1/6
始まりの鬨
「退却! 退却ーっ!」
指揮官の叫び声が戦場に放たれる。
しかし、次の瞬間、彼の首は鮮血の糸を引きながら戦場を舞う。
全てはもう遅かった。
エウスティア王国とガズール帝国の国境線近くで始まった戦闘。
エウスティア王国の内政の乱れにつけこんで侵略を始めてきたガズール帝国に対し、王国軍は当初こそ優勢だったが、時を追うごとにその戦線は後退。
今ではエウスティア南部に広がる、ミドレグリア平原にまで押されていた。
王国は正規兵の消耗を恐れ、学生隊を投入する。
この時のために召集されていた王立軍事学校の学生兵たちであった。
しかし、練度の高い帝国兵に、予備軍人扱いの学生たちが敵うはずもなく、王国は敗北に敗北を重ねることになる。