第五十七話 住処
本編と、今現在の俺が 何で念能力を失ったかと、不幸の使者 高倉健の話しです。高倉健が死者になってくれて、有難い。これで、会いに来られる心配がなくなった。それでは 長編になりましたが、お楽しみください。
俺の名は…、土方歳三。漢字二文字づつの、自分で付けた名前だ。もう1人、漢字二文字づつの名の少年がいる。その名は、沖田総司。この名も、俺がずっと以前に 考え、付けた名前だ。そんな 沖田も俺も、侍を目指し 京まで、やって来た。先に 京の都に入り、下準備をしていたのが、斎藤一だ。斎藤一という名は、斎藤さんが、自分で考え付けた名前だが、相変わらず 名前のネーミングセンスが悪い。他に 沖田をいつも暖かい目で見守る、井上源三郎 通称 源爺や、もはや すでに侍ではないか?という『天然理心流』の道場主 近藤勇さんや、その近藤さんの用心棒 野口君で、京の都にある 斎藤屋敷で、今後の作戦会議をしているころだ。
「とりあえず 斎藤さんのおかげで、当分の金はある。米にも日本酒にも、困らない。ならば、住処をどこにするかだ」と俺。
「トシさん、ここ斎藤屋敷じゃ 駄目ですか?」と斎藤さん。
「うん。ここでも 良いのだけど、斎藤屋敷は、斎藤さんの私事 プライベートで使いなよ。俺や沖田には、まだ早いかもしれないけど、そろそろ斎藤さんは 女を作らなきゃ。せっかく歴史と伝統を大事にしながら、オリジナリティあるお洒落さんなんだからね」と俺。
「恋愛か…。考えても、いませんでした」と斎藤さん。
「あと斎藤屋敷は、諜報とか秘密を守る場所として、機能させればいい。もちろん良い場所が見つかるまでは、俺たちも 斎藤屋敷に居させてもらうけどね」と俺。
「かしこまりました。どこだったら 住みよいか、探すことにしましょう」と斎藤さん。
斎藤さんの案内で、京の都を歩く。沖田は、久し振りに斎藤さんに会えたのが嬉しいのか、「ウキウキ」言いながら はしゃいでいる。それにしても、京は 寺社が多い。
「斎藤さん。戦国時代に、やたら鉄砲の強かった 宿敵 本願寺家も、京にまだあるかい?」と俺。
「西本願寺も東本願寺も、まだ ありますよ」
「西と東か。じゃあ、そのどちらかで いいんじゃないか?俺や沖田 斎藤さんのいた、織田家の敵だったけどね。その分、好きに自由にできる。後腐れもないしね」と俺。
「西本願寺と東本願寺、どちらにしますか?」と斎藤さん。
「近くに、空き家や空いてる土地がある方で」と俺。
「それなら、東本願寺です」と斎藤さん。
また 斎藤さんに付いて、東本願寺に着く。東本願寺は 大きな寺で、確かに空き家と思われる物件と空いている土地がある。
「よしっ、この空き家を改装して、当面の住処としよう。ここだったら、雨風ぐらいは しのげるだろう。俺が家を改装するので、沖田は隣に 豚小屋を作ってくれ。どちらが早く 良いものを作れるか、勝負だ 沖田」
「ウキッ!」と沖田。了解したみたいだ。
「トシ君、家は分かるのですが、豚小屋も作るのですか?」と源爺。
「うん。豚がいると、生ゴミが出た時に 豚が食べて処理してくれる。そんな豚を食べる時に、ついでに刀の試し斬りも出来る。一石二鳥だ。もちろん豚を飼育すると 臭くなるので、遅かれ早かれ 東本願寺の者には、立ち退きが求められるだろう。金を積んでもらったら、出て行こう。経験値として、豚を飼いたい」と俺。
「かしこまりました。先ずは 、木材と大工道具ですね。トシ君と沖田君が、大工仕事で勝負ですか。それは、楽しみです。木材と大工道具は、私が調達してきます」と源爺。早速 源爺は、斎藤さんと一緒に どこかへ向かう。
木材と大工道具が到着し、俺が空き家の改修を、沖田が豚小屋の新設をする。
「建物を建てる時は、先ずは基礎工事をしっかりしなくてはならない」と、俺が土台の基礎工事をしていると、「ウキーッ!」と沖田がやって来た。
「何だ、もう豚小屋 出来たのか?」と俺。
「ウキッ」と頷く、沖田。俺が見に行ってみると、応急修理はしてあるけど、見すぼらしい豚小屋がある。
「沖田、そりゃあ 最終的には 美味しく食べるけど、豚だって生き物なんだ。早く終わらせることが、必ずしも正しい訳ではない。試しに、前蹴りをしてみると」と、俺が豚小屋に 、前蹴りを入れると 豚小屋は崩れる。
「ほらね、沖田。ちゃんとしたものを作らないと。木下藤吉郎から、豊臣秀吉にまでなった 沖田なら、きっと 良い豚小屋が作れると思うんだ」と俺。
「ウキッ!」と沖田。了解したみたいだ。源爺と、打ち合わせから 始めている。
侍を目指しているくせに、長らく建設現場で働いていた俺は、大工仕事も手慣れたもので、何とか 空き家を、人が暮らせるところまで 作り変えた。一呼吸を置いて、隣の豚小屋を見ると、頑丈そうな立派な豚小屋が出来ていた。天才中の天才、沖田総司と それを助ける源爺、恐るべし。
近くの井戸で 水を浴び、改築記念に宴会をしようとしてる時、歳の頃 10歳前後の頭を丸刈りにした、お坊さんの見習いと思われる、少年が2人こちらへ来た。そして「あのー、ここで何をしているのか 聞いて来いと、言われて 聞きに来たのですが?」と、一歳ぐらい 年かさだと思われる少年に、尋ねられる。
「本願寺の坊主の見習いか?」と、俺も尋ねる。
「はい」と少年。もう1人の少年も、頷く。
「ここに越して来て、新居を改築し それを祝って、これから宴会だよ。本願寺の坊主に、よろしくと伝えておいてくれ」と俺。
「ウキッ!」と沖田。
「ここに、住むのですか?」と、先ほどの少年。
「ああ」と俺。
「ウキッ」と沖田。
「ちょっと待っててください!上の人に聞いて来ます」と少年。
「ああ、別に 構わないよ。ガキンチョ、名前は?俺が土方、こっちが沖田。そんでもって この優しそうな大人が、源爺。そして お洒落な人、斎藤さんだ。そっちは?」と俺。
「安藤 ジュンヤと言います。もう1人は、リュウスケと言います。よく分からないのですが、リュウスケは口を聞きません」と少年。
「安藤に、リュウスケだな。覚えておく。こちらは豚小屋で、豚を飼う予定だから 豚肉だったら、ご馳走してやるぞ。まぁ その前に、本願寺と揉め事になると思うけどな。ナハハハハッ笑!」と俺。
二人の子供は、とりあえず 本願寺へと帰って行った。
《安藤 ジュンヤも リュウスケも、この後、俺たちに関わってくる。そして 数百年のだいぶ後も、東京サレジオ学園という児童養護施設でも、俺と再会し 一緒に暮らすことになる。良いことなのかは、分からないけどね》
《2016/10/14今 現在、何で俺が 念能力を失ったかについてが、二週間ぐらい前から ずっと頭から離れない。なので 本編とは別に、35歳 日本人 東 清二として、思い出したことを書こうと思う。長くなると思うので、端的にね。なかった事にされてるけど、フジテレビのドラマ 【白い巨塔】に、週一で3年間 子役として、東 清二の実名で 出演してた。その時点で俺は、文太に会うか 12歳になる、のどちらか一つでも達成すれば 念能力を手に入れられた。そこにノコノコ、不幸の使者 高倉健がやって来た。そして高倉は、念能力者じゃない 俺に、念能力の師匠になってもいいと言い出す。当然、俺は断った。12歳になるか 文太に会えば、念能力者になれるのに、使い物にならない男 高倉の言うことを聞くと、その反動で 俺と俺の側の人間達に、甚大な被害が及ぶ。なのに 当時 高倉の女だった、田中裕子さんに、どうしても高倉に手柄を立てさせてくれと頼まれた。よって、俺は念能力者になった。結果としては、四日間だけね。知ってるかい?不幸の使者 高倉が現れると、不幸の王様で 全宇宙の支配者 大和田が現れる》
《そして、ちょっと大和田に 脅されただけで、高倉は 俺と俺の念能力を、クソ大和田に売った。あと当日を入れて、3日あれば 大和田も 大和田の側の人間も、完全にぶっ消すことが出来たのに!俺と俺の側の人間に 甚大な被害を与え、大和田に多大な利益を与える男 高倉。もはや 俺にとって、怒りと憎しみしかない》
《そんで 俺が、【白い巨塔】の後、福岡で極道たちの世話役をしていた。自分の才覚で お金を三億円とちょっと貯め、プロ野球のプロテストにも 合格し、俺の宝物 哀姫とも 一緒に暮らしていた時に、また 不幸の使者 高倉健が、性懲りもなく現れる。高倉は、俺が何度「東京へ帰れ」と言っても、「私には、行きたい場所も帰る場所もない」と言い、東京へ帰らない。すると、やっぱり不幸の王様で 全宇宙の支配者 クソ大和田が現れる。この時点で 高倉は、2つ大きな勘違いをしていた。俺が念能力者だと 思い込んでることと、高倉が、俺の側の人間だとも 勘違いしていた。この時点で 地球にいる、俺の側の人間に 念能力者は、1人もいない。そして いつものごとく、高倉は また失敗る。結果、高倉は 、俺と俺の側の人間たち それと福岡に、甚大な被害をもたらし「帰る場所もない」と言っていたくせに、念能力者のまま 都内の豪邸に帰って行った。そして 念能力者ではない俺は、念能力者で 全宇宙の支配者 クソ大和田に、全てを奪われた。もう、生きていく気力もない。実は俺は【白い巨塔】の後も、鳥取砂丘で 自殺を試みている。が、ラクダに見つかり、救急車で運ばれ 死ぬに死ねなかった。だから2016/10/17も、願っているんだ。俺の宝物 哀姫が、会いに来てくれることを!もう絶対に永遠に失わない、念能力を手に入れることを!そうすれば ここまで耐えたんだ、俺は全てを手に入れられる。欲しいもの全てをね》
こうして 新たな住処を作り、後々 関わってくる 安藤 ジュンヤとリュウスケとも出会う。はーっ、しかし ここのところずっと 何で俺が念能力者じゃないのか、頭の中でぐるぐる 思い出しているので、途中から 違う話になってしまった…。ある程度生きれば、誰でも手に入れられる念能力が、俺は禁止されている。念能力者になったら、全宇宙の支配者 大和田を消すのが、禁止の理由なんだけど。ちなみに高倉健も、そのうち 本編に出てきます。次回の話は、対本願寺とそれに纏わる話の予定です。さて、どうなることやら。以上。
読んでいただき、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!