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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第十九話 四国

九州から、四国へ渡った時の話です。

俺とオダギリと久米くめさんで、九州を東に向かっている。ちなみに、久米くめさんだけが、籠に乗っている。金があるっていいなー。

「オダギリは、長州藩を確認しながら、京都で落ち合おう。長州藩は、これから力を持つからね。あとお金は、何とか道場破りでもしながら、クソ野郎を倒して手に入れてくれ。沖田おきたの搜索も、忘れずにな。俺と久米くめさんは、四国を見てから、京都へ向かうよ」と、俺。

「かしこまりました。トシさん、気を付けてください」と、オダギリ。

「その言葉、そっくりそのまま返すよ」と、俺。

「トシ君と、四国巡りか。いいですね。もちろん私は、籠に乗りますけどね」と、久米くめさん。

「遊びじゃないんだけどなー」と、俺。

こうして、九州を出る時に、オダギリは長州藩経由で、俺と久米くめさんは四国経由に、別れた。四国の土佐藩とさはんに、俺と久米くめさんが、到着した。取り敢えず、カツオのたたきを馬鹿食いした。まあ、久米くめさんはともかく、俺は大馬鹿だからな。さらに、闘犬と言って、犬同士を闘いあわせる試合を、見学する。俺的には、あまり好きな試合ではないが。久米くめさんは現地の人と、どっちが勝つか、賭けをしている。これが仏教の高僧の、することなのか、まったく。

「この人だかりの中に、沖田おきたはいないかなっと」と、俺。駄目元でも、沖田おきたを探してみる。

「トシ君、どちらの犬が勝つと思いますか?」と、久米くめさん。

「あまりキャンキャン吠えない犬の方がいい。弱い犬ほど、よく吠える。かと言って、びびって震えてる犬も駄目だ。そうなら、闘わない方がいい。って、儲けてるんじゃねー。俺は、沖田おきたを見つけなければ、いけないんだ」

「トシ君も、賭けてみませんか?私は今のところ、儲かってますよ」と、久米くめさん。

「うーん、闘犬の試合の場合、どうしたって負け犬がうまれる。そのまま怯えたまま、死んでいく犬だっているかもしれない。自分が闘うならともかく、人間の都合で闘わせるのは、俺は好きじゃない」

「トシ君らしいですね。では私も、賭けはこの辺にしておきます」と、久米くめさん。

すると「勝ち逃げは、許さねえぞ!」と、生臭坊主なまぐさぼうずこと久米くめさんが、胴元とその取り巻きに、詰め寄られる。

久米くめ!助かったら、いくら出す?」と、俺。

「儲けの半分を、出します」と、久米くめさん。

「お坊さんには、関係ないかもしれないけど、さむらいになる少年の闘い方を、しっかり見ておきなさい」俺はそう言うと、鞘のままで日本刀を、振り回す。こういう時は、距離が近い順に、なおかつなるべく一対一に近い形で戦う。あまり大怪我をさせないように、脛と肘をねらって倒していく。最後に、胴元の首すじに、鞘のままで脅す。「自分の命、いくらで買う?」すると、胴元とその取り巻きは、有り金を置いて、散々方々に逃げ出す。うん、刀を抜くまでもなかった。

「うん、小銭が出来た。久米くめさん、こういうことが出来るなら、さむらいも悪くないだろ」

「はははっ、子供ながらにして、その強さですか。トシ君には、おさむらいさんが、合っているのですね」と、久米くめさん。そう言うと、久米くめさんは、ちゃんと儲けの半分をくれた。

「江戸、京都、薩摩、土佐と見てまわったから、多分、沖田おきたは、この辺りにいると思うんだけど」と、俺。近くで見てた子供に、身のこなしの素早い、優しいガキはいないかと、聞く。名前が、沖田おきた 総司そうじで、「ウキッウキッ」言ってると話すと、「知ってます!」と嬉しい答えが返ってきた。本物だったら、賞金を出すと約束し、現地の子供の案内で、いつも遊んでいる場所とやらを、目指す。そして、小さな神社の祠に、木の枝の棒を持った、少年に出会った。さて、どうなることやら。以上。

よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。

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