第百十四話 円取
古井戸へ身を投げ 自殺を試みた俺ですが、結果 良いことが2つ起きました。斎藤さんも 北野 武 新選組 馬鹿局長も、喜ぶ結果です。土方歳三の後も、生まれ変わり続けた、今の俺の状態と想いも、描かれています。では!
時代は幕末、戦国時代の反省から生まれた、徳川幕府による 武士の世 平和な世が、終わろうとしていた。長らく鎖国をしていた日本と、帝国主義のもと 戦いばかりをしていた欧米列強とは、科学技術と火力には 差があり、火力だけには勝る欧米列強と、その事を知る 徳川幕府は、屈服する他なかった。しかし、屈服した理由は 技術と火力の差のみだ。徳川幕府を弱腰と非難し、欧米列強に屈しない若者たちが、各藩から 代変わりをし、力を持ち始めていた。日本国内の火消しに躍起になる徳川幕府は、何の大義名分もないまま、長州藩に 第二次征討令を出そうとしていた。そんな中、新選組 副長、俺 土方歳三は 古井戸に身を投げ、自殺を試みた。
当たり前だけど、気付いたら 俺は、暗い井戸の底に居た。ただし、死んではいない。俺の経験上、これは仮死の状態だ。更に 仮死になったんだから、もしかして?と、俺の失った左腕をたしかめると、ちゃんと左腕がある。もっと嬉しかったのが、【円】という 念能力か才能の一部かの、円を使って 丸い輪っかを広げると、目には見えなくても 円の中の人物や物、状態 状況が、手に取るように分かるという念能力を、手に入れることが出来た。この土方歳三としての人生では、念能力が何もなかったので、円が使えるようになった事は、凄く大きく 凄く有り難い。あとは、この古井戸の底から 這い出るだけだ。
俺は、古井戸の側面を両手で 突っ張る。ちゃんと、届いた。これなら 当然、両足を広げれば届くし、両手 両足の順に つっぱり、ちょっとずつ上へと這い上がっていく。何とか 古井戸のてっぺんに手をかけ、顔を出す。すると、笑顔の斎藤さんが居た。
「フフっ笑。副長は、相変わらず そう簡単には、お亡くなりになりませんね」と斎藤さん。
「ああ。今回の自殺は、仮死の状態で済んだ。無論、古井戸へ落ち 汚れはしたがな。まずは、左腕 復活!」と俺。斎藤さんに、俺は 元どおりになった、左腕を見せる。
「ハハッ笑。死なないばかりか、ちゃんと五体満足に戻るのですね。さすがです」と斎藤さん。
「更に、念能力か?才能か?は、合気道の達人で創始者の剛ちゃんが分別するが、円を取得した。これで、新選組 副長としての この人生は、大丈夫だ。円を使って 何があるか手に取るように分かる範囲も、地球 全部分だしね。斎藤さんも、念能力はともかく 円は、使えるようになりたいよな?」と俺。
「はい。出来る事なら」
「円を取得した、今の俺なら、斎藤さんに円を授けることぐらい、容易にできる。序でに 本名 オダギリジョーに、俺の側の人間としての印と儀式も、するぞ。大丈夫か?」と俺。
「勿論」と斎藤さん。
「まずは、円」と俺。斎藤さんの額に、触れそうなぐらいまで、俺は手を伸ばす。その上で、念じる。
「ホイ、出来た」と俺。
「ハハッ笑!ホントだ。久し振りの念能力、円だ!」と喜ぶ、斎藤。
「あとは斎藤さん、斎藤さんの円の範囲が、日本全国止まりなので、世界丸ごと 円で覆えるよう 円を使わないで、寝かせとく必要がある。それと、リスクのない念能力はなく、円を使っている間、他の円を使っている者に、居場所がバレるからね。そこだけ、気をつけるように。じゃあ 新選組の皆んなや、落ち込んでる 哀姫を、勇気付けに行こう」と俺。俺は 逆十字の印も、斎藤さんに施す。
「かしこまりました。よしっ、良し。副長の側の人間が、確定した!あとは、円を使わず 寝かせる期間を作ればいいのか。今日のところは、円で 皆を確認する日とします」と斎藤さん。
俺と斎藤さんの2人で、古井戸から 新選組の屯所へと帰る。その際 俺は、驚かそうと 左腕をたたみ、服の中に入れておく。
屯所の玄関に、哀姫と沖田という、天才中の天才の2人が居た。
「馬鹿トチーヤイ、馬鹿トチーヤイ。自決するのじゃなかったヤイか?」と、哀姫。
「うん、古井戸へ身投げはしたよ。そしたら、良いことがあった。元 赤髪のシャンクスから、元 モンキー・D・ルフィへ。落ち込んでる 北野 武 馬鹿局長を、呼んで来てくれ。俺にとっても 斎藤さんにとっても、良いことがあったからね」と俺。
「ウキ?」と言い、沖田は 馬鹿局長を、呼びに行った。
「トシ坊に 斎藤さんと、良いことがあったって、せめて女でも できたのかい?」と、北野 武 馬鹿局長。
「うん、この人生では 俺には、女は出来そうもない。左腕を失い、古井戸に身投げして、自殺を試みた。そしたら死なず、仮死の状態になり 、まずは左腕が復活した!」と俺。たたんでいた左腕を見せる。
「しゅげえヤイ!しゅげえヤイ!さすが、馬鹿トチーヤイ、ヤイ」と、喜ぶ 哀姫。
「ウキキ…。」と、嬉しそうに 言葉を詰まらせる沖田。
「トシ坊!左腕が復活…。そりゃそうだ。トシ坊が五体満足なんて、当たり前の話だ。詐欺なんかで、史上最強にして最高の男が、腕を失うのが間違っていたんだ。良かった!あー、良かった」と喜ぶ、北野 武 馬鹿局長。
「更に、念能力か?才能の一部かの【円】が、使えるようになった。俺の円は、地球 全てを覆う。地球上で起こっている、全てのことが手に取るように分かるようになった。これで、侍としての この人生は、大丈夫だ。あとは、どこで死ぬかだ」と俺。
「局長、俺も 副長程ではないけれど、円を使えるようになりました。早速、沖田も 円を使えるようにします」と、斎藤さん。
斎藤さんは、自分の額を沖田の額に、合わせる。
「ウキキッ!」と沖田。沖田も これで、円を使えるようになった。
「元 モンキー・D・ルフィの沖田、俺の過去 赤髪のシャンクスも、ちゃんと左腕復活しているからな。例え 失ったとしても、俺が五体満足なんて 当たり前の話だからね。じゃあ 沖田にも、俺の側の人間の印をつけるぞ」と俺。
俺は、沖田の了承を得て、逆十字の印を結び、俺の側の人間の印を施す。これで沖田が、地獄へ行くことも 消えて無くなることも、なくなった。
「じゃあ 沖田は宴会の準備、斎藤さんは 新選組の侍達に、円を、授けてきてくれ」と俺。
沖田と斎藤さんは、連れだって向かった。ここんとこ新選組には、負の連鎖が巻き起こっていたから、俺は久し振りに、沖田と斎藤さんの笑顔を見た。
「あとは、第三の勢力の新選組内 北野一家だ。馬鹿局長も、円を使えるようになりたいよな?」と俺。
「ああ、なりてえ。おいら ごときが、円も 念能力もなしじゃ、守りたい者も 守れない」と、切実に北野 武 馬鹿局長が訴える。
「ホイよ。馬鹿局長には、俺が 円を使えるようにするから、北野 勝 勘定方筆頭と、北野 サキちゃんには、馬鹿局長から 円を授けるように」と俺。
「おうっ、了解した。トシ坊、善は急げだ。早く おいらに、円を授けてくれ」と急かす、北野 武 馬鹿局長。
「ああ、急かしたから デコピンでな」と俺。俺は、デコピンで 馬鹿局長に、円を授ける。
「おう…、凄えな。京都中のことが、全て 手に取るように分かる。うおっ!トシ坊に哀姫の存在価値が、少なくても 京都一だぞ。これで、おいらも 大丈夫だ。あとは、哀姫のことだな。哀姫を、おいら達 北野一家が、しっかり守る為にも 哀姫が、円を使えるようになった方がいいからな」と、北野 武 馬鹿局長。
「カナパンマンは、円は 要りもせん、要りもせん。馬鹿トチーヤイが、円を使えれば、充分ヤイ。こういう時は、やせ我慢をした方がいいヤイ。馬鹿トチーヤイと、また 巡り会えるようにヤイ」と哀姫。
「まったく、カナ吉は…。カナパンマンは、こういう時は 強情だからな。まあ この土方歳三としての人生では、哀姫の居場所が分かっているから、死んでも 死ななくても、哀姫を迎えに行くよ。円が使えるなら、それが出来る」と俺。
「哀姫、円の良さを知っていて、要らないと言うのか…。おいら もう、円を取得しているしな。分かった。哀姫は、トシ坊が日本国内の内戦から帰って来るまで、おいら達 北野一家が しっかり守るし、しっかり面倒も見るよ」と、北野 武 馬鹿局長。
「次に徳川幕府が、第二次征討令を長州藩に出し 攻め行ったら、内戦勃発だから それまでに、出来るだけ準備をしよう。円が使えれば、下準備は余裕だ。内戦が終わり次第、哀姫を迎えに来るよ」と俺。
「馬鹿トチーヤイ、約束ヤイからね」と哀姫。
「ああ。約束する。内戦の間は、北野一家で 哀姫の安心安全を、よろしく」と俺。
「おうっ、了解した」と、北野 武 馬鹿局長。
《円か。合気道の達人で創始者の渋川剛気が、念能力の中で これだけは要ると言ったのが、円だ。コレの有る無しで、情報収集量がまるで違う。2回目の東 清二として、大天使長になる前の最後の最後の人生を送る前に、我妻 涼として ダウンタウンを創る事と、テレビのプロデューサーをしていた時には、俺は円を持ち、使えていた。それが最後の最後の人生を迎えるにあたり、糞詐欺師 クソ高倉健と明石家さんま により、ごちゃつき 円を失ってしまった。結果、2018/01/25今現在 2回目の東 清二として、俺は 生き地獄をのたうち回っている。人生、上手く いかないなぁ》
こうして 自殺を試みた俺は、仮死の状態で止まり 失った左腕も再生した。そして 、俺が円を取得した事により、新選組の侍たちも、円を習得することが出来た。負の連鎖が続く中、ピンチの裏にはチャンスも あった。次回の話は、円の熟練を目指す事と、それぞれがそれぞれの道を決めます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!




