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小春と愉快な仲間たち

どうも<m(__)m>高二だけど中二な桜 子春です(・ω^)丿 

遅刻したのにコンビニ寄った事、みんなには内緒だよ?


作者はこれと前章どっちが1話目か悩んるけど、ぶっちゃけ・・どっちでも良いよね!でも、折角なのでやっぱりそこはオプローグから見てね

期待以上の願いがすぐに叶った・・・


(あ、松野君だ!)


同じクラスの憧れ”松野(まつの みのる”君が、横断歩道の向こう側の坂を走ろうとしている。

私から見た彼の雰囲気は"可愛い格好いい系" 五臓の六腑なんてよくわからないけどマイナスイオンに匹敵するナショナルエナジーをこの体一杯に充電できる。


(あぁ、それにしても朝から会えるなんてラッキー☆今日は大安吉日かもしれないっ!) 


他の人からしてみればいつもと同じ何気ない朝でも今の私にとっては学校までの気怠い道がまるでレッドカーペットを敷かれたVIP専用道路に思える位嬉しい状態です。

”VIPな人間がピザまんを喰わえて走るのか?”何て鋭角な質問は言いっこ無しでいきましょう。

朝に松野君に会うことは普段あまり無いので、心のファインダー<死語>が有ったら焼き付けたい貴重な瞬間である。


(この千載一遇のチャンスを逃す訳にはいかないよね!急いで追い付けば話せるかも・・・)


小鹿松野えもの”を追う”狩猟小春けもの”ですが何か?もう興奮を抑えきれずに狙いを定めて東奔を西走する。


(このハンティングは外せない!摂っても絶対密輸しない!何て言ったって松野君が—―――)


周りがめでたく交際していって絶滅危惧が懸念される、お一人様の純真パラメーターを足に振り分けて風になる。


『――コツン』


「わっ!」


風になった足は脆くも何かにつまずいて宙に弾かれた。


『ズッテェェエエン!』


前に出した足がもつれて何につまづいたかも調べる事もできないまま、ド派手に正面からズッコケた。 


「・・ぐばぁっ」


口元を手で覆った所でも血なんか一滴も出ていない。でもそういうふざけた素振りで恥かしさを隠さないと、こんなテンションで転んだ収拾をつけられない。


『・・・・しーん・・・・・』


こっそり見回すと不幸中の幸いで誰も居ない。まるで謎のパントマイムをしている奇人・・そりゃあ、御一人様ってもんよ・・うぅ・・・うぅう・・・・


「・・・わ~ん、痛ぁいよぉおお!」


つい駄々っ子みたいな声で本音を叫ばずにはいられない。

実際”ズッコケた体の痛み”よりも”いい年した女子高生が思いっきりズッコケたというキャラ的な痛み”が強い。

きっと今、私の顔は完熟トマトみたいに真っ赤だから色んな気持ちがごちゃごちゃと混ざって”ハッシュ・ド・感傷ライス”が出来てしまった。 

 

マチャアキ先生も星三つを出してくれるであろう絶品料理を精製しても恥ずかしさは抜けないまま、俯き加減で起き上がってトマトとは真逆の色をした濃紺のブレザーに付いた砂ぼこりを手で払う。

 

(・・にしても、何につまづいたんだろ?)


転んだ場所を見てみると、握り拳くらいの石ころが一個『俺がやった』言わんばかりに落ちている。


(お前か!?)

「・・・・・・・・・・・・」


早速掌に乗せてガン付けてみるけど、石の方も当然喋る事無く黙秘し続ける。 


(人を転ばせておいてシカトを決め込むなんて、ふてぶてしい奴!)


この世間知らずの通り魔は痛みを知る必要がある。

制裁を与えるべく力の限りのデコピンを喰らわせてやった。


『ゴツンッ!!!』

「ぐふっ!」

 

今の一瞬でてこの原理やら支点・力点・作用点を原理やら限られた時間でベストを尽くした一発をお見舞いしたはずなのに、いしの防御力はこちらの想像をはるかに凌駕している。理不尽な程に私の指の方が受けたダメージは大きく、その痛みで自分がこんな事している場合じゃないと現実世界に引き戻された。 


「やばいっ、遅刻する!」 


小憎たらしい石を”ポイ”っと道路の脇に捨てて次に無残に地面に吹っ飛んだピザまんと対面。


「あぁ、ピザまんちゃん・・」


勿体ないけど後ろ髪を引かれる思いでコンビニの前に置いて在るごみ箱にそっと入れた。そのまま向かい側の誰も居なくなった坂道を眺たら力が抜けて溜息が一つ出て来た。 


「やっぱもう松野君は居ないか・・・トホホ」 


私はレッドカーペットからお風呂場のマットにまでレベルダウンしてしまった道のりを駆け抜けた。

・・・

・・ 


『キーンコーンカーンコーン』


春の教室、新学期が始まってからまだ数日しか経ってないので部屋の中は騒がしい。 

昨日のテレビの話、部活動の話、放課後に寄る予定のお店の話と豊富なネタで活気が溢れる中、後ろのドアから年老いた猫仙人みたいに背中を丸めてこっそりと侵入した。 (※猫仙人=私の落書き帳のキャラ )

結論から言うとチャイムが鳴り終わるまでに登校が間に合わなかった。

しかし未だ勝機はある。要は遅刻の登録をされる前に席へたどり着ければ良い。

そうすれば、先生達も説教に余計な労力を使わなくても済むし、私も怒られなくて済むwinwinな結果みらいが訪れる。

生徒指導の先生に見つからない様に特殊部隊っぽく深く腰を下げて素早く走る。自分で言うのもなんだけど、この無駄の無い洗練された動きは連続遅刻の賜物なのでしょう・・。

『タッタッタッ――ササッ』

二酸化炭素と同じ存在感まで自分をすり減らしてようやく席までたどり着いた。

しゃがんだまま古びた木の机の隙間から教卓を覗く限りだと担任の気配は無く、この賑やかさから察してもまだ職員室で朝礼をしているみたい。


(セーフ、試合に負けて勝負に勝った・・)


気張っていた分の力が全て抜けて、スライムみたくだらけた姿勢でぐったりと深く椅子に座ってバッグを机の上に雑に置きながらマフラーを取る。走って乱れた息を整えながら顔の熱気を手で顔を扇いで気化させる。


「おはよぉ!小春っ」


後ろの席から、か弱い女性の声がするので振り返るとにっこりと笑って手を振って来るのでこっちも振り返した。 


「やほぉ、香織。先生はまだ来てないの?」


彼女の名前は”桃園ももぞの 香織かおり”小学校の頃からの友達で普段から一緒に遊んだり、お泊り会もする一番の仲良し。 


「うん。今日の朝は自習だってぇ。良かったね!」


香織が笑顔のまま可愛いらしくピースをすると、肩まで伸ばしている茶色くゆるふわの髪が白いカーディガンの上で風と共になびいた。

モテないはずがないタイプの子、ハープみたいな神聖なる音の似合うマーメイド系女子。


(顔も声も上品なセレブ女学生っぽくてうち等女子側ですら守りたくなっちゃうんだよなぁ・・・ああーんっ可愛い!!)


性格も温厚で優しいので正直な所、がさつで突っ走りやすい私をいつもサポートしてくれる大事なパートナーとして大切に関わっている。


だから香織は私にとって自慢の友達で憧れの存在でもあります。だってそれに比べて私は・・


「あらら、童顔の小春ちゃん。小学校は反対側の地区ですよ」


(あ、人種差別だ!キング牧師に言いつけてやる!!)


確かに身長は160センチ無いし、顔も童顔だけど見た目を馬鹿にする時点でここの男子達の精神年齢も小学生レベルじゃない?


「コラ、やかましいわ!童顔って言うなぁああっ!!そして誰が魔法少女だ!!」

「・・いや、言ってねぇし!」


怒っても新喜劇みたいになって空回り。もうこうなると無双モード、周りの目は反省どころか調子に乗っている眼差しで絡んでくる。


「ってか、新学期早々遅刻なんてやっぱ抜けてんなぁ」 

「お前、何か顔についてんぞ?うわっピザ臭せぇっ!」


結局男子からの〇ボタン連打の攻撃を受けて格好の餌食にされるやられキャラ・・ひょっとして女性っぽさに欠けてるのかな? 


(何よっ、そりゃぁ生まれた時から香織よりも髪も赤っぽくて不良に見られがちだけど、私なりにも気まずい空気とか作らないように頑張って生きてんだから・・。

もう、こうなったら早く聖都アルフォンスに行ってダークマターで毛染めしなきゃ!)


そりゃあ中二病だって発症しますよ。最後の女子力でほっぺを膨らまして拗ねる私にふわぁっと天使香織が抱き着いてくれた。 


「でもねぇ、小春最近モテフェロモンが増えたのか、また一段とそそる良い匂いになったんだよぉ。髪の毛もトリートメントの優しい香りがしてさぁ、これ私の好きな匂い☆」


ホラ、ホラっ出来た子でしょ? 男子に弁護してくれる温厚で優しいパートナーに

ピザまん臭を嗅がれるわけにはいかないので、袖で必死にふき取った。


「ま、やっぱ桃ちゃんが言うならね」

「そうだよ!っつーかきっと桃ちゃんの近くに居たからカヴァーされてんじゃねーか?」


(ほう・・?)


好き勝手言い捨てて自分の席に座る男子達の背中を舌打ちしながら睨んだ。 


(私だってねぇ、小便臭い小僧共には興味は無いのよ・・・きゃっ、自分ったらはしたない!)


世の男子達よ覚えておきなさい!こう言う男はね、女子トイレや友達の家でネタにされんだから彼女が出来無くなっちゃうよ? あ、私と香織はやんないけどね♡

とアピールした所で空気を戻そう。



この教室の中で私は窓側の端っこの列なんだけど、憧れの松野君は廊下側の端っこなんだ。

まさにロミオとジュリエット状態・・なーんて言うのは冗談だけど世の中そう上手くは出来て無い。


『コンコン――』


妄想にふけてれば後ろのドアからノックの音。


「実、おはよ!」


周りの目線など一切気にせずに可愛いらしい手提げ袋を持って来た、このゆるボブヘアの美人さんの正体は隣のクラスの”梅原うめはら 美華みか”さん。

成績優秀、スポーツ万能、ルックスも抜群!

こりゃあ、天は二物を越えて三物を与えたね・・いやぁ、神様やっちゃったよ。仕事にムリ、ムダ、ムラがあるよ。

そして何よりサッカー部のマネージャーという最後の一撃!

松野君とは付き合っている訳では無さそうだけど、こうして弁当を持って来たりとかなり献身的でお熱な様子。


「おはよう梅原」

「やだ、美華って呼んで良いって言ってるじゃーん。みのる!」

・・・・・

・・・・

(みの・・?みのっ!?・・・うがぁあああああ!!!!!)


『ピシャァアアアアン!!!』


背中に雷を落としながらもまだ、防波堤の最終ラインで生きている理性が必死に口を塞いで堪えた。

だってこんなんアプローチ無ぇべさ?いきなりの訪問に少し困惑している松野君。優しいから瞳をきょどらせているくらいだけど、普通引くでしょ?。この手の女は絶対に浮くタイプだよ。

聞いててもうたんを吐きたくなる・・・って、そしたら私が浮くか?


「で、どうした?」

「今日、午後練入ったから。はいコレ!」


梅原さんが可愛らしいゆるキャラがデザインされた包を松野君に手渡す。


「これは・・・弁当?」


”その質問を待っていました”と言わんばかりに彼女が自信満々に腕を組む。


「ほら、実に伝え忘れたのは私のうっかりミスじゃない。だからこれくらいはしないとさ」


先生、伝言を忘れた割に用意は周到だと思いまーす!


「え、でも・・・」


(そうだ、気付け松野君! 綿密な計画による洗脳、現代社会に生きる若者たちの心の隙間につけ込む罠だ!!)


「何か悪いな。かえって気を使わせちゃって・・・」

「いいのよこれくらい。マネージャーなんだから部員のメンテナンスも大事な仕事の一つでしょ」


そう言って松野君の肩にボディタッチをする梅原さん・・もう思うツボだ。

今の私に出来る事と言えば今すぐこの教室に隕石とか落ちてくる闇呪文を唱えるくらい。


「じゃあ頂くよ、ありがとう」

「よろしい!口に合うかわからないけど実の好きそうな物、詰めといたからね!じゃあまた後で、部活の時に感想聞かせて」


梅原さんは上機嫌で教室を去っていく。


(出来る人は行動にも自信がある。というか大胆過ぎるでしょ!?あれじゃあ松野君が他の男子から角が立つってもんよ。っていうか松野君もそこらへんは・・・ぶつ、ぶつ・・・)


どさくさに紛れて床に唾を吐いた。


「おい桜汚ねーぞっ」


クラスの仲間にツッコまれて冷静さを取り戻してモップで床を拭く。これでひがんだ自分をまた一つ嫌いになってしまう。

これ以上言っても彼に対して何もしていない自分の負けだ。

悔しかったら弁当の一つでも作ってくれば良かったのだ。

・・・・・・・

”さすさす”

正論の前に落ち込んだ肩を撫でてくれる香織、私が男だったら迷わず告ってるなぁ。


「美華ちゃん、中学校の頃から好きだったみたいだからねぇ・・」

香織が遠い目線で呟いた。


梅原さんは中学時代も凄くモテてイケメンも大勢近づいた。でも決まって出るセリフは一緒。


『やっぱり実と居る時ほど満たされない』


同学年の間では有名な梅原詩集のひとつ。本人が別れる度に切り出してくるマセた恋愛論に当時から精神年齢の違いを見せつけられていた。

勿論うちらノーマル女子から聞けば肥やしの限りを尽くした贅沢な悩みだけど、彼女もまた理想と現実の間を彷徨う旅人なのです。

これがもし、他の男との恋仲なら応援したくなるけど、そうはいかない。

恨みっこ無しのライバルよ!最もあっちは私レベルだとアウトオブ眼中だろうけど・・・。


「松野君も一途だからね」

「!!?っ」


香織が肩を揉みながら意味深な発言をして来るから、振り向きながら開いた眼球が閉まらない!100人乗っても大丈ば無い!!


「だってサッカーが恋人みたいなもんでしょ?」


(ホッ・・ホケキョ・・)


「も・・もう、やだなぁ、ハハハ香織さんたらヒヒヒ」


思わず胸をなでおろす。

でも、確かに松野君はモテるけど恋愛にはかなりストイックだ。

今まで何回も付き合うチャンスはあったのに結局まだ浮いた話は一度も聞こえてこない。

それだけディフェンスが堅いと最初は奮闘していた女の子達も諦めて徐々に他の男に目移りして行く。 松野君の友達もそんな余裕な態度の彼に痺れを切らして一回強く言ったらしいんだけど・・。

そしたら本人曰く『好きになるって事がどういうことなのか分からない』だって・・・。

こちらも雲の上の悩みだけど、私は松野君のそういうトコが可愛くて好きだな♪



「・・・・・・」

朝からこんな短時間で精神を何回も揺さぶられている時にひたすら黙している男が居る。

「・・・・・・」

ちなみその男とは隣の席の”竹本たけもと のぼる”。これまた癖のある堅物な賢人。 

明るめの栗色茶髪をワックスで色々とねじる今時な感じの松野君に対して、竹本は垂らされた黒髪にシャープな猫目が刺さる和風イケメン。

割と勉強もスポーツもそこそこ出来るからステータス的には優等生なくせに、彼はどこやら素行の悪い不良っぽいんです。

ネクタイをせずに代わりにクロム系のネックレスを付けちゃうオマセっぷりにファンも多いみたい。

確かに背も高く、寡黙で冷静。その落着きは格好良いけど、ぶっきらぼうって言葉そのまんまなのよ。

試しに今日も、今から話しかけてみようと思います。


「おはよ竹本」 

「・・・おう」 


活字だらけの本を見ているのでこっちを見向きもしない。


(この男には人受けというか、もし嫌われたらとかっていう心配は存在しないのか?)


地球は丸く出来ているはずなのに彼のせいで359°になてしまっている。どちらかというとクラスの輪とか協調性の方を重視してしまう自分にとって理解できないタイプ。やっぱ考え方は皆別々かもしれないけどやっぱ挨拶の時くらいはちゃんと見て欲しいよ。 


「あ、あのさっ竹本ってほんとクールだよね、温暖化の波は届いてないんですか?」

「おい・・・」


竹本は依然として本を見たまま微動だにしない。

「ん?」私は顔を乗り出す。 


「少し黙ってろよ。”ピザ団子”」

「 ・・・っな、なぬぉおお!!! 」


とある晴れた春の朝、この時、このメンバーで少しずつ運命の歯車が動き出そうとしていたんです。


~それは次回で話します。 それではまたお会いしましょう!ばいばーい~

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