第百十一話 肘肩
不幸の王様 クソ大和田と繋がりを持つことで、常に優位な立場を得てきた不幸の使者 糞詐欺師 クソ高倉健の謀略により、俺 土方歳三は、腕を切断されます。その後も、詐欺を続けようとするクソ高倉健ですが…。今の俺の近況報告と、想いも描かれています。では!
時代は幕末、欧米列強の外圧に端を発し、それに屈せざるを得なかった徳川幕府、そんな徳川幕府を非難し 突出して動いた長州藩、よって 武士の世 平和な世が終わりを迎えた。何の大義名分もないまま 徳川幕府より攻撃を受けた長州藩は、皮肉な事に倒幕への大義名分を手に入れた。日本国内での内戦の火種が、どんどんと燻り続けていく中、それでも 最後まで徳川幕府と、米に日本酒と 繋がりのある会津地方に味方する侍の組織、 俺たち新選組にも、止めようのない負の連鎖が起きていた。
俺 土方歳三に、会津藩邸の者より 使者が来た。書状には、京都守護職 綾野という名と、会津藩 筆頭家老 高倉健と連名で名が記されており、俺が1人で 指定の場所へ行くよう書かれていた。京都守護職の綾野という名の男は、会った事もあり 現状を把握している、信頼できる男だ。厄介なのが、詐欺師の自覚すら持たない 不幸の使者 糞詐欺師 クソ高倉健だ。書状を持って来た 使者の者に「断ることは、出来るか?」と聞くと、「高倉帝に 家族が、人質に取られているのです」という、意味の分からない答えが返ってきた。
「危険な香りとか、話の怪しさが半端ねえんだけどな。京都守護職の綾野が、わざわざ俺をそれも1人限定で、呼び出す訳もないんだけどな。俺が1人で行けば、人質に取られているお前の家族は、助かるのか?」と俺。
「助かります!」と、書状を持って来た男。
「じゃ分かった。俺1人で行くから、お前は 京都守護職の綾野 家族の順に、訪ねろ。高倉帝だか知らねえが、不幸の使者にして 糞詐欺師が、またぞろ詐欺を働こうとしているんだろう。家族を人質に取るなんて、最後の手段だ。汚ねえ手口で、クソ大和田や 大和田の側の人間の常套手段だしな。書状に書かれている 約束の時間までには行くと伝えておけ」と俺。
「ありがとうございます!これで、家族は助かります」と、書状を持って来た男。
「次は、ねえからな。こういう時の為に、家族は安全な場所に置いとくとか、自分が死んだら 家族には、一生生きていけるだけのお金が入るように、しておけ」と俺。
「分かりました。京都守護職の綾野殿、家族の安全の順に 確かめていきます」と、書状を持って来た男。
俺に何かあった時のために、新選組 馬鹿局長 北野 武に、「罠かもしれないけど、会津藩 筆頭家老に会いに行ってくる。馬鹿局長は、この書状の通り 本当に、京都守護職の綾野という男が、俺を呼び出し この件に絡んでいるのか?斎藤さんと、調べといてくれ」と伝えておく。
「調べる事は出来るけど、トシ坊 1人で行くのか?新選組の御用改めがなくなって、京の治安は悪くなっている。せめて、おいら でもいいし 新選組の者を、トシ坊の護衛につけておきたい」と、心配する 北野 武 局長。
「うん、それもそうなんだけど 書状には、俺が1人で来るように書かれているんだよ。しかも 書状を持って来た男の家族が、糞詐欺師 クソ高倉健によって、人質に取られていた。まぁ、いいさ。斎藤さんに、この書状を見せておいてくれ」と俺。
俺は1人で、書状に書かれていた通り 指定された場所に、指定された時間より少し早く行く。店内に入ると、女性が1人居た。
「新選組 副長、土方歳三と申します。せっかくなので、お茶でも ください」
「いらっしゃいませ。新選組の副長様!噂に違わぬ 美男子ですね」と、店の女性が言う。
お茶を飲みながら しばらく経ったが、約束の刻限を過ぎても、待てど暮らせど 会津藩 筆頭家老 クソ高倉健は、現れない。だいぶ待ち、お茶代を支払い 俺は帰ろうとすると、前後ろに 会津藩の者と思われる男たちを連れた、会津藩 筆頭家老にして不幸の使者 クソ高倉健が、姿を見せた。
「約束の刻限を過ぎて、だいぶ待ったんだけどな。しかも、俺は1人で来るように言われ、其方は3人か。おまけに、京都守護職の綾野という名の男すら、居ねえじゃねえか」と俺。
「きよじ君、大物は 遅れて登場するのですよ。こちらが3人で来たのは、3人でも 少な過ぎるぐらいです。3という人数は、安定する数字なのです。京都守護職の綾野さんは、今日は来ません。急用でも、あったのじゃないですか」と、糞詐欺師 クソ高倉健が、満面の笑みで語る。
〈俺は この糞詐欺師の、俺に会うとテンションが上がり、不幸の使者 クソ高倉健の機嫌が良くなるところも、虫唾が走るぐらい 嫌いな瞬間だ〉
「で、俺を呼び出して 何の用だ?」と俺。
「その前に、抹茶をいただきます」と、クソ高倉健。
〈約束の時間に、大幅に遅れるのも この糞詐欺師のいつもの事だが、俺と会うと時間を引き延ばそうとするんだよな〉
遅れて来ておいて、呑気に抹茶をたっぷり時間をかけて飲み、クソ高倉健は「きよじ君、大和田さんが京より、居なくなりました」と言う。
「まず、俺の本名は きよじ ではねえよ。この時代この身体だと、俺の名は土方歳三だ。薩賊 クソ大和田が居なくなったのは、新選組の一番隊 隊士の手柄だ」と俺。
「そこなのですがね、きよじ君。京の都や江戸にまで、新選組の活躍が知られているのです。ですが、活躍のし過ぎですね。ここは新選組の手柄を、会津藩 筆頭家老という大役を担っている 高倉の健さんの手柄という事に、しておきましょう。きよじ君、それでいいですね?歴史の教科書を作るのは、私や大和田さん ですよ。もし 断ると言うのなら、きよじ君の名字 土方の通り、きよじ君の肘と肩を失う事になりますよ。高倉の健さんも、そろそろ手柄を立てないと、まずい ので。きよじ君の側の人間に、大歓迎を受けて 成りますので」と、クソ高倉健。
「全部、断る!お前は、簡単に人を売るからな。会津藩 筆頭家老の地位も、クソ大和田と結託して 汚い手口で詐欺を働き、手に入れたものだろう。俺の側の人間は、俺に選ばれて成るんだよ。俺と俺の側の人間たちの存在と情報を、クソ大和田に売って 常に有利な立場を手に入れようとする、糞詐欺師 クソ高倉健が、俺の側の人間になんて 成れる訳ねえだろ」と俺。
「言いたいことは、それだけですか?それでは、きよじ君の公式プロフィールを作りましょう。きよじ君は、思っている事と反対の事を言うと。高倉の健さんが、糞詐欺師の訳がありませんからね。では、手筈通りに」と、クソ高倉健。クソ高倉健は、椅子から立ち上がり、少し離れた。
そして、クソ高倉健の連れて来た者から、俺の額に 短銃の銃口が向けられた。
「さあ きよじ君!高倉の健さんの言う事を聞かないと、頭 吹き飛ばされますよ」と、離れた場所から、糞詐欺師 クソ高倉健がほざく。
「別に、問題ねえよ」と言い、俺は銃口の先をずらす。銃声がしたが、俺の身体からは、それた。
「銃を奪う事も、出来るぞ。銃口を向けた以上、ここで糞詐欺師共々、お前ら3人 斬られたいのか?」と俺。
「刀で!」と、クソ高倉健。
「刀で、新選組の副長に、敵う者などいない!」と、もう1人のクソ高倉健の連れが言う。
「そうでしたか…。こうなりましたか。では、そこの茶屋の女を人質としましょう。この手口は、使いたくなかったのですが」と、クソ高倉健。
銃を持っている者が「話が違うじゃないか!この上、茶屋の娘を人質に取るなんて、人間のやる事じゃないぞ!」と叫ぶ。
「全ては、きよじ君の為です。銃を奪われる前に、茶屋の女を人質に取ってください。2人とも、私の言う事を何でも聞くという条件で、ここに来たのですよ。生きて、家族に会いたいでしょう」と、相変わらずの糞詐欺師っぷりのクソ高倉健。
クソ高倉健の連れて来た者たちは、顔を伏せ その後、茶屋の娘のこめかみに銃口が向けられる。
「やれば、出来るじゃないですか。さあ きよじ君、ここからが本題です。高倉の健さんを、きよじ君の側の人間にするか?きよじ君のエンコでは足りないので、腕を失うか?さもなくば、茶屋の女の頭を銃で、吹き飛ばしますよ」と、不幸の使者 クソ高倉健が、ほざく。
「相変わらずの不幸の使者っぷりだな、お前は!茶屋の娘、死んでも 大丈夫か?」と俺。
「大丈夫じゃありません。話が違うのです。土方歳三様の為になると、聞かされていたのです。死にたくありません!」と茶屋の娘。
「それだと、俺の腕が無くなるのが、ベストか…。分かった、俺の腕を斬れ。茶屋の娘には、美男子と呼んでもらったしな」と俺。
「それでは、きよじ君の腕を、まずはもらう事にしましょう」と、クソ高倉健。
また クソ高倉健の連れは、顔を伏せ 茶屋の娘からは、銃口は外された。俺は、左腕を横に出す。「申し訳ありません。申し訳ありません」と、クソ高倉健の連れが言い、俺の左腕の肘から先が、刀で切断された。
「これで、鬼の土方が、肘と肩の間を斬られましたね。きよじ君が、素直に高倉の健さんの言う事を聞かないからですよ。では、次に…」と、クソ高倉健が、更に詐欺を続けようとしたら、「副長!」と 俺の唯一無二の親友 斎藤一が現れた。
《2017/12/30今現在、土方歳三は、天国でピンピンしている。そして 土方歳三の後も、生まれ変わり続けた俺は、2017/12/30今現在 2回目の東 清二として、くたびれ果てている。俺にとっては本当の自分 大天使長 ドン・リュシフェルに成る前の最後の最後の人生。その分、最低最悪の人生と覚悟してきたが、それを上回る 最低最悪っぷりだ。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫に、数十年ぶりに逢いてえな。念能力さえ手に入れば、俺と世界の最低最悪っぷりも、終えることができるのに。念能力を返せ!》
こうして 土方歳三の腕を斬られ、肘と肩の間を失い、洒落にもならない 土方が肘肩となってしまった。この不幸の使者にして 糞詐欺師のクソ高倉健の訪れた場所には、不幸が必ず 訪れるんだよなぁ。俺の最後の最後の人生にも、クソ高倉健は現れ、俺の念能力と俺の友人を3人も、クソ大和田に それもタダで、売りやがったんだよな。その後も、福岡に現れ 俺の最後の最後の人生に、甚大な被害を出し 「私には、行きたい場所も 帰る場所もありません」とほざきながら、悠々と豪邸へと帰って行きやがった。そのクソ高倉健は、やっと死にやっとクソ大和田の側の糞野郎になったとさ。さて、次回の話は、腕を失った俺が、その腕をバットがわりに、野球をします。俺は、大馬鹿なので。この先、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!