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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第五十四話 進行

京で侍になる為の旅を、着実に歩んでいるところです。

俺の名は、土方歳三ひじかたとしぞうさむらいを目指している。同じく さむらいを目指しているのが、沖田総司おきたそうじ。普段は、明るく無邪気で ひょうきんな少年だが、戦闘モードのスイッチが入ると、とてつもなく強い。ただ、 そう簡単には闘わないし、沖田おきたには「逃げるが勝ち」を教えてあるので、人類史上最速の沖田おきたには、逃げ勝ってほしい。そして、俺の親友 斎藤一さいとうはじめは、一足早く 京へ向かっている。斎藤さいとうさんとは、手紙のやり取りをしてなく、連絡の取りようがないが、会津地方あいづちほうとつながりのある 強くて使える男 斎藤さいとうさんなら、大丈夫だろう。俺や沖田おきたと京へ向かうのは、沖田おきたの保護者を自認する 井上源三郎いのうえげんざぶろう、通称 源爺げんじいがいる。源爺げんじいは、優しくて強い男。それと、源爺げんじいがいると、沖田おきたが安心してはしゃぐ。源爺げんじいは、そんな信頼出来る男でもある。他にも 京へ向かう一行に、近藤勇こんどういさみ 野口君ぐちくんがいる。近藤こんどうさんは、頑強な身体をしていて 明らかに強い。刀を使っての実戦でこそ 力を発揮する『天然理心流てんねんりしんりゅう』の道場主でもあるから、そりゃ強い。そんな近藤こんどうさんに、用心棒が必要なのかという話だが、寡黙で 誰に向けられるか分からない 凄まじい殺意を潜めた 野口君ぐちくんが、近藤こんどうさんの用心棒をしている。これらが、さむらいに成る事を目指して、京へと向かっている。


「だーっ、腹が減った!」と俺。一日中 街道を、西に向かって歩き詰めだったので、試しに伝えてみた。

「ウキッ!」と沖田おきた。俺は、沖田おきたに 嗜まれる。沖田おきただって 腹は減ってるだろうけど、こういう時 沖田おきたは、ちゃんと我慢する。

「トシ君、沖田おきた君を見習ってください。京まで、なるべく早く 到着したいですからね」と源爺げんじい。相変わらず 源爺げんじいは、真面目で堅物だ。

「うおっ、沖田おきた!あそこに、美味そうな団子屋かあるぞ!」と俺。

「ウキ」と、沖田おきたは真面目な顔をして、先を急ぐ。

「あんな所に、美味そうな酒屋が!」と俺。

「がははははっ笑。飯休憩にしましょう」と近藤こんどうさん。

「メーシッメーシッ!」と俺。

「ウーキッウーキッ!」と、はしゃいで 俺の真似をする沖田おきた

「しょうがないですね、トシ君は…。沖田おきた君も、真似していい時と、駄目な時がありますからね」と源爺げんじい。うおっ、俺を見る 真顔の源爺げんじいの眼差しが、痛い。


ほど近くにあった 旅館で、飯を食べることになった。俺は、お酒も飲むけどね。

「よっしゃっ 、沖田おきた!早食い競争だ」と俺。

「ウキッ!」と沖田おきた。俺と沖田おきたで 早食い競争をしていて、ふと源爺げんじいの顔を見たら これはこれで、笑顔だった。なんだかんだ 源爺げんじいは、沖田おきたがご機嫌だと源爺げんじいも、機嫌が良くなるのだなぁ。


そんな中 近藤こんどうさんは、普通に食べていたのに、早食い競争をしていた 俺と沖田おきたより早く、平然と完食した。上には上がいるもので、頑強なガタイと大きな口をもつ 近藤こんどうさんは、凄いと痛感した。こういう人が、少なくとも武士というのだろう。俺じゃ、早食いでは敵わない。


ただ 俺は、ただの馬鹿じゃなく 大馬鹿なので「沖田おきた!早食い競争の次は、大食い対決だ!」と言い、本日は この旅館に泊まることが、決定する。「ウーキキッ!」と、沖田おきたも食べまくる。考えてみれば、『天然理心流てんねんりしんりゅう』の道場では、米と日本酒には恵まれたが、その土地その土地の美味しいものを食べることはなかった。その点、現地のものを食べれる この京へ向けての旅も、悪くはない。あとは、お金が足りれば いいのだけど。俺的には、山賊を倒したり ゴロツキを倒して、お金を補充しようと思っている。まあ、 命の危険を顧みず そんなことをする事を、源爺げんじいには警戒されてるけど。ちなみに沖田おきたは、正当な理由があれば、戦って お金やモノを手に入れることには 慣れているので、沖田おきた的には 問題ないと思う。あとは、源爺げんじいの倫理観を突破出来るかか。無論、戦わないにこしたことはないので、突破出来なきゃ 飢えればいいだけだ。俺は 飢え死にした回数、全宇宙史上最多だしね。ちなみに第2位が、俺の宝物 哀姫かなひめだったりする。生きたい気力がないと、そうなる。


俺は、沖田おきたとの大食い対決に勝ち ふと近藤こんどうさんを見やると、確実に俺の倍以上 食べていた。恐るべし、天然理心流てんねんりしんりゅうの使い手。近藤こんどうさんには、馬場ばばちゃんこ と言って、恐るべく満腹感のでる ちゃんこを食べてみてほしい。俺の限界中の限界が、馬場ばばちゃんこ どんぶり4杯だからね。かつて ジャイアント馬場ばばさんが、創り出したちゃんこなので、物理など 関係なく ある程度、ちゃんこ鍋の中身が少なくなると、新しい味のちゃんこが出てきて量が増える。馬場ばばちゃんの優しさは、本当の優しさ本物の優しさを 超えて突き抜けて、トロピカルに優しい。なので 近藤こんどうさんには、そんな馬場ばばちゃんの作る 美味しいちゃんこを、腹一杯 食べてみてほしい。


大食い対決が終わり、みんな お酒を飲み始めた。ただ さすがに日本酒だと、会津地方あいづちほうのお酒が一番美味しいかな。みんな順繰り お風呂にも入り、何だか いい時間だ。そして みんなお風呂に入り、騒ぎ過ぎないように 宴会が始まる。

「ふぃー、沖田おきた。俺より先に、死んじゃ駄目だぞ」と俺。酔いも深くなり、普段は言わない事を、伝える。

「ウキッ」と沖田おきた沖田おきたなりに、了解したみたいだ。

「トシ君は、死ぬつもりですか?」と源爺げんじい

「きっと さむらいって、どう生き どう死ぬかだろう。俺としては、死が日常にある 生活や人生を送ってきたので、さむらいになれたら、あとは死に場所さえ選べれば 十分かな」と俺。

「私は?」と源爺げんじい

源爺げんじいの場合は、俺や沖田おきた それに斎藤さいとうさんより、年齢がだいぶ年嵩だ。だからって、簡単に死なないでくれ。歳を重ねた分、知恵を振り絞り 生きてくれ。幸い 源爺げんじいは、ちゃんと健康に気を使っているし、少なくても 源爺げんじいが死んだら、沖田おきたが悲しむ。出来たら、破滅型の人生を送る 俺よりは、長生きしてくれ」と俺。

「かしこまりました。トシ君も、破滅型なんて言ってないで、ちゃんと自分を大切にしてください」と源爺げんじい

「どうやったら、自分を大切になど出来るのかが、分からん」と俺。

「ウーキッ!」と、沖田おきたが俺に、抗議してきた。しょうがないので、俺が沖田おきたにチョップをしたら、俺と沖田おきたのチョップの応酬になった。そうして、夜が更けていった。


《2016/09/07 今現在、何でこの星に 沖田おきた源爺げんじいが、居ないのだろう。沖田おきたは安全な場所へ、源爺げんじい沖田おきたに安心させると、作戦上仕方がないけれど、2人は 日本も勿論のこと、地球にもいない。沖田おきた源爺げんじいも、天国の異次元に居る。だけど 今より、未来を選んだ 俺にとって、もう俺の知らない出来事が 起きている。あとは、俺がちゃんと念能力を手に入れること。そうすれば、未来なんて 希望に満ち溢れていく。沖田おきたの心からの笑顔も、きっと もうすぐだ》


こうして 京へ、さむらいになるための旅の最中、俺は相変わらず 宴会をしている。それでも、前には進んでいる。そんな手ごたえがある。次回の話は、京へ向かう 旅の終わりの話です。さて、どうなることやら。以上。

読んでいただき、どうもありがとうございました。よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

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