第百十五話 熟成
円という能力を習得し、新選組の者たちは、其れを熟成させていきます。あと徳川幕府の使者に、新選組 馬鹿局長 北野 武が、答えます。土方歳三の後も 生まれ変わり続けた、今の俺の近況報告と、想いも描かれています。では!
時代は幕末、欧米列強の圧力により、良くも悪くも 日本は開国へと歩み始めていた。前例を重んじ 長らく鎖国政策をしていた徳川幕府には、もはや求心力がなく滅びゆく道を歩んでいた。もう、ちょんまげや刀の時代など終わったが、それでも 俺たち新選組が、最後まで 徳川幕府と会津地方に、味方をすることには変わりはない。そして 滅びゆく徳川幕府が、最後の一手最悪の一手、第二次征討令を長州藩に、何の大義名分もないまま、出そうとしていた。滅びゆく徳川幕府に味方をする為か?勿論、元 全宇宙の支配者 クソ大和田の所為もあるが、俺たち新選組にも、負の連鎖が巻き起こっている。ただし 糞詐欺師 クソ高倉健の詐欺に遭い、自殺を試みたところ【円】という名の優れた念能力、はたまた才能の一部を俺も 新選組の侍達も、手に入れた。これで、解る。
新選組の玄関に置いてある座椅子に、俺は いつものように居て、俺の全ての人生通しての宝物 ピノコ・ナディア・哀姫という名の永遠の6歳児の少女と、円が使えるようになり、浮かれている 新選組 一番隊の面々が居る。
「副長、円は使えますね。円が使えるなら、俺の事を殺せるのは、副長ぐらいです」と、史上最強 スリー・トップの一角、一番隊 隊長 斎藤一がしみじみと言う。
「うん、これで この土方歳三としての人生では、どこで死ぬかも どうすれば生き残れるかも分かる。あとは、それでも哀姫を京の都に残して 内戦に出征しなくちゃいけない事と、新選組だったら 円を習得していない近藤さんの事が、心配だな」と俺。
「カナチャリングは、馬鹿トチーヤイが迎えに来るのを、お待ちし申すヤイ。本当はさあ、馬鹿トチーヤイと ずいっとずいっと一緒に居たいヤイけど…。」と哀姫。
「うん、俺もだ。しかーしっ、円を習得した 一番隊の面々が、敗北の決まっている内戦とはいえ活躍し、俺が内戦で死んでも 俺の代わりに、哀姫を迎えに行かせるよ」と俺。
「任せてください!僕の円の範囲内の全ての事柄が、手に取るように分かります。トシさんも 斎藤さんも 沖田さんも、もの凄く強くて もの凄く凄い存在です。それに負けず劣らず、哀姫様の存在も、凄い。本来だったら、僕なんかが謁見出来る 人たちではありません。仮に内戦にて死ぬつもりのトシさんが死んでも、僕たち一番隊の誰かが、必ず 哀姫様をトシさんに、巡り逢わせます。円が使えるようになった 僕たちなら、それが出来ます!」と、一番隊 隊員 安藤 ジュンヤが断言する。
「ウキ」と、頷く 沖田。一番隊 隊員 リュウスケも、胸を張って 頷く。
「約束ヤイからね」と、哀姫。
「一番隊 隊長としても、一番隊としても、それをお約束します。あとは 会津藩が 長州藩と手を結べば、徳川幕府は無くなっても 内戦なんて簡単に、終わらす事も 出来ます。日本全国の各藩は、代変わりを始めて時代が動いているので、クソ大和田の居る 薩摩藩と、副長の腕を奪った 糞詐欺師 クソ高倉健たちの存在が、邪魔です。斬るのは簡単ですが、地獄が機能していないので、雨後の筍のように戻って来やがる。地獄には、濱田総長が居ないと駄目ですね」と斎藤さん。
「うん、銭屋一家 濱田総長が居れば、クソ大和田対策は余裕なんだけどね。現状、日本どころか 地球にも存在していない。居ないものはしょうがないので、各自 円の熟成と、内戦の下準備をしよう」と俺。
各自、散る。
俺と哀姫が、相変わらず 新選組の玄関に居ると、「トシ坊!トシ坊宛に、徳川幕府からの使者が、京へと入ったぞ」と、北野 武 新選組 馬鹿局長がやって来て、伝える。
「ああ。知ってる。解ってる。俺に、火中の栗を拾い 徳川幕府の将軍に成らないか?という件だろう。確かに俺には、皇位継承権も 征夷大将軍に成れる資格も有るけど、断るつもりだ。俺が将軍に成れば、徳川幕府を延命させることができる。でも、俺には 子種がない。もともと、そういう家系だ。だから、世継ぎを作ることが出来ない。あとは、徳川幕府にとっても 日本人にとっても、内戦の人的被害をどれだけ最小限に、抑え治められるかだ」と俺。
「トシ坊、子供 できないのか…。史上最強にして最高の男でも、それじゃあ子供だけじゃなく 家族まで、出来ないんじゃないかい?」と、北野 武馬鹿局長。
「うん、基本 俺には、親も家族すらいない。ただし、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫と一緒に居れれば、寂しくなんてない。馬鹿局長は、家族に恵まれているけど、家族を人質に取られるリスクも、あるからね。まあ 北野 勝 勘定方筆頭も、新選組に入って 強くなったし、北野 サキさんは、人質に取られるような ヘマはしないだろうけど。この時代に、2人とも 円を習得し、今もガンガン使用中だしね」と俺。
「トシ坊、円を使用中って、そんな事まで 分かるのかい?」と、北野 武局長。
「うん、リスクのない念能力はない。円を使うと、同じく 円を使える者に、居場所だけならバレる。円を一旦 使わないとか、どうリスクと折り合いをつけるかだね」と俺。
「勝だけなら ともかく、母ちゃんにも おいらの居場所が、バレるのか。よしっ、女のとこへ行く時は、気をつけるようにしないとな」と、北野 武 局長。
と、徳川幕府の使者が姿を見せた。
「土方殿…」と、徳川幕府の使者が何かを言いかける。
「断る!」と俺。
「トシ坊、まだ 何も言われてないじゃないか」と、北野 武馬鹿局長が笑う。
「土方歳三殿、そこをなんとか!今 徳川幕府は、創設以来初めての重大な危機に直面しているのです。ここは征夷大将軍に成れる資格を持つ、土方殿に次期将軍に成っていただきたいです」と徳川幕府の使者。
「断る!確かに俺が将軍に成れば、俺が死ぬまでは徳川幕府は安泰だろう。でも今は、時代の転換期なんだ。図体ばかりが大きくなった、もはや死に体の徳川幕府を延命させても、しょうがないんだよ。次期天皇には、これから何をすべきか?もう話し合った。そもそも 元 織田二郎三郎信長の俺が、徳川吉宗をして、何でまた 将軍にならなきゃいけないんだよ。安心しろ、俺たち新選組は、最後まで 徳川幕府と会津地方に味方する。だから 次来る時は、将軍を連れて来い。こっちは、新選組の局長に 副長の俺と、トップとNo.2が顔を揃えているからな」と俺。
「ああ、副長殿の言う通りだ。おいらの知ってる歴史だと、確かに徳川幕府は この時期、滅びるしな。将軍を連れて来る事と、徳川幕府による支配の終わらせ方を、考えといた方がいいな。やられたら やり返せで、支配していた側が、支配される側になると手痛い復讐を、されることが多いからな。次期天皇の明治天皇が、江戸城に住むことに成れば、滅びるとはいえ徳川幕府も、面子が立つんじゃないかい?」と、北野 武 馬鹿局長。
「そうか!江戸に、遷都か。それはいいですね。次に私が来る時には、首に縄を付けてでも 将軍を連れて来ます。新選組 局長殿と副長殿、私如きが徳川幕府の名代で、申し訳ありませんでした」と頭を下げて、徳川幕府の名代だった使者は、急ぎ足で帰って行った。
「馬鹿トチーヤイ、将軍に成れたヤイか?」と、哀姫。
「うん、皇位継承権と征夷大将軍に成れる資格は、いつの時代も 持っているよ。徳川吉宗という名の人生の時に、将軍に成ったことがあるから、今はならない。同じ道を歩いても、意味がないからね。俺の場合、全ての職業を経験則で、話せるようになりたいだけだ」と俺。
「経験ちょくヤイね。了解しもした。了解しもしたヤイ!どちらにしろ カナは、馬鹿トチーヤイが大好きで 馬鹿トチーヤイを応援するヤイ」と哀姫。
俺は、哀姫の頭を撫で 抱きしめて、この日は幕を閉じた。
《経験則か。2018/02/01今現在、2回目の東 清二という名で、最後の最後の人生を送る俺は、確かに 全ての職業を経験則で語れる。1番好きな職業がプロ野球選手で、1番嫌いな職業が新聞配達員だ。1番嫌いな職業が新聞配達員なのに、成った回数は新聞配達員が最多だ。午前2時半に起き、集金が有ると眠るのは、午後9時半で 俺が経験した職業の中では、1番キツい。そんな職業だから いつでも求人が有り、この2回目の東 清二としての人生でも、竹野内豊の忠告を忘れ、3年間 同僚も店長も クソ大和田の側の糞野郎たちだけ、という環境で新聞配達員をしていた。さすがにその環境で、新聞配達員を3年間すると、心も体も壊れ 仕事が嫌いになった。2018/02/01今現在だって、生き地獄をのたうち回っている事に変わりはないが、中学生の頃の監督が、元 全宇宙の支配者 クソ大和田の腹心 八木だった バレーボール部員の3年間と、新聞配達員だった3年間に比べれば、今はだいぶマシだ。あとは、全ての事柄のキーパーソンである俺のキー、其れを念能力にしてしまったのは、俺の失敗だったが、それでも念能力が復活するのを待つ事と、あと14年間もない 俺の寿命が尽きるのを、待つばかりだ。簡単じゃないのは、分かる。でも 奇跡の子 哀姫!逢いに来てくれ》
こうして 新選組の侍たちは、円を使い また円を熟成させ、向かう所敵なしとなった。次回の話は、俺にとって憧れの職業が、プロ野球選手のように、北野 武 新選組 馬鹿局長の憧れの職業、内閣総理大臣についての話です。さて、どうなる事やら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!