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第10話 ブレイズの影と、過去の旋律

<SNS(X)タイムライン>

@CrimsonShield_Akira 2025/07/06 15:00:00 JST

#ブレイズ #伝説 #超えたい壁

まさかあのブレイズに、こんな身近な場所で縁があったとは。

直接話を聞く機会があるかもしれない。

私たちは、あの伝説を越えられるだろうか。


@Tsukishima_Hibiki 2025/07/06 15:30:00 JST

#怜さんの過去 #衝撃の告白

怜さんから、昔すごいバンドしてたって話を聞く。

なんで辞めたんだろう…。


---


あれから3日。

リズムガーデンのカフェスペースで、

クリムゾン・シールドの神崎晶が、

オーナーの怜に話しかけていた。

彼女の目は、憧れと敬意で輝いている。


晶は周囲をちらりと伺うと、

カフェスペースの隅に座る怜の席に近づき、

声をひそめて耳打ちするように言った。

「神楽坂怜氏……いえ、Rayさん、ですよね?」

晶の声は、普段のクールなステージ上とは違い、

わずかに震えていた。

怜は、コーヒーを片手に、

無言で彼女の言葉に耳を傾けている。


「私たち、『ブレイズ』にすごく憧れてるんです!」

晶の言葉に、怜の表情が、

ほんの一瞬だけ、ぴくりと反応した。

しかし、すぐにいつもの無表情に戻る。


「特に怜さんのドラムは神でした!

『Burning Soul』のライブ映像、何回も見ました!」

晶は熱っぽく語る。

その言葉に、怜は顔を背けた。

過去の自分を褒められることに、

どこか居心地の悪さを感じているようだった。


その会話を、カフェスペースの奥で

ジュースを飲んでいた響が耳にした。

響は、スマホで「ブレイズ」のライブ映像を見ていた。

画面の中の、圧倒的なドラムプレイを披露するRAY。

その姿と、目の前の怜が、

どうしても重なって見えてしまう。


響は意を決して、怜の前に歩み寄った。

そして、周りに聞こえないよう、

そっと怜の耳元に顔を寄せ、耳打ちした。

「怜さんが、昔すごいバンドしてたって、

このスタジオのベテランの利用者さんから聞いたんですけど、

本当なんですか?

……なんで辞めちゃったんですか?」

響の質問は、あまりにもストレートだった。

奏と結月は、響の無邪気な直球質問に、

「あわわ……」とヒヤヒヤしながら見守る。


梓咲は視線を伏せ、そっと指でグラスを回していた。


怜は、一瞬、言葉に詰まった。

手元のカップを握る指に、わずかに力がこもる。

「……色々あったんだ」

そう呟くと、怜は遠い目をして、

窓の外の景色に視線を向けた。

その瞳には、過去の光景が映し出されているかのようだ。


「期待されすぎた」「自分じゃない音を求められた」

怜は、言葉少なに過去を語り始めた。

ブレイズが商業的な成功を追求する中で、

より大衆向けの楽曲を求められるようになり、

自身の求める純粋な音楽性との乖離に苦悩したこと。

海外での活動を通じて得た新たな音楽的知見と、

バンドの目指す方向性とのずれ。


その時、怜の脳裏には、

かつてのリーダー・東堂詠との衝突の記憶がよぎった。

激しい口論、そして、決別。

響は、怜の言葉を真剣な顔で聞いている。

その背中から、今まで知らなかった

怜の深い葛藤と、秘められた情熱を感じ取っていた。


「いつまでも過去に囚われている場合ではない」

怜は、自分に言い聞かせるように呟いた。

その言葉の奥には、過去との決別、

そして、新たな一歩を踏み出そうとする、

彼女自身の強い意志が芽生え始めたことが感じられた。

響は、静かに怜の背中を見つめていた。


---


<SNS(X)タイムライン>

@CrimsonShield_Akira 2025/07/06 18:00:00 JST

#ブレイズ #伝説 #超えたい壁

まさかあのブレイズに、こんな身近な場所で縁があったとは。

直接話を聞く機会があったが、やはり只者ではない。

私たちは、あの伝説を越えられるだろうか。


@Tsukishima_Hibiki 2025/07/06 18:30:00 JST

#怜さんの過去 #衝撃の告白 #ドラムの神様

怜さんから、昔すごいバンドしてたって話を聞いた。

音楽性の違いで辞めたって…。なんだか切ないけど、

もっとあの人のドラムが見たいって、強く思った。


@RhythmGarden_Ray 2025/07/06 19:00:00 JST

#過去の清算 #成長 #面倒な質問

なぜか、過去を語ってしまった。これも、成長か?(ため息)


【次回予告】

奏:「次のライブ、クリムゾン・シールドさんと同じステージなんだね!」

響:「え、怜さん、あの外国人となんか話してるけど…まさか、彼氏!?」

怜:「……(珈琲を吹き出す)」

第11話 サブタイトル:『合同ライブ前夜、意外な再会』

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