第三十話 世話
江戸へ向けての旅の道半ば、斎藤さんが 風邪ひき、それに沖田が対応している話です。
俺と斎藤さんと沖田とで、京都から 江戸へ向かう旅の道半ばまで来た。残す距離も、あと半分以下だ。ただ 斎藤さんが、重い風邪を引いた。この風邪は、沖田風邪と言って 沖田に味方した者に、症状がでる。普通の人なら、死んでしまうほどね。だけど 沖田は、何も間違ったことを していない。俺と 消すか消されるかの戦いをしている 全宇宙の支配者 クソ大和田を、殴り倒しただけだ。数え切れないぐらいね。むしろ沖田を、俺は褒めてやりたい!そんな沖田と俺と斎藤さんの江戸へ向かう旅も、やっと終わりが見えてきた。斎藤さんは 風邪で重症で、そのせいで、沖田はへこんでいるけどね。
「よっしゃあ、へこんでいても しょうがない。俺が 斎藤さんを江戸まで運ぶから、沖田は 斎藤さんの看病と世話を、しっかりして行こう」と、俺。
「ウキ…」と、消えそうな声の沖田。これじゃあ 沖田も、病人みたいじゃないか。
「トシさん、すいません!俺のせいで…」と、こちらもすまなさそうな斎藤さん。
「こんなんで、やって行けるかー!とりあえず、宴会だー!沖田、貸し切りに出来る酒場をみつけてくれ。こっちは、病人がいるからな」と、俺。
「ウキ」と、沖田。いつもより 重い足取りで、走り去る。そして、一軒 見つけてきてくれた。
その酒場で 机の上に、店の酒を全種類 並べてもらった。
「じゃあ 酒がより取り見取りなので、とりあえず沖田っ!俺と大酒飲み対決だ。斎藤さんは、ちびちび飲んで」と、俺。久米さんが 託してくれたお金は、もう僅かだが こういう時は、後先考えず 使う時は使わなければ。俺が飲む。沖田が飲む。斎藤さんは、ちょびっとづつしか、まだ 飲めないみたいだ。
「じゃあ 沖田、大酒飲み対決は 俺の勝ちなので、沖田の分のお酒も、俺が飲んじゃおっと」と俺。沖田の目の前に 置かれていた酒を、一気に飲み干す。
「ウキーッ!」と、沖田。自分の分のお酒を、守ろうとする。
「じゃあ 沖田は、大酒飲み対決で 俺に負けたので、斎藤さんの世話をしていなさい。そうすれば 俺が、沖田の分のお酒は、飲んだりしないから」と、俺。
「ウキッ」と、敬礼する 沖田。自分の分のお酒を 死守しながら、甲斐甲斐しく 斎藤さんの世話をする。
「沖田、斎藤さんが 全然飲めてないので、口移しで飲ましてやったら?」と、俺。
「ウキ?」と、沖田。試しに 酒を口に含んで、斎藤さんの方を向いてみる。
「ふざけんなっ、沖田!俺はまだ、女性と接吻したことないんだぞ」と、斎藤さん。必死に、抗う。それでも、沖田も 斎藤さんも、やっと笑顔になった!
《俺と斎藤さんと沖田は、三国志の時代からの付き合いだ。三人で決めた目標は、強くなること。そのために 参戦出来る 全ての戦全ての戦争に、参加してきた。そうすると 戦や戦争の規模が、大きくなる。それでも 死にそうになりながらも、生き残ってきた。あとは 強くあること。そんなだから、遊べる時は遊ぶ。飲める時は飲む。やっと 斎藤さんと沖田が、笑顔になってくれたので これで良かった!うまい酒を、飲めるだけ 飲もう!》
「ウキキキキーッ」と、沖田。ご機嫌な様子で、乗ってきた。沖田の酒は、いい酒なんだな。
「じゃあ 沖田、斎藤さんの汗拭いたり、世話をしながら飲んで」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。沖田の手ぬぐいで、斎藤さんの 顔を拭こうとし、「どうせ汚れた手ぬぐいだから、拭かなくていい」と 怒られてる。
「諦めるな、沖田。沖田のふんどしで、斎藤さんの顔を拭くのは どうだろう」と、俺。
「フフッ。トシさん!もう勘弁して下さい!」と、微笑みながらの斎藤さん。そりゃあ、そうか。
「じゃあ 今晩は、この店の近くの宿屋に泊まって、明日また 江戸へ向けて出発しよう!」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。「かしこまりました」と、斎藤さん。
「それと斎藤さんは、俺が見るところ 所見では、風邪の症状が良くなってきている。生きる!っと気持ちを強く持っていてくれ」と、俺。
「良くなってますか?」と、斎藤さん。
「這い蹲らなくても 動けるようになったし、顔色も良い。斎藤さんは、こんなことで 死ぬ男ではないよ」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。斎藤さんに いい子いい子しようとして、沖田は 手を払いのけられる。
「じゃあ、明日の朝 起きたら出発で。沖田は、斎藤さんを支える。斎藤さんは、風邪を治すこと」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。「はいっ」と、斎藤さん。
こうして 斎藤さんの病状に 回復の兆しが見え、沖田も 何とか笑顔を見せてくれた。しかし この後、俺は 元気になった 斎藤さんと、闘うことになる。最強の座をかけて!以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。