表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「副長、土方」  作者: 東 清二
59/192

第五十九話 久米

久し振りに再会した、仏教の高僧 久米さんとの話しです。

俺は 豚の鳴き声で、目を覚ました。ここは、東本願寺の程近くにある 新居だ。その一軒家の隣に、豚小屋がある。そして最近、豚を飼い始めた。鳴き声は、豚小屋からだろう。はっ!?伝えておかなくては。俺の名は、土方歳三ひじかたとしぞうさむらいを目指している。そして、今 東本願寺の程近くの新居で一緒に暮らしている者が、沖田総司おきたそうじ井上源三郎いのうえげんざぶろうだ。沖田おきたは、俺と同い年の少年で 俺が目指しているからか?さむらいを目指している。それを優しく暖かく見守るのが、井上源三郎いのうえげんざぶろう 通称 源爺げんじいだ。そして 他の仲間に、俺の親友 斎藤一さいとうはじめ、『天然理心流てんねんりしんりゅう』の師範 近藤勇こんどういさみ近藤こんどうさんの用心棒 野口君ぐちくんが、うちとは別の斎藤屋敷にいる。


俺は 井戸で顔を洗い、豚小屋の様子を見に行く。そこには、どんだけ早起きをしたのか、東本願寺の坊主見習い 安藤あんどうくんとリュウスケ君が居た。

「おはよう、安藤あんどう君にリュウスケ君。今日は、豚の解体と調理をする。それにしても2人とも、まだ 朝陽が昇ったばっかしなのに、何で もうここにいるんだい?」と俺。

「何て、お呼びすればいいですか?」と安藤あんどう君。

「俺の、呼び名か。トシと名乗ることが多いので、それに さん を付けて、トシさんでいいよ」と俺。

「じゃあ、トシさん!トシさんのお陰で、僕とリュウスケをいびっていたいじめていた奴が、破門になりました。嬉しすぎて、夜が明ける前から 豚小屋の前に、居ました。どうもありがとうございました!」と安藤あんどう君。リュウスケ君も、頭を下げる。

「そうか、それは良かった。安藤あんどう君もリュウスケ君も、豚小屋に来たついでに、豚肉でも食っていかないか?」と俺。

「はい!」と安藤あんどうくん。


沖田おきた源爺げんじいが起きてきて、予定通り 豚の解体と調理をする事になった。

「トシ君、一太刀入れてみますか?」と源爺げんじい

「うん。豚の首を、叩き斬ればいいのか?」

「はい」と源爺げんじい

1匹だけ、豚を豚小屋から出し、俺は逃げ回る豚の首を斬る。なかなか 上手く斬れた。豚は勿論だけど、途端に動かなくなり、生々しい血の匂いがする。あとは源爺げんじいが、テキパキと、豚をブロックごとに切り分けていく。その過程で、豚の腹からは湯気が出る。

「ひゃー、豚から湯気が出てる」と、驚いた様子の安藤あんどうくん。リュウスケも、驚いている。

「うん。さっきまで 生きていたからね。それと生き物が生き物を食べるといっても、牛 豚 鳥は、人間が食べてもいい。俺の宝物 哀姫かなひめの許可を取ってある。あとは、美味しくいただけるかどうかだけだ」と俺。

「かなひめ?」と安藤あんどう君。

「動物が大好きな、俺の宝物の名前だよ。正式な名前は、ピノコ・ナディア・哀姫かなひめ。俺の人生には、そのうち登場してくるよ。安藤あんどう君の人生では、わからないけどね」と俺。


そんな中、源爺げんじいが「豚肉は、ちゃんと火を通さないといけないですからね」と、肉を焼き始める。沖田おきたは、なぜか 嬉しそうに、それを見守っている。煙がもくもくと上がる中、本願寺の坊主とは違うと思われる 坊主が「狼煙が上がりましたね」という、謎の言葉で来て、立ち去っていった。俺も沖田おきた源爺げんじい安藤あんどう君もリュウスケも、みんなで「美味い美味い」と 焼きたての豚肉を食らう。そこに昔懐かしの、坊主は坊主でも 生臭坊主なまぐさぼうずが、笑顔でやって来た。


「初見の人もいるだろうから、生臭坊主なまぐさぼうず 名を名乗れ」と俺。

「本願寺とは別の、仏教の高僧をしている 久米くめと申します。幼い頃のトシ君と、一緒に旅をし お互いを認め合った仲です」と久米くめ

「確かに、認めた。じゃあ まずは沖田おきた生臭坊主なまぐさぼうずに挨拶して」と俺。

「ウキッ!」と敬礼する沖田おきた。きっと、沖田おきたなりには挨拶をしたのだろう。

「じゃあ、沖田おきたの挨拶は、終わりで。久米くめ、天才中の天才 沖田総司おきたそうじだ。俺が ずっと以前に、名付けた名前だ。沖田おきたに関しては、これから活躍するだろう」と俺。

沖田総司おきたそうじ!確かに、これから活躍する名の少年ですね。よろしくお願いします」と久米くめ

井上源三郎いのうえげんざぶろうと申します。沖田おきた君の保護者をしております。今回の人生では、長生きをして トシ君や沖田おきた君、それと斎藤一さいとうはじめさんの活躍ぶりを、楽しみにしております。よろしくお願いします」と、丁寧に頭を下げ 挨拶する源爺げんじい

久米くめと申します。坊主のくせに、酒も好きで女性も好きで、その結果 トシ君からは、生臭坊主なまぐさぼうずと呼ばれています。ただ 坊主なので、殺生は決して致しません。よろしくお願いします」と、こちらも丁寧に頭を下げる 久米くめ

「俺は ついさっき、豚を殺したけどな。あと生臭坊主なまぐさぼうず、俺の名が 土方歳三ひじかたとしぞうに決まったから、覚えておいてくれ」と俺。

土方歳三ひじかたとしぞう!トシ君、その名も この時代、活躍する人の名前ですよ。トシ君、それとこの子供達は?」と久米くめ

「ああ。本願寺の坊主見習いのガキで、口が聞ける方が安藤あんどう君。口が聞けない方が、リュウスケ。最近、痛ぶられたり虐められるのを、脱却したばっかだ。そう言えば 生臭坊主なまぐさぼうずは、子供好きだったな」と俺。

「はい。子供好きなのは、昔から変わりません。2人とも トシ君と一緒に、私と仏教の高僧を目指しませんか?」と久米くめ

「だから 何で俺が、仏教の高僧を目指す事になってんた。俺は、さむらいを目指すと決めた以上、さむらいになる。ただ 安藤あんどう君もリュウスケも、久米くめの存在は知っておいた方がいい」と俺。

「はい」と安藤あんどう君。リュウスケも、頷く。

「じゃあ、豚肉を美味しくいただこう」と俺。


豚肉を頬張りながら、俺は 久しぶりに会った、久米くめと語らいあう。

「よくここが分かったな。久米くめっちは、京に居たんだな」と俺。

「はい。京の都の、寺院のネットワークを舐めないでください。斎藤一さいとうはじめさんが京へ来て 活躍し、もしかしたら トシ君も、京へ来るのではないかと、心待ちにしていたところです」と久米くめ

「そう言えば、本願寺の坊主じゃない坊主が、様子を見に来てたな。そいつが、生臭坊主なまぐさぼうずの手の者だったのか。まぁ いいけど。俺たちは、当分 京の都に住む事になるから、よろしくな 久米くめっち」と俺。

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。トシ君たちは、ずっとこの一軒家に住むつもりなのですか?」と久米くめ

「そのうち、引っ越すよ。いいところが、見つかったらな」

「トシ君たちが、お坊さんになると言うなら、是非とも うちを紹介するのですけど」と久米くめ

「途中で死んでもいいから、俺は さむらいになるよ。この人生では、それだけはぶれずに続けるよ」と俺。

「かしこまりました。ただ この一軒家では、手狭でしょうから 引っ越す時は、念のため 連絡をしてください」と久米くめ

「了解しやした」と俺。

そして この日は、思う存分 豚肉を食べ、久米くめとの再会を祝って、宴会をした。まったく 俺たちは、事あるごとに 宴会をしているな。


久米くめさんか。子供好きで 念能力者で、この後 日本一のニュースキャスターになった男だ。実績もあり結果も出し、俺のプレゼンの後、俺の側の人間になるかどうか、選べる立場だ。あとは、俺が念能力者に ならなくては。ずっと、待たせてるから。なんか2016/11/09のここ最近、何で俺が念能力を失ったのかを、思い出している。そして、怒りと憎しみの感情が、日に日に増大していく。せめて 天使の基本装備、真実の眼があれば…。どうしたら念能力を、再び手に入れられるか 分かるのに。まぁ いいや。とっとと 眠ろうっと。あと、15年。まともな生活をしてこなかった俺には、長くても寿命は、あと15年ぐらいしかないだろうからね》


こうして 巡り合わせなのか、京の都で 再び久米くめさんと、再会した。良くも悪くも ではなく、人脈としては 有難い。久米くめさんは坊主で、俺はさむらいを目指しているが、この後も 不思議と接点がある。しかし 久米くめっちは、いつの時代も ちゃんとお金持ちになれるんだよなぁ。次回の話、さむらいになるための道が、加速していきます。さて、どうなることやら。以上。

読んでいただき、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ