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第8話 プロの音色と、影の旋律

<SNS(X)タイムライン>

@M.Yuzuki_piano 2025/06/30 14:00:00 JST

#クリムゾンシールド #プロの厳しさ #音楽とは

今日はクリムゾン・シールド様の練習を拝見させて頂きますわ。

プロの音楽には、どのような「厳しさ」があるのでしょうか。


@RefrainBeat_KANA 2025/06/30 14:30:00 JST

#目標に向かって #頑張るぞ

私たちも、クリムゾン・シールドさんみたいに上手くなりたいな!

でも、やっぱり音楽は楽しくないとね!


---


あれから4日。

リズムガーデンのスタジオでは、

プロを目指す女性ロックバンド

『クリムゾン・シールド』が練習に励んでいた。

そのスタジオの傍らには、

見学を許された結月の姿があった。


結月は、神崎晶のカリスマ的なボーカル、

氷室楓の正確無比なベース、

鳴海律架のパワフルなドラム、

朝倉薫の幻想的なキーボードに、

ただただ感銘を受けていた。

彼女のノートには、

技術的なメモがびっしりと書き込まれていく。


「このフレーズじゃ、お客さんに何も伝わらない」

神崎晶の厳しい声が響く。

彼女は、メンバーに対して妥協を許さない。

結月は、メモを取る手が止まった。

これがプロの厳しさ、

そして情熱なのだと肌で感じる。

氷室楓も、冷静な口調で的確なアドバイスを送り、

バンドの音をさらに研ぎ澄ませていく。


スタジオの受付。

怜は、二つのスタジオから聞こえてくる音を

聞き比べていた。

一つは、研ぎ澄まされたプロの音。

もう一つは、まだ拙いながらも、

楽しそうな笑い声が混じるアマチュアの音。


怜の脳裏には、かつての自分のバンド

『ブレイズ』の練習風景がよぎる。

特に、代表曲『Echoes in the Dark』の

複雑な構成を練習していた頃の記憶が蘇る。

あの頃の自分たちも、

ひたすらに完璧な音を追求していた。


その表情には、苦悩と情熱が入り混じっていた。

どこまでも高みを目指すことの厳しさと、

その先に見える輝き。

しかし、同時に、

自分たちが何を求めていたのか、

迷いがあったことも思い出された。

「求められる音」と「自身の求める音」の乖離。


その時、リフレイン・ビートのスタジオから、

拙くても楽しそうな笑い声と演奏が聞こえてきた。

彼女たちの『きらめきノート』のメロディが、

怜の耳に心地よく響く。

純粋な「好き」という気持ちが、

音符一つ一つに込められているかのようだ。


怜は、手元のコーヒーカップをゆっくりと置き、

窓の外の夕焼けを見つめた。

西日に照らされた空は、

紅と橙のグラデーションに染まっている。


「……何が正解、か」

怜が小さく呟く。

プロとして高みを目指すことだけが、

音楽の全てなのだろうか。

それとも、純粋に音を楽しむことこそが、

音楽の本質なのだろうか。

答えは、まだ見つからない。

だが、その問いかけは、

怜の心に、新たな波紋を広げていた。


---


<SNS(X)タイムライン>

@M.Yuzuki_piano 2025/06/30 17:00:00 JST

#クリムゾンシールド #プロの厳しさ #音楽とは

クリムゾン・シールド様の練習を拝見させて頂きました。

その技術と情熱に感銘を受けましたが、どこか厳しい雰囲気が漂っていました。

音楽の「楽しさ」とは異なる「何か」を感じましたわ。


@CrimsonShield_Akira 2025/06/30 17:30:00 JST

#RhythmGarden #音楽の在り方 #葛藤

子供たちの楽しそうな音。あの頃の自分たちと、今の自分たち。

何が違う?問いかけるばかりで、答えは見つからない。

神楽坂怜氏も、何かを言いたげだったが…。


@RhythmGarden_Ray 2025/06/30 18:00:00 JST

#葛藤 #本質 #どちらも真実

結局、どちらも真実だ。それだけのこと。


【次回予告】

奏:「私たちの新曲、デモ音源作ってみない!?」

響:「え、でも録音とか、どうやるの…?」

怜:「…お前たち、また騒がしくなるぞ」

梓咲:「これは、また何かあるな」

第9話 サブタイトル:『初めての音録り、そして真実』

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