表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

第9話 初めての音録り、そして真実

<SNS(X)タイムライン>

@RefrainBeat_KANA 2025/07/03 15:00:00 JST

#デモ音源 #新曲 #ドキドキ

新曲のデモ音源、初めて作ってみるよ!

ちゃんと録音できるかな?みんなで頑張ろうね!


@Kino_Azusa 2025/07/03 15:30:00 JST

#レコーディング #音作り

デモ音源制作。未知の領域だが、経験値を得る良い機会だ。

果たして、どのような音になるのか。


---


あれから3日。

『リフレイン・ビート』の面々は、

リズムガーデンのスタジオで、

パソコンと機材に囲まれて頭を抱えていた。

新曲『きらめきノート』のデモ音源を

自分たちで作ろうと挑戦しているのだ。


「あれ? なんで音が出ないんだろ?」

奏が録音ボタンを押すたびに、

なぜか「ブツッ」とノイズが入ったり、

リズムがずれてしまったりする。

パソコンの画面を前に、彼女は頭を抱えた。


「私たちの曲、『きらめきノート』が台無しだよ~!」

響が叫ぶ。

結月も、戸惑ったようにモニターを見つめている。

梓咲は、冷静に機材の説明書を読み込んでいるが、

やはり原因は分からないようだった。


「録音って、こんなに難しいんだね……」

奏がため息をつく。

何度やり直しても、一向に上手くいかない。

焦りと疲労が、メンバーの顔に色濃く浮かんでいた。


---


その時、スタジオのドアが開き、怜が現れた。

彼女は無言で、メンバーが録音しているPC画面を覗き込む。

そして、ひょいとヘッドホンを取り、耳に当てた。

数秒。一聴しただけで、彼女の表情が厳しいものに変わる。


「これは酷いな」

怜の厳しい声が、スタジオに響き渡った。

メンバーは、ビクッと肩を震わせる。


「ドラムの音量、高すぎ。ベースはもっと前に出せ」

「このギター、潰れてる。キーボードはもっと透明感を」

怜は、的確な指示を連発する。

まるで、全ての音が可視化されているかのように。


メンバーは「ひぃ!」「耳が痛い!」と怯えつつも、

その的確さに驚きを隠せない。

怜の指示に従い、各々の音量を調整し、

演奏のバランスを修正していく。

怜は、時折、自ら機材に手を伸ばし、

調整を施すこともあった。

その手つきは、迷いがなく、洗練されていた。


数時間後。

怜は「これでいいだろう」と呟くと、

最終的な調整を終えた。

メンバーは、恐る恐る完成したデモ音源を再生する。


スタジオに響き渡ったのは、

さっきまでの不協和音とはまるで違う、

クリアで、まとまりのあるサウンドだった。

各楽器の音が鮮明に聞こえ、

きらめきノートのメロディが、

以前にも増して輝いて聞こえる。


「プロの音だ……!」

奏が感動のあまり、声を震わせた。

「自分たちの曲がこんなにカッコよくなるなんて!」

響も目を丸くする。

結月は、感動で胸がいっぱいになったように、

そっと目を閉じた。

梓咲も、その表情には珍しく感嘆の色が浮かんでいた。


怜は、そんなメンバーの反応をちらりと見て、

「貸しだからな」と素っ気なく呟いた。

そして、何事もなかったかのように、

スタジオを後にする。


後に残されたのは、感動に浸るメンバーと、

自分たちの手で作り上げた、

プロクオリティのデモ音源だった。

それは、彼女たちの音楽への情熱を、

さらに燃え上がらせるきっかけとなった。


---


<SNS(X)タイムライン>

@RefrainBeat_KANA 2025/07/03 16:45:00 JST

#デモ音源 #苦戦中 #オーナーの教え

新曲のデモ音源作り、難しい…!

ノイズ入ったり、音量バラバラだったり…。

でも、怜さんが来てくれて、一気にプロの音になったの!

本当に感謝です!


@Kino_Azusa 2025/07/03 17:00:00 JST

#録音技術 #ミックス #理論と実践

レコーディングは想像以上に奥が深い。

オーナーの指導は厳しかったが、的確だった。

…いつか、私もここまで理解できるようになるのだろうか。


@RhythmGarden_Ray 2025/07/03 17:30:00 JST

#仕事 #技術継承 #まだ半人前

やれやれ。しかし、あの音源なら、まあ及第点だろう。


【次回予告】

神崎 晶:「ブレイズ…伝説は、まだ生きている」

響:「怜さんが昔バンドしてたって、聞いたんですけど…」

怜:「……(珈琲を一口)」

東堂 詠(CV: ハスキーな声):「会いたい、怜…」

第10話 サブタイトル:『ブレイズの影と、過去の旋律』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ