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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第三話 山賊

江戸城に向かっている道中です。

第三話 「山賊」

                   リュシフェル

 京都から江戸城へ向かう道中分かれ道に差し掛かった。立ち止まる唐沢師範と俺。

「トシ、近道だけど危険な道と遠回りだけど安全な道どっちがいい?」

「近くて危険な道。遠回りなんかクソくれぇだ」

「分かった。その言葉遣いなんとかならんか?」

「いや、俺、時と場合によって変えるから。てへ」

「まあ、いい。近道で行こう。危なくなったら私の後ろに隠れるように」

「イヤだぴょーん」近道だけど危険な道、どんな道なんだろう。てくてく。峠に差し掛かった。

(前に三十人後ろに二十人ってとこか。山賊か、危険ねぇーおもしろくなってきた)

「トシっ後ろに隠れてろっ」抜刀する唐沢師範。

「後ろにもいるんですけど」別に焦らない俺。


「カシラ、親子づれってとこです」後ろにいる山賊。

「大して金持ってなさそうだな。まあいい、やっちまえ」多分、山賊

頭。


「まてっ私も、この子も金は無い。話し合おう」俺を中心にして円を描くように動きながらの唐沢師範。多分、俺を守ろうとしているのだろう。邪魔くせぇ。

「まてっ俺には刀も無い。だが、面倒くせぇ、殺しあおうヒャッホー」と、唐沢師範の脇差を上手く奪う俺。ヤッホー。

「トシ?」

「唐沢師範が前の三十人、俺が後ろの二十人。役割分担、いいですね?」

「分かった。トシ、頼むから死ぬなよ」

「はい、ほーい」

「怪我もするなよ」

「へーい」この状態で怪我もするなか。言うねー。さーてはじめるかー。唐沢師範と背中を合わせる。これで後ろからは斬られない。斬られないようにして斬る。とりあえず山賊の手首を斬る。一人、そしてもう一人。

「トシっ今のは籠手という」さすが師範。斬ったのは俺だけど。

「何人斬りました?」

「イヤ、まだ。トシっ刀の同じ箇所で斬るなよ。脂で斬れなくなる」

「ほい、ほーい」ならば突こう。ていっ。

「トシっ突きは邪道だ」この状況で?

「じゃあどうすれば?」

「トシ、自分で考えろっ」

「はいっ」とにかく、斬って斬って斬りまくる。だんだんと刀が脂で斬れなくなっていった。まさに言う通りだ。

「トシっ大丈夫か?」肩で息をする唐沢師範。

「はい、クソっまだいるのか山賊」だが、山賊も、もうあと十数人だ。

「トシ、あのヒゲもじゃが山賊頭みたいだ。任せる」

「ふふん。了解」山賊頭の胸倉を掴み首に刀を突きつける。

「まてっ待て」と山賊頭。

「退くか、殺されるか。どっちがいい?」

「退くっ退く。逃げるぞ」山賊頭の命令により山賊たちがちりじりに逃げていく。


「はあー、終わった」さすがに疲れた俺。

「トシ、よくやった。私のほうが頑張ったがな」言うねー。

「じゃあ、山賊の有り金ぼったくりますか」

「トシ、私は武士だ。そんな事はできない」

「じゃあ、くたばってる山賊の金は全部俺のものということで」

「やっぱり私ももらおう」お茶目な師範。

「残った山賊、とどめ刺しときますか?」

「トシ、武士の情けだ」

「でも、痛がってますよ」だって俺は一人も殺してない。金は奪ったが命までは奪う気はなかった。とどめは刺していなかった。多分、人から何かを奪おうとする者は奪はれる覚悟がなければ駄目だと思う。金だろうが、たとえ命だろうが。

「放っておけ」死んだ山賊たちに、手を合わせ念仏を唱える唐沢師範。これも、武士の情けか?

「師範、何か俺達の方が山賊みたいですね」

「だな。さあ、先を急ごう」


 山賊に遭ったが金持ちになったお馬鹿な二人組み。さて、どうなることやら。以上。



よろしければ続編も、期待してください。

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