第十四話 再会
薩摩での、再会の話です。
本郷家の東側にある、俺が東郷家と名ずけた場所に、居候が出来た。だが、放っておき、俺はいつも通りに大工仕事に、出掛ける。誰にだって、誰にもかかわりたくない時もあるだろうし、何より飯代を稼がねば。食事は本郷家で、出してくれる契約にはなっているけど、出来れば《し婆婆》には、会いたくない。よって、大体日が暮れるまで、大工仕事をしている。自分が手伝うことによって、家が出来上がるなんて、誇らしくないかい?そして、東郷家で、居候の少年と食事を食べる。
するとある日、居候の少年が口を開いた。泣きそうな顔で。「俺、いなくなった方がいいですか?」と
「ありえない。君は自分が、何者だか気付いてないみたいだね」と、俺。
「俺は、江戸の旗本の家の子供で、なのに名前がない!そして、こんな地の果てまで来てしまった!」
「名前がないなら、自分で決めればいいじゃねえか。俺が知ってる、君の名前は【オダギリ ジョー】だよ」
「あっはっ、そうか!俺の名前【オダギリ ジョー】だ!そうか、そうだった」
「ちなみに俺の名前は、【歳三】だよ。ちゃんと、俺を表す数字《4》が入っている。《し》か《よ》が、名前か名字に、入っていないといけない。もちろん、絶対ではないけども。君を表す数字が《44》だよ」
「そうか!やっと、自分が誰だか分かりました。食事、差し入れして頂いて、ちゃんと見ててくれて、ありがとうございました」
「【オダギリ】、今、歳いくつだ?」
「九つです。もうすぐ、十歳です」
「大体俺は、【オダギリ】の四つ年下だから、今俺は五つぐらいか。俺のことは、【トシさん】と呼んでくれ。本名は【歳三】だけど、今は、薩摩なんかにいるから、【東郷 トシ】と名乗っている」
「かしこまりました。【トシさん】と、呼びます」
「あと【オダギリ】も、この時代の自分の名前を、考えておいてくれ。苦手かもしれないけど」
「分かりました。【トシさん】」
「うん。俺は、この時代この人生で、《侍》になることが、目標なんだ。今は、大工の見習いをしてるけどね。刀もないし金もないけど、俺達これからだろ!」
「はいっ!俺も《侍》に、なります!俺が前に、住んでいた家は、旗本の家だったので、幕府側の《侍》でいいですか?」
「もちろん。負け戦になるだろうけど、負けるにしても負け方があるだろう。《最後の侍》も、悪くはないだろう。幸い、俺達は基本強いし、【俺】【オダギリ】【沖田】の、すべての戦、すべての戦争に、参戦する作戦も、もうすぐ無事終わるだろう。まあ、無事って言っても、今のところだけど」
「はいっ!」
「ちなみに俺は、徳川幕府の将軍家の後継者だけどね。大奥の探検は、楽しかった。何だ、【オダギリ】は旗本どまりか」
「うわー、【トシさん】さすがだー!」
こうして、俺は一人ぼっちではなくなり、同じ目的を持った仲間と出会い、《侍】になること、その為には、前へ上へと進んでいくことになる。さて、どうなることやら。以上。
よろしければ続編も、楽しみにしてくれると嬉しいです。