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閉ざされた心
ボクは知っている。
ボクの両親はほんとの両親じゃないってことを。
“トウサン”も“カアサン”も良い人だった。
いつもボクを見守っていてくれた。
だけど、ボクはみんなと少し違っていることを
知ってから確信したんだ。
それから心を閉ざすようになった。
きっと、ボクは捨てられる運命だったのだろう。
そしてあの日、両親はボクを置いてどこかへ消えた。
大きな大木の下で泣いていると、一羽のカラスが
ボクの元へやってきた。
「どうした、ひとりなのか」
ボクはうつむいた。うつむくことしかできなかった。
辛くて。苦しくて。泣いているところなんて見られ
たくなかった。
「俺と同じだな」
彼の表情もなんだか悲しそうに見えた。
ボクはその時彼には心を開けるだろうと思った。
そっと抱きしめてあげて、ボクはいう。
「もうひとりじゃないよ」
この時にはもう感じていたのかもしれない。
ボクがここの世界人だということが。