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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第二十六話 皇位

京都御所へ、進入した時の 話です。

俺とオダギリと沖田おきた、そして久米くめさんとで、俺の発案で 京都御所へ進入し、近衛兵達を ぶっ飛ばし、沖田おきたの情報で 玉座の間が分かり、時の天皇と対面することになった。

俺は 自己紹介を終え、天皇に「俺の前で あんまり調子に乗らないように」とだけ、伝えておいた。

「トシ君、この人が 天皇陛下ですか?」と、久米くめさん。

「知らん。どうやら 俺じゃなく、会津藩筆頭家老あいずはんひっとうかろう 高倉たかくら けんさんが、任命した 天皇なんだろう」と、俺。

すると 警戒していた 天皇が、驚き 口を開く。「まさしくその通りです。私は 健さんに、任命されました。あなた様が トシと呼ばれるお方ですか?」と。

「ああ。今は 歳三としぞうと、名乗っている。歴代の天皇は、俺 高倉たかくらと、ずっと順番に任命している。ということは、次は 俺が天皇を任命する番だな。今は 幕末で、日本も 大きな転換点だから、強い天皇を 選別して任命しなくてはな」と、俺。

「私では、駄目ですか?」と、時の天皇。

「駄目じゃないけど、良くもない。これから日本は、内乱が起きる。薩長土肥率いる 新政府軍対、幕府側の人間達。俺は 幕府側の人間になる。もしかしたら、天皇と相対峙 するかもしれない。その為に、オダギリに 長州を見てもらった。今は 斎藤さいとうと 名乗っているが、オダギリ 長州藩はなかなかやるだろう?」と、俺。

「はい。政治が出来る 藩ですね。見所のある若者が、何人もいました。さすが、沖田おきたが落とせなかった 、毛利家のある藩だけの事はあります」と、オダギリ。

「今の天皇は、異人は嫌いと 明言しているだろう」と、俺。

「はいっ。私は 異人が嫌いです!」と、時の天皇。

「内乱が終わると、今度は 外国との、戦なんだよ。自分だけ 蚊帳の中にいて、責任を負わない 何も出来ない天皇は いらない。戦える 強い意思を持った天皇が、必要なんだよ」と、俺。

「私では、出来ない!」と、時の天皇。

「ああ、だろうね。ちなみに 天皇の皇位は、大災害 大震災が、起こった時は その時の天皇の責任だから、自動で 交代だからな」と、俺。

「分かりました。そうならないように、しっかり神道をします!」と、時の天皇。

「まあ つっても、俺は 元『中大兄皇子なかのおおえのおうじ』で、元『聖徳太子しょうとくたいし』だから、頑張れよ 後輩!」と、俺。

「はいっ!」と、時の天皇。

「トシ君、そうだったのですか?」と、久米くめさん。

「ああ。それなので、天皇にも 会おうとすれば、会う権限くらいはある。それより 外が騒がしくなってきたので、撤収の準備をしよう」と、俺。

「ウキッ」と、沖田おきた。周囲を 見回している。

「まだ、話したいです!聞きたいこと 教えて欲しいことが、山ほどあります!」と、時の天皇。

「俺 オダギリ 沖田おきたは ともかく、久米くめさんは、生きて御所から 出させないといけない。お世話になって いるからね。じゃあ 天皇にも会えたし、撤収しよう」と、俺。

俺とオダギリで、警備の人達をいなしながら、中から 京都御所 正門に、たどり着く。正門前には、薩摩藩さつまはん 長州藩ちょうしゅうはん、そして会津藩あいずはんの京都御所を守る任務の武士達で、ひしめきあっていた。どうやら 逃げ出した公家達が、告げ口したみたいだ。各藩 戦闘態勢で、銃口が一斉に 俺 オダギリ 沖田おきた そして久米くめさんにも、向けられる。

「賊徒め 動くなっ」と、薩摩藩さつまはんの藩兵。長州藩ちょうしゅうはんも同様に、声を荒げる。

「俺の名前は、歳三としぞう。名字は まだない。さすがに 俺の噂も、京都までは 届いてないか。会津藩あいずはんのもの達は、俺のことを 少しは知ってるみたいだな。薩摩さつまの藩兵も 長州ちょうしゅうの藩兵も、そのまま撃ち合うと 同士打ちになるぞ。なんだ それとも、戦がしたいのか?」と、俺。俺も オダギリも、臨戦態勢になる。沖田おきたは、それを眺めている。久米くめさんは、心配顔だ。

「別に 斬り捨ててもいいんだぞっ」と、藩兵。

「死にたい奴から、かかって来いっ!」と、俺。空気がピンと、張り詰める。

すると、京都御所から 時の天皇が、「その方達が 誰だと、思っているのだ。薩摩さつま長州ちょうしゅう、退け!」と、叫ぶ。本物の天皇の 言葉と分かり、薩摩藩さつまはん 長州藩ちょうしゅうはんのもの達が かしこまり、道が開いた。

「じゃあ 天皇は、京都御所に戻って。斎藤さいとうさんは、会津藩あいづはんのもの達と 接点を持って」と、俺。

時の天皇は、未だ 怒りが収まらない様子で、御所の中へ戻り、斎藤さいとう はじめさんは 会津藩あいづはんの藩兵達と、これからについて 話し合っている。

薩摩さつま長州ちょうしゅう、俺たちに 刃を向けたこと、その態度、いずれ 後悔させちゃるけんのうっ!」と、俺。威風堂々と薩摩藩さつまはん長州藩ちょうしゅうはんの藩兵の間を、通って行く。

こうして 京都で 天皇に会い、ちゃんと生き残った。後に 薩摩さつま 長州ちょうしゅうに『鬼の副長』と恐れられる 片鱗を見せた。次回は、久米くめさんとの 別れの話です。以上。

よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。

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