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「副長、土方」  作者: 東 清二
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第百一話 母親

北野きたの たけし 局長や、北野きたの まさる 勘定方筆頭の母親、北野きたの サキさんに、俺 土方歳三ひじかたとしぞうが会います。今の俺の近況報告もあります。挫折と敗北の人生ですが…。

時代は幕末、200年以上続いた 徳川幕府による武士の世、その分 平和であった世が、終わろうとしていた。帝国主義が持て囃されている、欧米列強から日本も ターゲットとされ、圧力をかけられている。長らく鎖国をしていた徳川幕府には、欧米との交渉能力がなかった。かといって、火力の差 技術の差に開きがあり、200年以上平和だった分、何がいけなかったのか わからないが、ツケを欧米列強に払わなくてはならなくなった。そんな徳川幕府を、弱腰だと非難し 後に幕末の志士と呼ばれる若者たちが、既に動いた長州藩を筆頭に、倒幕へと動き始めていた。そんな中、最後まで さむらいとして、徳川幕府と 繋がりのある会津地方あいづちほうに味方するのが、俺たち新選組しんせんぐみだ。


最近、新選組しんせんぐみの屯所の風呂が、北野きたの たけし 局長の手柄で、ガスで沸かせるようになり、温度調節も可能になった。馬鹿局長は、「おいらの手柄だ」と自慢をして回っていたが、もともと京の都に根をはる、一番隊 隊長 斎藤一さいとうはじめの業者への働きかけがあったからだ。そして斎藤さいとうさんは、ガス管の設置 普及だけじゃなく、電気に電球の発明と、どんどん技術を進歩させていき、都市化を進めていく。電球の設置によって、新選組しんせんぐみの屯所の風呂は、24時間365日入れるようになった。


新選組しんせんぐみの月に一度の顔見せ行進の折、俺の宝物 哀姫かなひめが、俺を見つけると「あのおさむらい様が、新選組しんせんぐみの副長、粋でいなせなトシさんヤイ!」と、声援を送る。脱藩浪士や 新選組しんせんぐみを嫌う者たちから、俺のことは「 血も涙もない鬼だ。鬼の副長だ」と吹聴されていたので、哀姫かなひめはそれにぶち切れ 対抗して、顔見せ行進の折には、声援を送ってくれる。哀姫かなひめの存在は、さすが俺の宝物で 俺にとっての一番の応援団長だ。哀姫かなひめの応援があれば、俺のことが どんだけ誹謗中傷されようが、俺の心は折れなくて済む。よくはわからないが哀姫かなひめは、地球が創り出される前から、俺のことが大好きで、俺が失ってはいけない大事な大事な宝物だ。


新選組しんせんぐみの顔見せ行進が終わり、燦々轟々 ばらばらになった。そこで馬鹿局長に、話があると言われた。

「トシ坊、おいらの母ちゃんのことなんだけど、独身で 小さな民家で一人暮らしなんだ。それだったら、八番隊 隊長 安藤優子あんどうゆうこのように、新選組しんせんぐみの屯所で 一緒に暮らした方がいいと思うんだ。トシ坊さえ良ければ、これから 母ちゃんを引き取りに行こうと思うんだ」と、珍しく 真面目な顔で話す 北野きたの たけし局長。

「なんだ、馬鹿局長の母親は、まだ 存命だったのか。だったら、新選組しんせんぐみで引き取るという話は、賛成だ。土方歳三ひじかたとしぞうとしての人生では初見だけど、俺とも知らない仲ではないしな」と俺。

「おっ、良かった。トシ坊の了解が取れた。早速、母ちゃんに新選組しんせんぐみで 一緒に暮らすよう、話してくるよ」と、北野きたの たけし局長。

「うん、俺も行くよ。馬鹿局長と勘定方筆頭の育った家と、その母親に興味があるからね。説得力なら、俺は新選組しんせんぐみ 随一だし」と俺。

「うおっ、トシ坊 自ら 説得してくれるのか。それは、有り難い。早速、案内するよ」と、北野きたの たけし 局長。


馬鹿局長の案内で てくてく歩いていると、周りと比べて 全然違う、しっかり掃除をされているであろう、凛とした民家へと着いた。

「母ちゃん、おいらだ!今度こそ、新選組しんせんぐみの屯所で、一緒に暮らしてもらうぞ」と、馬鹿局長。どうやら、屯所で一緒に暮らす話は、前々から あったみたいだ。

たけし!何度、言ったら分かるの!あんたも まさるも、もう社会人なのだから、私のことはほっといて、しっかり社会人をしなさい」と、明らかに強そうな 凛とした女性が言う。

「この使えそうな、清潔感と強い意思を持つ女性が、局長殿の母君か?」と俺。

「ああ、おいらの母ちゃんだ。トシ坊さえよかったら、トシ坊からも 母ちゃんが新選組しんせんぐみの屯所で、一緒に暮らすよう説得してくれ」と、悲壮感を漂わせながら 馬鹿局長が言う。

新選組しんせんぐみ 副長、土方歳三ひじかたとしぞうと申します。局長殿の母君のお噂は、太古の昔から かねがね聞いております。まずは、お会いできて光栄です」と俺。

「名は、北野きたの サキと申します。こんな所で、お会い出来るとは…。貴方様が幸福の王子様で、この星の最高責任者、全てのことわりのキーパーソン…。たけし!このお方を連れて来るなら、来ると伝えて!こんな普段着で、お会いしちゃったじゃないの!」と、北野きたの サキさん。

「おうっ、母ちゃん。それは済まなかった。トシ坊が凄え事は知っていたけど、母ちゃんが そんなに畏まるぐらい凄えのか?」と馬鹿局長。

「うん、幸福の王子は活動休止中。この星の最高責任者は、今も昔もそう。全てのことわりのキーパーソンも、大体そうかな。じゃあ、立ち話もなんだから この手入れのし尽くされた家に、入らせてもらおう。お茶があったら、茶でもくれ。北野きたの サキさんの淹れる茶も、飲んでみたいしね」と俺。

「かしこまりました。すぐ淹れます」と、北野きたの サキさん。

俺と馬鹿局長は、家の中へと入る。


「おうっ、トシ坊。母ちゃんの淹れる茶は、美味いぞ」と馬鹿局長。

「だろうな。室内も、しっかり掃除と手入れがされていて、こんなに わび さび のある家は、そうそうない。さすが、女 子供の味方のトップ 北野きたの サキさん だけのことはある。ただ 抹茶だったら、千利休せんのりきゅうの一生を、一瞬で超えていった ごうちゃんの抹茶が、世界一かな」と俺。

「母ちゃんが、女 子供の味方のトップ…。合気道の達人で創始者の渋川剛気しぶかわごうきの抹茶…。ひえーっ、おっかねぇ」と馬鹿局長。

と、「粗茶ですが」と、俺の分だけ お茶が運ばれて来た。運ばれて来たのは抹茶ではなく、急須で淹れるお茶だった。

「母ちゃん、おいらの分は…?」と馬鹿局長。

たけし、あんたは客じゃないの!」と叱る、北野きたの サキさん。

飲んでみると、確かに馬鹿局長が言っていた通り美味しい。急須でで淹れる茶で、これ以上は そうそうない。

「良い、お手前で。京の茶屋でも、これ程 美味しい緑茶は、なかなかない。さすが馬鹿局長と勘定方筆頭の母親で、女 子供の味方のトップだけの事はある」と俺。

「馬鹿局長は、たけし。勘定方筆頭は、まさるですか?」と、北野きたの サキさん。

「はい。カタカナのバカは悪口だけど、漢字の馬鹿は悪口ではない。かつて鹿は吉兆を呼び、馬はどれ程 人間の役に立ってきたのか、という話。女 子供の味方のトップは、馬鹿局長や勘定方筆頭を例に、北野きたの サキさんの子育て力が、半端なく良い。かつて北野きたの サキさんが、孤児院を運営して 上手くいっていた話も、聞いたことがありまして」と俺。

「私が、女 子供の味方のトップ…。もし貴方様に、そう思われていたら、これほどの名誉はございません。ありがとうございます」と、北野きたの サキさん。

「母ちゃん!おいらや トシ坊も居るし、まさるの奴もいるし、他にも新選組しんせんぐみには、強い奴も面白い奴も 揃ってる。母ちゃんも、こんな所で 1人で生きてないで、新選組しんせんぐみの屯所で、おいら達と 一緒に暮らそう」と、真面目な顔で 北野きたの たけし局長が言った。


北野きたの サキさん。余りにも 俺が背負い込んでるモノが、多く重いので 荷物を軽くする為に、ネオという 俺の代わりを立てた。マトリックスという映画にもなった。でも、俺の代わりをできるのは、俺の過去達ぐらいで、サキさんの立てた者には、俺の代わりは務まらなかった。2017/10/25今現在、俺は 無駄に2回目のひがし 清二きよじという名で、最後の最後の人生を、その分 最低最悪の人生を送っている。この最低最悪の人生が、長ければ あと14年続く。でも とっくのとうに、俺は覚悟している。それなら寿命まで、生きればいいだけだと。分かっている事は、天国で 俺の過去達や 北野きたの サキさん、天国の異次元で ごうちゃんや馬場ばばちゃん 銭屋一家ぜにやいっかに、ドン・ビト・コルレオーネとミス・マリア、序でに コルレオーネ・ファミリーの、俺の側の人間たちが、忸怩たる思いで出番を待っている。今の俺は、やっと クソ大和田おおわだ大和田おおわだの側の人間たちも居ない場所に、辿り着いた。ここ数百年なかった、俺の周りには 糞野郎も糞女も、存在しない状態だ。あとは、俺の念能力の復活を待つばかり。念能力さえ手に入れば、やっと不死身のクソ大和田おおわだも、完全に消せる。不幸の王様にして、諸悪の根源のね。そのためにも 俺の念能力よ、とっとと復活しろ!》


こうして俺は、子育てなら世界一と云われる 北野きたの サキさんに、初めてキチンと会った。馬鹿局長や勘定方筆頭の父親は、ろくでなし らしいが、それでも北野きたの たけし北野きたの まさる君の母親だけあって、凛とした 強くて逞しい女性だった。次回の話は、新選組しんせんぐみの副長の俺としても、新選組しんせんぐみには 孤児院として学ぶ子供らも居るので、北野きたの サキさんの子育て力は、是非とも欲しい。なので、馬鹿局長と一緒に、北野きたの サキさんが、屯所で暮らしてくれるよう説得します。さて、どうなることやら。以上。

読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

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