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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第三十二話 卒業

俺と斎藤さんの、最強の座をめぐる 最後の争いの話です。

俺と斎藤さいとうさんと沖田おきたの江戸へ向かう旅も、関東圏に入った。もう幾日かすれば、江戸へ着くだろう。斎藤さいとうさんは 風邪が治り、心技体を鍛え直してるみたいだ。沖田おきたは、斎藤さいとうさんの風邪が治ってからは、「ウキウキ」と 喜んではしゃいでいる。

たまには 近くの道場で、汗を流そうと 道場に寄る。沖田おきたは 見学で、俺と斎藤さいとうさん だけが戦う。こうすると 毎度毎度、最終的には 俺と斎藤さいとうさんで決勝戦っということになる。

「道場でもなく木刀でもなく、近いうちに真剣で 真剣勝負だと、俺と斎藤さいとうさん どちらが強いか 白黒 勝負をつけよう。戦う場所は、少なくても ここではない。結果は、俺と斎藤さいとうだけが 知っていればいい」と、俺。

「はいっ!」と、斎藤さいとうさん。

「ウキ?」と、沖田おきた。相変わらず、人の話しは聞いていないし、争いごとも嫌いだから 関わろうとしない。まっ、いいけどね。

あくる日 俺が 木陰で昼寝をしていると、思い詰めた 真剣な顔の斎藤さいとうさんがやって来た。近くに 沖田おきたが いない事を確認して「トシさん!最強の座をかけて 命をかけて、勝負しましょう!」と、宣戦布告をする。「ああ」と、俺。顔だけ 洗いに行く。

「いざ!」と、斎藤さいとうさん。「いざ」と、俺。

俺も 斎藤さいとうさんも、刀は 一本づつで もちろん真剣だ。下手をしなくても、命を落としかねない。

《さあ 斎藤さいとうさんの三段突きを、どう対応するか?》

お互い、上段下段の攻撃では 互角で、決着がつかない。そこで 俺は、大上段に構えた。そして案の定、斎藤さいとうさんが三段突きを仕掛けてきた。イメージとしては、刀の切っ先と切っ先が 真正面で当たる感じで、三段突きには 三段突きで返す。斎藤さいとうさんも、三段突きの持ち手を変えてみたり、角度を変えたり、創意工夫がある。こちらも 真似して返すが、それでは負ける。そこで、三段突きならぬ 四段突きが出来ないか、試してみる。頭 喉 心臓 股間を狙う、四段突き。この発想により、流れがこちらに傾いてきた。その上で また俺は、大上段に構える。斎藤さいとうさんは、三段突きの構えだ。俺は 最終的には、もう どうなってもいいと思い、大上段の構えから すっと刀をおろそうとした。

「ウキキキキーッ!」と、沖田おきたが 俺に体当たりして来た。不意打ちだったので、俺は数メートル弾き飛ばされた。こうなった時の沖田おきたは、怖い。斎藤さいとうさんから 素早く刀を奪い、遠くへ放り投げる。そして 沖田おきたは 俺を、ぽかすか叩き始める。

「分かったよ、沖田おきた。もう 斎藤さいとうさんとは、闘わないから」と、俺。

「ウキ」と、沖田おきた。うん、この目は 信用してないな。

「史上最強 スリートップ同士の、意味のある意義のある 闘いだったんたけどね」と、俺。

「ウキ」と、沖田おきた。また 俺のことを、ぽかすか叩き始める。

斎藤さいとうさーん、沖田おきたを、止めてくれ」と、俺。

すると 刀を拾ってきた、斎藤さいとうさんが「沖田おきた、でかした!危うく トシさんに、斬られるとこだった」と 沖田おきたを褒める。

「じゃあ 俺と斎藤さいとうさんの、最強の座をめぐる戦いも、沖田おきたがうるさいから 、今日の今をもって 終わりという事でいいか?」と、俺。

「はいっ!」と、斎藤さいとうさん。「ウキッ!」と、沖田おきた

「トシさんの四段突きと大上段の構えには、敵いません。正直、そんな手があったのかと、震えました」と、斎藤さいとうさん。

「俺が 斎藤さいとうさんに勝つには、限界以上をの力を発揮しなければならない。四段突きも大上段の構えも、咄嗟の発想だよ」と、俺。

「ウキキ」と、沖田おきた。ケンカしないか、まだ 見張っている。

「大丈夫だよ。沖田おきた、もう 俺は 斎藤さいとうさんとは 闘わないから」と、俺。沖田おきたは、優しすぎるからね。

翌日の早朝、真剣な顔をした 斎藤さいとうさんが、やって来た。

「トシさん!俺、トシさんの好敵手ライバル、辞めてもいいですか?一晩中 考えたのですが、俺にはこれ以上 無理です」と、斎藤さいとうさん。

「ああ、いいよ。俺としても 斎藤さいとうさんと闘わなくて済むなら、限界以上に頑張らなくて済むからね。じゃあ、好敵手ライバルは卒業ということで。親友は どうする?俺としては、続けて欲しいけど」と、俺。

「トシさんさえよかったら、続けたいです!」と、斎藤さいとうさん。

「了解。じゃあ、好敵手ライバルは卒業で 唯一無二の親友は継続で、ということで」と、俺。

「はいっ!」と、斎藤さいとうさん。

すると 沖田おきたが 起きてきて、まだ 俺と斎藤さいとうさんが、闘わないか 警戒している。

沖田おきた、もう 斎藤さいとうさんは 俺の好敵手ライバルを辞めたから、基本的には この先 俺と斎藤さいとうさんが 闘う事はないだろう。親友は、継続するけどね。あとは、俺 斎藤さいとうさん 沖田おきたの三人が、チームとして組織として 一緒に戦って行こう!」と、俺。

「ウキッ!」と、沖田おきた。敬礼して、警戒を解く。

「せっかくだから 宴会したいけど、もう 金が僅かだ。宴会はなしで。その代わり、江戸は もう間近だ。気合いで、江戸まで 辿り着こう!」と、俺。

「はいっ!」と、斎藤さいとうさん。「ウキッ!」と、沖田おきた

こうして 最強の座をめぐる 俺と斎藤さいとうさんの戦いも、引き分けという事で 一応の決着がついた。もし あの場に 沖田おきたが居なかったら、どうなっていたかと思うと、正直 恐ろしい。俺 斎藤さいとうさん 松風まつかぜの史上最強スリートップも、もしも 沖田おきたがいなかったら、とっくに同士討ちで 亡くなり消滅していたかもしれない。この後、少なくても この人生では、俺と斎藤さいとうさんが、最強の座を争い 闘いあうことはなくなった。さすがの、沖田おきた 様々だね。次回の話では、やっと 江戸に到着します。以上。

よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。

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