第5話 真紅の壁、襲来
<SNS(X)タイムライン>
@RefrainBeat_KANA 2025/06/20 16:00:00 JST
#プロのバンド #クリムゾンシールド #ドキドキ
今日はいよいよ新しいバンドがリズムガーデンに来る日!
プロを目指してるって噂だから、どんな音なんだろう…!
ちょっと緊張するけど、楽しみ!
@CrimsonShield_Official 2025/06/20 16:30:00 JST
#新拠点 #リズムガーデン #本格始動
本日よりリズムガーデンスタジオでの練習を開始する。
ここから更なる高みを目指す。
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あれから4日。
リズムガーデンのスタジオは、いつもと違う空気に包まれていた。
どこかピリッとした緊張感。
今日の練習室には、『リフレイン・ビート』とは別のバンドが
入る予定になっていた。
「ねぇ、本当にプロのバンドが来るんだよね?」
奏が心配そうに響に尋ねる。
カフェスペースで、お菓子も食べずにそわそわしている。
「うん、オーナーさんが言ってたもん。
『クリムゾン・シールド』って名前の、
すごいカッコいいバンドだって!」
響はそう言うものの、その顔には、
期待よりも緊張の色が濃く出ていた。
梓咲も、いつも以上に静かだ。
結月は、少し不安そうにしながらも、
「プロの音楽に触れる良い機会ですわね」と
静かに言った。
その時、エントランスのドアが開き、
4人の女性が入ってきた。
彼女たちの登場に、カフェスペースの空気が一変する。
クールで洗練された佇まい。
すらりとした長身に、一切の無駄がない動き。
プロを目指す女性ロックバンド
『クリムゾン・シールド』のメンバーたちだ。
ボーカル&ギターの神崎晶。
ベースの氷室楓。
ドラムの鳴海律架。
キーボード&コーラスの朝倉薫。
その圧倒的なオーラに、
『リフレイン・ビート』の面々は思わず息をのんだ。
「うわ……オーラが違う……」
奏が小さく呟く。
まるで、壁のような存在感だった。
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クリムゾン・シールドは、受付にいた怜に
一礼すると、自分たちのスタジオへと向かった。
その背中からは、プロとしての自信と厳しさが
ひしひしと伝わってくる。
「お世話になります」
神崎晶が、眼鏡をかけた怜に深々と頭を下げた。
その様子に、『リフレイン・ビート』のメンバーは
「かっこいい……」と見とれる。
怜は無言で頷き、彼女たちをちらりと見た。
そして、隣のスタジオから、
クリムゾン・シールドの音が漏れ聞こえてきた。
一音、一音、魂が込められた、パワフルな演奏。
代表曲『Crimson Sky』の、
ドラマティックで疾走感のあるメロディが、
壁越しにも心臓を直接叩いてくるようだ。
「え、すごい……全然違う……」
奏が呆然と呟く。
自分たちの音とは、あまりにもかけ離れた音だった。
響は、鳴海律架のドラムに釘付けになった。
正確かつ豪快。
一打一打が、まるで雷鳴のように響き渡る。
「私たち、やばくない?」
響は焦りの色を隠せない。
これまで頑張ってきた自分たちの練習が、
まるで子供の遊びのように思えてきた。
梓咲も、その音に耳を傾け、
静かにベースを抱きしめ直す。
結月は、プロの技術の高さに感銘を受けながらも、
その厳しさに、どこか身震いしているようだった。
クリムゾン・シールドの演奏は、
リフレイン・ビートの面々に、
プロの壁の高さと、音楽の厳しさを痛感させた。
それは、ただの練習風景ではない。
彼女たちにとっての、真紅の壁、襲来だった。
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<SNS(X)タイムライン>
@RefrainBeat_KANA 2025/06/20 19:15:00 JST
#プロの音 #圧倒的 #頑張らなきゃ
クリムゾン・シールドさんの練習、すごかった…!
隣のスタジオから聞こえてくる音に、体が震えちゃった。
私たちも、いつかあんな風に…!
@CrimsonShield_Official 2025/06/20 20:00:00 JST
#新拠点 #リズムガーデン #本格始動
リズムガーデンスタジオでの練習を開始。環境も良好。
ここで更なる高みを目指す。オーナーの神楽坂怜氏には感謝する。
@RhythmGarden_Ray 2025/06/20 20:30:00 JST
#新陳代謝 #成長の兆し #まだ遠い
新しい血が入ったか。まあ、悪くはない。だが、まだまだだな。
【次回予告】
響:「文化祭ライブ、もうすぐじゃん!」
梓咲:「しかも、私、熱出ちゃった…最悪…」
奏:「ええーっ!?じゃあ、ベースは…?」
怜:「…仕方ないな。貸しだからな」
第6話 サブタイトル:『緊急事態!天才の代打』