目覚め
コルとジェイコブは寺院の入り口で急停止した。頭上を渦巻くエネルギーの渦に視線を釘付けにした。足元の地面が震え、まるで地表の下で何かが解き放たれようともがいているかのようだった。
ジェイコブは鋭く息を吐いた。「彼女が、君よりも悪い何かを呼び起こしたんじゃないと言ってくれ。」
コルは拳を握りしめた。「彼女は知らないだろう。」
寺院の中で、リサは凍り付き、脈が激しく高鳴っていた。壁に刻まれた古代のシンボルは燃えるように輝き、エネルギーは濃く息苦しいほどだった。儀式のために自分の手を切った手のひらから滴る血に、彼女はほとんど気づかなかった。それは、彼女が知らない犠牲を必要としていた。
声が再び響いた。今度はより大きく、古風で威圧的だった。
「既に始まったものを止めることはできない。」
リサは息を呑んだ。部屋の端で影がねじれ、何か――誰か――へと姿を変えた。
暗闇の中から、そびえ立ち、力に身を包んだ人影が前に出てきた。ただの力ではない――コルの力だ。
違う…年老いた。より強い。
リサはよろめきながら後ずさりし、心の中でそれが分かった。写本にはこう記されていた。
真の魔王。
歴史から抹消された者。
コルは、人影が完全に姿を現したまさにその時、中に飛び込んだ。金色の瞳は衝撃で見開かれた。彼は即座に悟った――これが全ての起源だと。
人影の視線が彼に向けられ、唇の端に薄笑いが浮かんだ。
「それで」と、その存在は遠く雷鳴のような声で呟いた。「お前こそが私の血を継ぐ者か。」
コルの喉が乾いた。
過去はもはや彼らを悩ませるだけではなかった。
それは王座を取り戻すためにやって来たのだ。
寺院の空気は耐え難いほどに濃くなり、コルの身も凍るような古代の力が満ち溢れていた。目の前の人物は単なる亡霊ではなく、実在していた。生きている。強大な力を持つ。
リサは息を荒くし、原稿を胸に抱きしめた。「コル…」彼女はかろうじて聞こえる声で囁いた。
コルは返事をしなかった。全身が硬直し、全身の神経が彼に行動を起こせと叫んでいた。しかし、何かが彼を阻んでいた。原始的な何かが。
人物は一歩前に出た。その動きは慎重で、抑制されていた。「お前は私の力をうまく使いこなしているな」と彼は暗い唸り声で言った。「だが、お前はまるで火遊びをする子供のように振るっている。」
コルは拳を握りしめた。「一体お前は誰だ?」
人物はニヤリと笑った。「とっくに消え去った名前だ。だが、お前は…もう私が何者か知っている。」
リサの思考がぐるぐる回り、様々なピースが繋がった。最初の真の魔王。歴史が忘れ去ろうとした者。
彼の力が迸るにつれ、神殿は震え上がり、石に蜘蛛の巣のような亀裂が走った。
ジェイコブは筋肉を緊張させ、戦闘態勢に入った。「嫌だな」と彼は呟いた。
コルはゆっくりと息を吐き出し、ニヤリと笑った。「死人にしてはよく喋るな」
魔王の目は面白そうに輝いた。「そう言われたのか? 俺が死んだと?」
リサの胃が落ちそうになった。
コルが反応する間もなく、魔王は動いた。
考えていたよりも速かった。
コルの世界は激痛で破裂した。胸に手が叩きつけられ、彼は神殿を横切って吹き飛ばされた。彼は向こうの壁に激突し、衝撃で石が砕け散った。
ジェイコブの剣はすでに抜かれていた。「リサ、動け!」
しかし、リサは動けなかった。
魔王はもうコルを見ていなかったからだ。
彼は彼女を見ていた。
「お前か」彼は首を傾げながら呟いた。「お前の血は何か…見覚えのある歌を歌っている。」
リサは息ができなかった。
それから彼は微笑んだ。
「女神の血統か。意外だな。」
コルは無理やり立ち上がり、口元の血を拭った。「彼女に近づくな。」
魔王はかろうじて彼を睨みつけた。「彼女はお前が守るべき者ではない。」
コルの目が暗くなった。「そんなはずはない。」
地面が再び揺れ、神殿は今にも崩れ落ちそうだった。
過去はただ戻ってきただけではない。
過去は自ら書き換えられていた。
かつて、コールはかつての魔王オーウェンを倒した。だが、それは正しい理由からではなかった。そして、彼を殺したと思った時、彼は自分が実際には死んでいなかったことに気づいていなかった。すべてを自分の方向へ導こうとする、もっと多くの力が働いていたのだ。影に潜み、まるでビデオゲームのようにすべてを操る者たち。彼は自分がすべてを支配していると信じ、平和こそが自分の運命だと思っていた。しかし、いつも言っているように、あまり多くは明かしたくない。これから多くのことが明らかになるだろう。どうかお付き合いください。各エピソードに「いいね!」やコメント、感想を投稿してください。一緒に成長していきましょう。どうもありがとうございました。