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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第十五話 親友

薩摩藩での、話です。

薩摩さつまで、【オダギリ ジョー】と再会した俺は、当面の目標として、さむらいになるための準備をしていこうと決めた。その為には、どうしてもお金がいる。武士は食わねど高楊枝と言っても、食べていかなければいけない。よって、今度からは、二人して大工仕事をすることにした。【オダギリ ジョー】は、俺の唯一の親友だけど、好敵手ライバルでもある。大工仕事の出来も、どっちの方が出来が良いか、競い合った。大工の棟梁からは、「使えるガキが、二人に増えた」と、半ば呆れられた。

【オダギリ ジョー】は、お洒落なので、食費を削ってでも、服装にこだわっている。いつの時代を通しても、お洒落なところは変わっていない。食費を削ってまでとは、さすがだね。

俺はと言うと、いらない木材で、木刀を作り、運動がてら稽古をする。俺だったら、斬ろうとしたら斬れる気がするのだけど。【オダギリ】と、木刀で大怪我をしない範囲で、組み手をしても、基本【オダギリ】は強いので、あまり参考にならない。しかも、左利きという、何とも天晴れな男だ。

本郷家ほんごうけ日高ひだかさんが、薩摩藩さつまはんに何とかお願いし、藩校と藩の道場に、通えることとなった。本郷家ほんごうけのし婆婆ばばあには、「あんた達では、生きて帰って来れないから。薩摩隼人さつまはやとを舐めないで」と言われる。早速、【オダギリ】と一緒に、まずは藩校へと向かう。藩校で勉強をしても、いまいちピンと来ないし、何の役にも立ちそうにない。先生には、「剛に入っては郷に従え」と、言われるが、「そもそも、俺も【オダギリ】も、薩摩藩士には、ならない」と言っておいた。【オダギリ】にいたっては、藩校では一言も喋らなかった。

藩の道場での、稽古が始まった。何故か、俺と【オダギリ】は、竹刀だとはいえ防具無しで、防具をつけた上級生と、稽古をすることになった。藩校の先生も来ていて、「薩摩隼人の恐ろしさを、見せつけろ!」と、上級生達に発破をかけている。せっかくの機会なので、俺が闘う上級生を、上から横から竹刀で、滅多打ちにしたら、上級生が泣き崩れた。【オダギリ】の方は、突きで終わらせたみたいだ。藩校の先生は、呆然として言葉が出ないみたいだ。

ほら、俺なら斬ろうとすれば斬れると、証明しただろ。そのまま、どんどん上級生達を倒していくと、最終的には、俺と【オダギリ】だけが残り、道場に来ていた薩摩藩士の子供を、全員蹴散らした。最後に、道場の先生達対俺と【オダギリ】で、闘うことになった。景気付けに「よしっ、薩摩のイモ侍ども、かかって来い!」と、俺が言うと、道場の先生達は本気で倒しに来た。俺と【オダギリ】は、背中合わせになり、お互いの背中をお互いで守る。そのまま円を描くように、着実に先生達を倒していく。こちらも、防具をつけていないが、道場の先生達も防具をつけていないので、きちんと当てれば、竹刀だとはいえちゃんと倒せる。そして立ち上がっているものは、俺と【オダギリ】だけになった。

「やったな!【オダギリ】」

「はいっ!【トシさん】」

「でも、いつか俺たち同士で闘う時が、来るからな!親友」

好敵手ライバルなので、しょうがないですね。でも、その分親友なので、それだけで十分です」

こうして、俺と【オダギリ】は意気揚々と、家路につく。途中、本郷家ほんごうけ日高ひだかさんに、「よく、生きて帰ってきた」と言われ、し婆婆ばばあには「何で、生きて帰って来れるの?」と、嫌味を言われる。薩摩藩士さつまはんしにならないのに、藩校と藩の道場に行くということで、し婆婆ばばあには、「あなた達は、生きて帰れはしないから」と、脅されていたので、俺は「薩摩さつまのイモ侍共、大したことなかったな!」と、言い放ち威風堂々と、東郷家とうごうけに帰る。【オダギリ】は「し婆婆ばばあ、性格最悪ですね」と、あっけらかんと笑っていた。あとは、こんな時こそ祝い酒でも、飲めたらいいのになー。以上。

よろしければ、続編も楽しみにしてくれると嬉しいです。

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