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罪人、危険を感じる

 勇者は心が壊れて反応がなくなるまでいたぶった後に殺した。久しぶりに人の相手をしたので、時間を忘れてしまったが楽しかったのでよしとしよう。

 リリムが羨ましいというような言葉を漏らしていたがきっと気のせいだろう。


 それはさておき、実はこの地下室に来た時に察知した気配は俺が殺した勇者以外に六人いた。勇者が俺にいたぶられ始めた時にはそのうちの一人はいなかったので、誰かに報告にでも行ったのだろう。ジンには俺が勇者を倒して生きていることを知られているな。

 屋敷の近くに四人と少し離れたところに一人いるが、それ以外は俺とリリム以外に誰もいない。ここが王都だということを考えるとこれは不自然だ。

 恐らくその四人は俺の命を狙っているんだろう。あとの一人は連絡用か。


 世界が変わっても、俺には敵が多いみたいだ。

 さて、勇者にも言われたことだが、さすがに汚れすぎているので魔法で汚れを落としてから屋敷を出ることにしよう。






「あいつが悪魔王の使いか」

「見たところ女性の扱い方も知らないみたいよ」


 リリムに案内してもらい屋敷から出ると鎧を着て剣を持った人が男女それぞれ一人ずつとローブを着て杖を持っている女が二人こちらを見ていた。

 ハーレムか。死ね。


「お前らも勇者か?」

「会話が出来るのか。その通り、貴様を倒し世界を平和にするのは俺達だ」


 うん、会話が通じそうにない。

 男の顔を剣を持っていない左手で殴る。

 本気でもなんでもないのだが、反応できなかったようで彼の顔が陥没した。即死だろう。まるで鉄球にでもぶつかったみたいだな。骨が折れる感覚が手に伝わって来るのが気持ちがいい。


「よ、よくもアレクをっ!」

「イリナだめ! ここは一旦逃げないと」


 最初に女性の扱い方がどうとか言っていた剣を持っている女勇者の一人がこちらに向かって飛び出してくる。

 俺は空間魔法を使い、彼女の周囲の空間を止める。


「っ! 動かない?! 貴様、何をしたぁ」


 顔を真っ赤にしながら叫ぶが、イリナと呼ばれていた勇者の体は止まったままだ。

 俺はスキルでナイフを作り出し、リリムに渡した。俺が何をしてほしいのか分かっているようで、いつもの無表情ではなく笑顔を浮かべている。

 声に出して命令はしない。そうすれば、俺が強制しているだけになるからな。

 俺は楽しみを邪魔されたくないので残りの杖を持つ二人に向けてスキル[超越級威圧]を前と同じくできるだけ抑えて発動。


 威圧を受けた瞬間に二人ともなぜか倒れた。気配を探ると、死んでいることが分かる。最初の勇者は実は結構すごかったのか?

 そんなことより、今はリリムだ。


「あ、貴女、待ちなさい。命令されていないのだから大丈夫よ。私たちがあいつを倒してあげるから、ね。わ、分かったら早くそれをすて――」

「ユウ様を喜ばせられるし、私がいたぶってもらえないのはお前達がいるせい。だから殺されても文句ないよね」


 ザクッザクッザクッ


 リリムえぐーい。首に刺すのかと思ったらわざと急所をはずして刺してる。

 そこまでやってもらわなくても良かったのだが、結果的に楽しくなった。



「たす……け…………て……」


 あ、死んだ。

 空間を止めていた魔法を解除すると、ばたりと倒れる。

 死体を見もせずリリムがこちらに戻ってきた。


「ナイフをお返しします」

「よくやったな。結構、楽しかったぞ」


 ナイフを受け取り空間魔法でアイテムボックスのような空間に投げた後、空いた手で頭を出来るだけ優しい手つきで撫でながら褒める。

 リリムは複雑な表情をしていた。焦らすのも楽しい。

 撫でられていること自体は喜んでいるが、それよりも痛めつけてほしいんだろう。


「教会がどこにあるか分かるか?」

「はい。ご案内いたします……」


 勇者はここの教会でジンに召喚されたといっていた。つまりそこにジンがいる確立が高い。

 ひとまずはそこに向かうか。







 教会の前までたどり着いた。

 入る前に気配を探り人がいるかどうかを確認する。


 中には生物が全くいないようだ。

 屋敷からここまで人を見なかったので、俺は魔物のような扱いをされていて人間は既に避難しているのかもしれない。もしそうだとするとジンと言う人物はかなり権力を持っているということになる。

 俺のことを察知し勇者召喚から避難までさせるほどの人物だ。

 とりあえず、人がいないということが分かっていても、せっかくなので教会に入ることにする。


 内装は地球の教会とあまり変わらなかった。

 だが、なぜか祭壇の前に白猫がいた。その猫はこちらを見ている。

 俺の気配察知は人間以外の生物も察知できる。俺が察知できていないと言うことは俺と同程度かそれ以上に強いということだ。


「初めまして、僕はジン・ブラフマだ。君が悪魔王の使いだね」


 しゃべった。

 え? ジンって人じゃないの? 確かに誰も人だとは言ってなかったけど。

 というかこいつがジンか。


「一応言っておくと、僕は遠くからこの人形を操っている。だからこれに攻撃しても意味ないよ」


 人形?

 人の形はしてないけどな。

 生物ではなかったから気配が探れなかったのか。

 ということは、俺も攻撃される心配はないのかな。

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