第百三話 迎賓
北野 武 新選組 馬鹿局長の願いもあり、北野 サキさんを屯所にて、おもてなしです。果たして 北野 サキさんは、今日は迎賓館の新選組の屯所に、入居してくれるのか?です。
時代は幕末、武士の世 平和な世が終わろうとしていた。徳川幕府の支配力が衰えてきていたところに、黒船の来航。欧米列強の江戸を火の海にするぞ という脅しに、屈してしまった徳川幕府。長らく 鎖国政策をしていたので、徳川幕府には交渉能力もなく、刀 対 大砲や鉄砲 と、刀だけでは戦えないことも知っていた。そして、なし崩し的に 徳川幕府は、欧米列強の主張する開国へと決まっていった。そんな徳川幕府を弱腰だと非難する 若者たち。その後に、幕末の志士と呼ばれる若者たちと、突出し 先に動いた長州藩が、倒幕へと舵を切り始めていた。
時代の中心は、天皇の居る 京の都で、良い若者たちも 悪い若者たちも、まぁ 良くも悪くも、暗躍していた。当然、京の都の治安は乱れ 悪い若者たちを取り締まるのが、俺たち新選組だった。新選組は、最後の侍足らんと 戦えない事情を知っている徳川幕府と、米や日本酒と 繋がりのある会津地方の味方をすることが、既に決まっている。
そして新選組のトップ、北野 武局長の母親 北野 サキさんを説得し、俺 土方歳三と共に、新選組へと見学に来た。
新選組の玄関へ着くと、一番隊 隊長 斎藤一、一番隊 隊員 沖田総司、同じく 一番隊 隊員 安藤 ジュンヤに リュウスケも、哀姫と一緒に居た。
「今、玄関に居る カナちゃんが、土方歳三殿の宝物で、毎朝 新選組に遊びに来る女の子?」と、北野 サキさん。
「ああ。毎朝、トシ坊に逢いに来る 哀姫だ」と、北野 武局長。
「んだんだ」と俺。
すると、哀姫が こちらに気付く。
「馬鹿トチーヤイ!馬鹿トチーヤイ!まったく、どこ行ってたヤイか?お侍さんは 毎日命懸けなんやから、心配したヤイよー、まったく」と、哀姫。哀姫は、俺の足に しがみ付く。
「カナパンマン、子育てのプロフェッショナルをスカウトしに行ってた」と俺。
「哀姫、トシ坊が居なかったのは、おいらの所為だ。母ちゃんと、屯所で一緒に暮らしたくてな。済まん」と、北野 武 局長。
「カナちゃん!新選組 副長、土方歳三様が、カナちゃんが探してた 馬鹿トチーヤイというお方?」と、北野 サキさん。
「ありーっ、サキちゃんヤイね。新選組 副長、馬鹿トチーヤイがカナパンマンが探していた、馬鹿トチーヤイ ヤイ!馬鹿トチーヤイは、すぐ生まれ変わるから、探すの大変ヤイよー、まったく」と、哀姫。
「ほらっ、母ちゃん。トシ坊と一緒だと、哀姫は 直ぐにに幸せになるんだ。おいらや 母ちゃんじゃ、束になったって無理なのにな」と、北野 武 局長。
「カナちゃんのこんな笑顔、初めて見た。一緒に居られる お侍達は、まさか 一番強い 一番隊?」と、北野 サキさん。
「ああ。一番強くて一番働く一番カッコいい一番隊の面々だ。斎藤さん、馬鹿局長の母親の北野 サキさんだ。新選組にとっては、大事な上客だ。女子供の味方のトップだしね。そして、屯所が迎賓館だ。知っといてくれ」と俺。
「新選組 一番隊 隊長、斎藤一です。それと一番隊 隊員は、沖田にジュンヤにリュウスケです。客じゃなくなれば、俺の本名も 明かします」と、斎藤さん。一番隊は、北野 サキさんに会釈して、御用改めに出掛けて行った。
「一番強い一番隊って、まだ少年ばかりじゃない。それで命懸けで、京の都の為に 御用改め…。」と、言葉を詰まらせる 北野 サキさん。
「母ちゃん!少年は少年でも、やっと二十歳を超えたぐらいの武器を使わせた戦闘なら、世界一の斎藤さんも居るし、他の一番隊 隊員も 毎日、切った張ったの修羅場を潜り抜けているから、大丈夫だぞ。少なくとも、切った張ったでは 、おいらより 強いだろうしな」と、北野 武 局長。
「ああ、一番隊なら 切った張ったぐらいじゃ、生きて帰って来れる。斎藤さんが二十歳を超えたぐらいだと、俺や沖田の年齢も、17歳から18歳ぐらいだろう。脂が乗って、強くなる盛りの頃あいだ。命懸けの御用改めも、新選組にとって、要らない奴は四番隊に俺が放り込み、よく死人も出たけど、今は腕に覚えがある者が、4人一組の隊列の先頭を歩く 死に番を務めるから、もう そうそう新選組からは、死人は出ない。怪我人が出ても、俺が治せるしね」と俺。
「おうっ、母ちゃん!トシ坊、自分の怪我は治せない代わりに、人の怪我は治せるんだ。それで新選組の侍たちも、何人も 命拾いしている」と、北野 武局長。
「自分の怪我が治せなくちゃ、何人 命拾いしようと、土方歳三様にとっては、意味ないじゃないの」と、北野 サキさん。
「うん、自分の怪我が治せないと、プラスにはならないかもしれないけど、もともと人の怪我は治せなかったから、ちょっとは意味もある。立ち話もなんだから、屯所の中を見学しよう。後方支援を目的とする、八番隊が居る筈だ」と俺。
俺たちは、屯所の中へと赴くが、哀姫は俺の足にしがみついたままだ。哀姫は「自動歩き器!自動歩き器!」と、はしゃいでいる。北野 サキさんが 風呂を確認したら、飯の確認だ。
「新選組は、米と日本酒には困らない。豪雪地帯の会津地方産の米と日本酒を、調達しているからね。金銭面は、相場と為替を創った男 北野 勝 勘定方筆頭が、荒稼ぎして 儲けたお金を、新選組に入れてくれてる。あとは斎藤さんが、仏教の高僧 久米っち の依頼で、糞野郎や 糞女を始末して、手に入れた金を納めてくれてる。だから北野 サキさんが、馬鹿局長の願いもあって 新選組の屯所で暮らすなら、支度金として三千両は用意するよ。因みに、新選組が、池田屋事件を治めて 徳川幕府から出た報奨金が、数百両だったけどね」と俺。
「徳川幕府から出た報奨金が数百両で、私への支度金が三千両…。」と、考え込む 北野 サキさん。
「おっ源さんと、安藤優子が居るから、勝の奴も 呼んで来るよ。母ちゃんは、源さん 特製の牛肉料理でも、食べててくれ」と、北野 武 局長。
「サキちゃん、新選組に入るヤイか?」と、哀姫。
「ここに住むか、悩んでるところです。カナちゃんは、私が新選組にお世話になっても、良いと思いますか?」と、北野 サキさん。
「全然、良い。全然、良い。カナパンマンの遊び相手が、増えるヤイ!」と、哀姫。
「カナちゃんが そう言ってくれるなら、新選組 副長 土方歳三様、私をここへ 住まわせてください」と、北野 サキさん。
「ああ。勿論、いいよ」と俺。
と、馬鹿局長が、勘定方筆頭を連れてやって来た。
「トシ坊!勝の方からも、母ちゃんを説得させてよお」と、北野 武 馬鹿局長。
「うんにゃあ、哀姫のおかげで、もう 北野 サキさんが、女子供の味方のトップとして、子育てのプロフェッショナルとして、新選組の屯所で暮らす事は、決まってるよ。北野 勝 勘定方筆頭は、支度金を母親の為に用意してくれ。俺としては、三千両は出すと伝えたけどね」と俺。
「はいーっい!それならば三千両どころか、五千両でも一万両でも 用意出来ます!」と、興奮気味の北野 勝君。
「よしっ、やったー!母ちゃんと、暮らせる!さすが、哀姫だ。源さん!母ちゃんにも哀姫にも、最高の牛肉料理を食べさせてやってくれ」と、北野 武 局長。
「久々の大物新人ですね。かしこまりました。最近、すき焼きを作れるようになったので、すき焼きでも ステーキでも、お作り致しますよ」と、八番隊 副隊長の井上源三郎。
「安藤優子さんも、味噌汁の出汁の取り方を北野 サキさんから、学んで。北野 サキさんには、当面 飯は、朝食だけを担当してもらうから」と俺。
「かしこまりました。新選組に、女性が加入したー!」と、喜ぶ 安藤優子 八番隊 隊長。
「馬鹿局長も、安藤優子さんの裸なら ともかく、哀姫や 北野 サキさんの裸なら 興味ないだろう?」と俺。
「ああ。哀姫と母ちゃんの裸には、興味ねえ」と、馬鹿局長。
「じゃあ、風呂 覗かないように。女子が増えたから、男湯 女湯と風呂も 分けなきゃな。じゃあ、一番隊と四番隊が無事帰って来たら、北野 サキさんの入居を祝って、宴会としよう」と俺。
《2017/11/07今現在の俺は、無駄に2回目の東 清二として、最後の最後の人生 その分、最低最悪の人生を送っている。今年で36歳になり、寿命までは あと14年。もうちょっとの辛抱だ。元 全宇宙の支配者 クソ大和田も 大和田の側の人間たちも居ない場所を、俺は見つけた。およそ、数百年ぶりにね。それでも、今の俺の状態がいい訳ではない。それに呼応するように、日本は災害大国になり 日本中どころか、世界中 不幸になり めちゃくちゃだ。この星の最高責任者の俺の鍵は、念能力だ。念能力さえ手に入れば、日本中どころか世界中を幸せに出来るプランが、俺にはある。例えば、土方歳三が 日本の官房長官になり、馬鹿局長が内閣総理大臣に なるとかね。あーあ、ピノコ・ナディア・哀姫に逢いてえなぁ》
こうして 誰からも歓迎されて、北野 サキさんが新選組の屯所へ、入居してくれた。北野 サキさんの入居を祝っての宴会も、ことの外 盛り上がり 新選組が、組織としても孤児院としても 完成した日となった。次回の話は、北野 サキさん流の子育ての仕方と、ふざけてばかりだった北野 武 馬鹿局長に、生まれ変わったのちの 明確な目標が出来ます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!