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第6話 緊急事態!天才の代打

<SNS(X)タイムライン>

@RefrainBeat_KANA 2025/06/23 12:00:00 JST

#文化祭ライブ #大ピンチ #どうなる私たち

今日は文化祭ライブ本番!でも、梓咲ちゃんが体調崩しちゃって…

大ピンチです!どうしよう私たち…!


@Tsukishima_Hibiki 2025/06/23 12:30:00 JST

#ライブ直前 #まさかの展開 #神頼み

マジで焦ってる…。ベースなしでライブなんて無理だろ…。

誰か助けてくれー!


---


あれから3日。

今日は高校の文化祭ライブ本番だ。

『リフレイン・ビート』の面々は、

楽屋で最終準備に追われていた。


ステージ裏の緊張感と、

客席から聞こえるざわめきが、

ライブが始まる直前であることを告げている。


「みんな、大丈夫? 緊張してる?」

奏が笑顔でメンバーを見回す。


響は深呼吸を繰り返し、

「うん、ちょっとね。でも、楽しみ!」と

ドラムスティックを握りしめた。

結月も、少し顔がこわばっているが、

「精一杯演奏させて頂きますわ」と、

キーボードの前に座った。


しかし、梓咲の様子が、どうにもおかしい。

顔面蒼白で、額には嫌な汗が滲んでいる。

「梓咲ちゃん……?」

奏が心配そうに声をかけると、

梓咲は小さく首を横に振った。


「ごめ……無理……」

そう呟いたきり、梓咲はふらりと倒れ込んだ。

幸い、奏が間一髪で支えた。


「ええーっ!?」

「梓咲が……!」

奏と響はパニックに陥る。

「どうしよう、ライブが!?」

ベースなしでライブなんて、考えられない。

結月も不安そうな顔で立ち尽くし、

どうすることもできない。

まさに、絶体絶命の大ピンチだった。


---


その時、楽屋の入口に、

怜が現れた。

腕組みをして、眉間にしわを寄せている。


「うるさいな。何があった」

怜の一言が、張り詰めた楽屋の空気を切り裂いた。


響が泣きそうな顔で怜に訴える。

「怜さん! 梓咲が、急に倒れちゃって!

ベースがいないと、ライブが……!」

響の声には、絶望と焦りが混じっていた。


怜は梓咲にちらりと目を向け、

それから大きくため息をついた。

「はぁ?……仕方ないな」


そう言うと、怜は倒れている梓咲の隣に転がっていた

ベースをひょいと手に取った。

メンバーは、その行動に呆然とする。


「え? 怜さん、まさか……?」

奏が驚きで目を丸くした。


「これ、譜面です!」

響が慌てて差し出した譜面を、

怜はチラリと一瞥しただけだった。

その一瞬の間に、全てを把握したかのように。


そして、怜はベースを肩にかけ、ステージへと向かう。

その際、怜は普段かけている伊達眼鏡を、

無造作に外し、ポケットにしまった。

照明が煌めくステージに、怜が立つ。


涼しい顔で、完璧なベースラインを奏でる怜。

彼女が弾き始めたのは、リフレイン・ビートの

代表曲『青空スコール』のイントロだった。

その正確無比で、力強いベースの音に、

残りのメンバーは口をあんぐり開けて立ち尽くした。


「天才……!」

奏が思わず呟く。

「あの曲、初めてのはずなのに……!」

響の目には、驚愕の色が浮かんでいた。

結月も、その卓越した技術に、

ただただ見入っている。


怜の演奏は、リフレイン・ビートの音に

圧倒的な安定感と深みを与えた。

梓咲の代打という緊急事態は、

思いがけない奇跡のステージへと変わった。

伝説のドラマーによる、まさかのベース代打。

文化祭ライブは、最高の形で幕を開けたのだった。


---


<SNS(X)タイムライン>

@RefrainBeat_KANA 2025/06/23 15:00:00 JST

#文化祭ライブ #大ピンチ #奇跡のベース

文化祭ライブ、まさかの大ピンチでした…!

でも、オーナーの怜さんが…!

もう、すごすぎて、何が何だか…!

私たちのライブ、成功したよね!?


@Tsukishima_Hibiki 2025/06/23 15:30:00 JST

#オーナー神 #伝説の片鱗 #鳥肌が止まらない

ライブ、本当に焦った…。

でも、オーナーさんのベース、ヤバすぎた…!

あの人、やっぱり只者じゃない!


@RhythmGarden_Ray 2025/06/23 16:00:00 JST

#緊急対応 #やれやれ #騒がしいが

騒がしい奴らだ。まあ、何とかはなった。


【次回予告】

響:「ねぇ、このスタジオ、夜になると変な音が聞こえるんだけど…」

奏:「まさか、幽霊!?」

怜:「……(無言でスティックを回す)」

梓咲:「霊的なものより、物理的な爆音の方が迷惑だ」

第7話 サブタイトル:『真夜中のリズムガーデン』

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