第4話 秘密の音色と、甘い罠
<SNS(X)タイムライン>
@RefrainBeat_KANA 2025/06/16 17:45:00 JST
#お菓子タイム #バンド談義
練習のあとはお菓子!今日はみんなでどんなお話するかな?
@Tsukishima_Hibiki 2025/06/16 17:50:00 JST
#ブレイズ #伝説のバンド
そういえば、昔のバンド特集でブレイズってのが載ってた!
オーナーさん、あのバンドのこと知ってるかな?
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あれから3日。
スタジオ練習を終えた『リフレイン・ビート』の面々は、
リズムガーデンのカフェスペースで一息ついていた。
今日の練習では、怜のアドバイスのおかげで、
リズムのずれも解消され、かなりスムーズに音が出せた。
「疲れたねー、お菓子食べよ!」
奏がリュックから、コンビニで買ってきたばかりの
限定ポテチを取り出す。
「おお! 奏、ナイス!」
響が目を輝かせる。
梓咲も、いつもは無関心なフリをするが、
ポテチの袋に視線を向けている。
「私が先に開ける!」
響が勢いよくポテチの袋に手を伸ばした。
「ずるい! 公平にじゃんけん!」
奏が慌てて抗議する。
ポテチを巡って、響と奏がプチ争奪戦を繰り広げた。
その横で、結月は上品に紅茶を飲んでいる。
「あらあら」と、微笑ましそうに二人を見守る。
「結月ちゃんも、一口どう?」
響が、じゃんけんで勝ち取ったポテチを
結月の口元に差し出す。
「わたくしは、結構ですわ。わたくし、あまり
ジャンクなものはいただきませんので……」
結月が遠慮がちに言う。
「えー、美味しいのに! ほら、一口だけ!」
響が食い下がるので、結月は困ったようにポテチを一口。
すると、その瞬間、彼女の目が大きく見開かれた。
「あら、意外とジャンクな味も美味しいのですね!」
予想外の美味しさに、結月は思わず笑みをこぼした。
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それぞれがお菓子を頬張りながら、談笑していると、
響のスマホから、ロックなギターサウンドが流れ出した。
響がスマホ画面をのぞき込み、目を輝かせる。
「あ! この雑誌、ブレイズの記事だ!」
響がカフェスペースの端に置いてあった音楽雑誌を指差す。
「『伝説のロックバンド、ブレイズ!』だって!
めっちゃカッコいい! 見て見て、このボーカルさん!」
響は雑誌に載っていた「ブレイズ」のライブ写真を見せる。
奏と結月も、興味津々で雑誌を覗き込む。
「うわー、本当にカッコいいね!」奏が感心する。
「まるで、伝説の騎士団のようですわ」結月も目を輝かせる。
「この『Burning Soul』って曲、PVもすごいんだって!
ちょっと見てみようよ!」
響がスマホで「ブレイズ」の代表曲『Burning Soul』の
PVを検索し、カフェスペースのテレビに接続した。
梓咲は、その話題を耳にした瞬間、
読んでいた本をぴたりと閉じた。
少しだけ、表情が硬くなったように見える。
そして、手元にあった別の雑誌を、
慌てたように自分のリュックに隠した。
カフェスペースの奥。
眼鏡をかけた怜が、その話題を耳にしていた。
手元のカップを持った手が、微かに揺れ、
カチャリと音を立てる。
彼女はすぐに表情を取り繕ったが、
その一瞬の沈黙に、メンバーは何かを感じ取った。
テレビから流れる『Burning Soul』の激しいサウンド。
そして、カリスマ的なボーカルの東堂詠、
クールなベーシストの汐見隼、
そして、圧倒的なドラムプレイを披露するRAY。
その演奏は、画面越しでも彼らの心を震わせた。
「うわー! このドラムの人、めちゃくちゃすごい!
神業じゃん!」
響が画面のRAYに釘付けになる。
梓咲も、普段は感情を表に出さないが、
そのドラムプレイには見入っているようだった。
「怜さん、もしかしてそのブレイズってバンド、
知ってるんですか?」
響が何気なく怜に尋ねる。
怜は無言で、手元の雑誌に目を落としたまま。
その視線は、紙面に固定されているようだった。
不自然な沈黙が流れる。
響は、怜の様子に何かを感じ取ったようだった。
「あれ……? 何かあったんですか?」
問いかける響の声に、怜は何も答えない。
怜の表情は変わらない。
だが、その背中からは、
「これ以上、何も聞くな」という
無言の圧力が伝わってくるようだった。
リフレイン・ビートのメンバーは、
それ以上、ブレイズの話題に触れることができなかった。
カフェスペースに、ただ『Burning Soul』の
重厚なサウンドだけが響き渡る。
そして、その音の奥底には、
怜の秘められた過去が、静かに横たわっていた。
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<SNS(X)タイムライン>
@RefrainBeat_KANA 2025/06/16 20:00:00 JST
#お菓子タイム #バンド談義 #ブレイズ
今日、練習頑張ったご褒美に、みんなでお菓子パーティー!
ブレイズってバンド、やっぱりカッコいいね!
響ちゃんがオーナーさんとブレイズの話してるの、
こっそり聞いちゃった…!
@Kino_Azusa 2025/06/16 20:15:00 JST
#読書 #情報収集 #冷静な分析
(…なぜこのタイミングでブレイズの話題を…私の動揺、
悟られていないだろうか。そして、あのオーナーの反応。
やはり、何か…?)
@RhythmGarden_Ray 2025/06/16 20:30:00 JST
#過去の残響 #騒がしい客 #平穏崩壊
平穏な時間も長くは続かないものだな。
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【次回予告】
奏:「プロのバンドが、あのスタジオに来るんだって!」
響:「私たち、大丈夫かな…?」
神崎 晶(CV: クールな声):「邪魔だ」
第5話 サブタイトル:『真紅の壁、襲来』