第二十四話 斎藤
自分達の、名前にまつわる話です。
侍を目指している、俺と沖田とオダギリ、そして 仏教の高僧の久米さんとで、京都を目指しながら旅をしている。
「トシさん、俺 前から考えていたのですけど、この時代この人生の名前は『斎藤 一』にしようと思います」と、オダギリ。
「斎藤 一か。ちゃんと考えたのか?」と、俺。
「はい」と、オダギリ。
「まず、オダギリを表す数字が44で、それが名前に、入ってない。まあ ただ、俺自身 名前が『歳三』で、名字はまだ決まっていないから、人のことを、どうこう言えないけどね。オダギリの好きな名前でいい。ただ 相手によっては、本名の『オダギリ ジョー』と名乗るように」と、俺。
「はいっ」と、オダギリ。
「ウキッ」と、沖田。分かっているのか 分かっていないのか、分からないので、俺は沖田を、くすぐっておく。
「久米さんは、どう思う?」と、俺。
「斎藤 一という名前は、この時代ピンと来るものがあります。一番になるという とても締まったいい名前だと思います」と、久米さん
「じゃあ、いいんじゃねえか。俺もその内、名字を決めなきゃな。俺が過去に三国志の時代に、オダギリに付けた名前が『趙雲子龍』なんだよ。ちゃんと『し』と『よ』が、入っている。オダギリを表す数字 44を入れなきゃね。相変わらず ネーミングのセンスがないな、オダギリは」と、俺。
「オダギリ君が、趙雲子龍!トシ君は三国志の時代、名前は何だったのですか?」と、久米さん。
「俺はその時代は『諸葛亮孔明』だよ。ちゃんと『し』と『よ』が、入っている。沖田も、居たよ。戦わさなかったけどね、沖田はその後、戦わなきゃいけないことが、分かっていたからね。休める時ぐらい、休ませないとね」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。
「トシ君とオダギリ君と沖田君の三人は、三国志の時代から、一緒に戦ってきたのですね。私の歴史なんて、まだまだ浅いのですね」と、久米さん。
「いや、久米さんは、本当の自分と本名で生きてるから、そこはちゃんとしてるし 凄いと思う。俺は、歴史ごとに 時代ごとに顔と身体が違うから、その度に名前をつけないといけない。大体、家族がいないから、自分で名前を考えないといけない。俺にとっての、本当の自分 俺固有の名前は『ドン・リュシフェル』だよ」と、俺。
「そうか!そうだった!俺、名前 考え直した方がいいですか?」と、オダギリ。
「斎藤 一って、せっかくオダギリが考えて 付けた名前なんだから、それでいいだろ。ちゃんと久米さんが、この時代に ピンと来る名前だって言ってたし」と、俺。
「かしこまりました。もっとちゃんと、考えなければいけないのですね」と、オダギリ。
「大丈夫ですよ、オダギリ君。この時代 斎藤 一という名は、強い侍として強い剣客として、やっていけますよ。私が、保証します」と、久米さん。
「ウキッ」と、沖田。
「うおっ、沖田の保証も付くのか?」と、俺。
「ウキッ」と、沖田。何だか 沖田は、一人じゃないと、元気一杯の 自由な少年なんだな。
「いいなー、オダギリは。名前も名字も 決まって。俺なんか 歳三という名前しか、決まっていないから。生臭坊主、俺の名字 決めてみるか?」と、俺。
「嫌です、勘弁して下さい。私には、荷が重すぎます。トシ君自身で、決めて下さい」と、久米さん。
「まあ、いいや。その内、決まるだろう。そこの道場に、寄って行こう」と、俺。
道場破りまでは いいが、最終的には、俺とオダギリで、決勝戦になる。すると 沖田が、哀しむ。体を張って、沖田が止めようとする。俺とオダギリの好敵手関係も、沖田のためにも、この時代で終わりにしよう。俺が喧嘩で、オダギリに勝つには、限界以上の力を発揮しなければ勝てない。強くなるためには、自分を伸ばすためにも、オダギリと戦うことは、意味も意義も ある事ではある。それも、もうすぐ 終わりとしよう。
こうして、オダギリは この時代の名前が決まった。沖田はもともと 本名だ。久米さんも、ちゃんと生きてる。それなのに 俺は…。ちゃんとしなくては!この後も、道場破りをしなから、北上し京都を目指して行くこととなる。さて、どうなることやら。以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。