。確かに大物です。勿論、顔と名前も全部、知っています。さすがにトシ君たちと一緒に居ると、こんな時代にこんな出会いがあるのですね」と、しみじみと久米くめさんが言う。

「まぁ 喧嘩売られた訳じゃないし、一緒にやっていけなくてもいいだろう。御礼を言われてるくらいだし。因みに、あの北野きたのと名乗る男とは、源氏と平氏の合戦場で、当時の俺は知り合った。源氏とか平氏の時代の合戦は、弓と刀しかないので そうそう人は死なないし、つまらなかったので 赤と白の組分けを北野きたのとかいう男に俺は合わせてた。義経よしつねは、混乱してたけどね。それでも通るぐらい、あの北野きたのという男は、大物だったりする。この感じだと、源義経みなもとのよしつねの生まれ変わりも、京都守護職として そのうち出てくるよ。うおっ、とうとう『天然理心流てんねんりしんりゅう』の新しい道場が、完成したみたいだ」と俺。


そこには、真新しいピカピカの道場があり、笑顔の近藤こんどうさんと、その隣に嬉しそうな野口君ぐちくんが居た。無論、記念に 会津地方あいづちほうの米と日本酒で宴会となり、ここまで頑張ってくれた大工さんたちと、飲めや歌えの大宴会になった。これをもって、さむらいとして壬生みぶで生きていく準備が、整えることが出来た。


《2017/01/08今現在 思い返してみても、俺が土方歳三ひじかたとしぞうとして生きていた時は、人脈に恵まれていた。まるでリレーのように、人と繋がることが出来ていた。それなのに、嫌だからこそなのか、今の俺は孤独に苛まれている。そして日に日に、憎しみと怒りに打ち震えている。ただ 俺の側の人間でも、今 俺の居る場所にたどり着けないぐらいじゃないと、全宇宙の支配者 クソ大和田おおわだ大和田おおわだの側の人間たちが、俺に会いに来てしまう。なので、孤独とはいえ 耐え凌ぐしかない。頼むから、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫かなひめ、会いに来てくれ。君が居るだけで、俺のこのクソみたいなゴミみたいな人生が、喜びに変わる。会いに来ることが、簡単じゃないことは分かっている。それでも、会いに来てくれ。あとは、いい加減に念能力 復活しろ!こっちは、ぶち切れてるからな》


こうして、皆さんもご存知であろう 北野きたのという男が、会いに来た。もう少し経てば、再び 登場してくる。そして、俺のひがし 清二きよじとしての、最後の最後の人生にも、慶應義塾大学付属小学校の受験の時に、北野きたのは娘と口喧嘩しながら、俺に遭遇した。小和田おわだ ブタ子と一緒に居た俺は、北野きたのの娘に泥をひっかけられた。慶應義塾大学付属小学校なんかに 興味のなかった俺は、合格すれば北野きたのと繋がりが持てるのは、魅力だった。なので面接で、バク宙を披露しておいた。ただ 慶應義塾大学付属小学校の人間に、俺か北野きたのの娘、どちらかしか合格させないと言われ ダメになったけどね。次回の話からは、浪士たちが わらわらとやって来ます。ただ、詳しい名前までは覚えていないし、思い出してもいませんが。さて、どうなることやら。以上。

読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ