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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第六話 大奥

江戸城に居座ってるところです。

第六話 大奥

                   リュシフェル

宙ぶらりん宙ぶらりん。江戸城内でやることがない。みんな俺のことを見て見ぬふりをする。この子に将軍になる資格があるのかと。ご家老は説得にあたり、頑張っている。でも俺のために頑張っている人がいるのに自分は何にもできないのは正直、しんどい。しかも、肝心の唐沢師範は三日も子供達の顔を見てないとやってられないと言って、寺子屋へ行ってしまった。たくっ。さて、「大奥」ですが誰も見てくれないなら入っちゃおっと。でへへ。


大奥につながる部屋にはとても大きな鍵がかけられていた。そして簡単に開けられた。盗人の極意。てへ。

 とうとう大奥に潜入。紐でつながれた鈴がいっぱいある。ためしにゆすってみた。割と大きな音色が鳴る。急ぎ足の足音が聞こえてくる。どこが盗人?

 お歯黒に白塗りの女性達が我先にとひざまずき始める。誰も俺の顔を見ない。好都合?

「あのー、迷子なんですけど」ちらほらと思わず笑い声、そして驚きの声。だって将軍じゃないんだもん。おののく女性達。

「ふーん。大奥ってこんなとこなんだ」もう飽きた俺。

「私は大奥総取締役のものでございます。あなた様はどなたですか?」

「ただの迷子です。あのー聞きにくい事なのですが、何でそんな化け物みたいな化粧をしているのですか?」

「そういう決まりでございます」

「普通にしてればいいんじゃない。わざわざ女をすてなくても」

「そう思われますか?」

「うん。次に俺が来るとしたら、好きなように生きててほしいな」

「かしこまりました。意見のひとつということで。本当に迷子なのですか?」

「いやー、それほどでも、でへへ」

「褒めておりません。迷子でしたら、後ろの扉よりお戻り下さい」

「はーい。好きなように生きる、考えておいてくださいね」撤収。大奥の間を出て、また鍵を閉めなおす。これも盗人の極意、かな?


「トシさん。どこへ行ってたのですか?」ご家老に見つかる。

 ちなみにこのころ俺はご家老には「トシ」に敬称の「さん」を付けて「トシさん」と呼ばれていた。

「ちょっと大奥まで。でへへ」正直な俺。

「トシさん。入らないで下さいと言っておいた筈ですよ」

「すいません。宙ぶらりんすぎて、だって誰も相手してくれないんだもん」

「分かりました。しょうがないですね。明日にも上様が来るとの事です。お見知りおきを」

「はーい、ぶっ飛ばせばいいんですよね?」

「お好きなように。トシさんには自由が良く似合います。ご自由に」

 ご家老が退席し、唐沢師範がやって来た。もうすぐ将軍がやって来るということでさすがに顔が引き締まっている。

「トシ、上様が明日にも来るという話だが」

「ご家老に聞きました。それより唐沢師範、大奥に行って来ました」

「トシっ本当か?どうなっていた?」

「それは言えません、でへへ。ただ、あの人たちも自由に生きられたらなとは思いました。今度、機会があったら一緒に大奥行きますか」

「それもいいなー、トシ。明日を乗り切れたらな。私も、頑張ってみるからな」

「はい、ほーい。唐沢師範、もし駄目でそれでも生き残れたら、お互い自由に生きていきましょう」

「分かった。トシが言うと自由は良い響きだな」

「いやー、それほどでも。でへへ」

 勝手に江戸城内に居座り自分には将軍の資格があると言う。しかし、とうとう上様が来るという。さて、どうなることやら。以上。



よろしければ続編も、楽しみにしていてください。

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