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破滅の王 : 第1巻 覚醒  作者: モーゼス・オノジェグウォ
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集まる嵐

リサは深い森の中を駆け抜け、浅い息で喘いだ。枝が必死に引き戻そうとする手のように、彼女の肌を引っ掻いた。ジェイコブは容赦なく彼女の前を進んでいたが、彼女はついていくのに苦労した。疲労のためではなく、胸の重みのためだった。


二人は着地した場所さえ知らなかった。


コル。


彼女は彼を置き去りにしてしまった。


心のどこかで、戻らなければならない、彼のために戦わなければならないと叫んでいた。彼のそばにいたら、彼の兄弟たちを止めることはできない。そして、もし失敗したら――コルが本当に魔王になったら――愛する男が、まさに世界が恐れる存在になるのを見届けられるかどうか、彼女は確信が持てなかった。


ジェイコブはようやく速度を落とし、振り返った。「ここで止まるわけにはいかない。戻らなければならない。」


リサは大きく息を呑み、頷いた。「わかってる。ただ…」彼女は言葉を詰まらせ、ためらった。


「今、何だって?」ジェイコブは押した。


彼女は首を横に振った。「何でもない。そのまま進もう。」


ジェイコブはそれ以上は押し付けなかったが、彼女の目に疑念が浮かんでいるのがわかった。彼は彼女のことをずっとよく知っていた。


森の奥深くへと進むにつれ、奇妙な静寂が彼らを包み込んだ。風も、葉のざわめきも、遠くの動物たちの声も聞こえない。空気そのものが、まるで世界が息を止めているかのように、異様な感覚を覚えた。


リサは歩みを止めた。「何かが来る。」


ジェイコブは身構え、武器を抜いた。「近くにいろ。」


前方の木々が不自然に曲がり、幹はまるで見えない何かから身をかわそうとするかのようにねじれていた。空気が冷たくなり、そして影の中から人影が姿を現し始めた。


狩人ではない。


魔女でもない。


もっと悪い何かだ。


彼らの肌は灰色で、目は虚ろで、不気味な銀色の光を放っていた。彼らは不気味なほどに息が合った。まるで見えない糸で操られる操り人形のように、体が揺れ動いていた。


リサの心臓は高鳴った。「呪われた者たちだ」とジェイコブが言った。


ジェイコブは歯を食いしばった。「全滅したと思っていたのに」


「何だって?」リサは囁いた。「つまり、誰かが蘇らせたということか」ジェイコブは心の中で思った。


呪われた者たちとは、旧世界の戦士たちだった。戦いで倒れた男女が、闇の魔法によって蘇ったのだ。彼らは痛みも恐怖も感じなかった。ただ、狩りと殺戮への容赦ない衝動だけを感じていた。


リサは力を召喚する時、震える手を伸ばした。指先に光が集まった。しかし、戦いの準備を整えながらも、ある考えが彼女の心を支配していた。


コル。


呪われた者たちがここにいるなら、もっと恐ろしい何かが地平線に迫っている。


嵐が迫っている。


そして、誰もそれを止められるのかどうか、彼女には分からなかった。

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