過去の重み
風は血と灰の匂いで重く漂っていた。
コルは家の前に立っていた。体はすり減り、傷つき、心は記憶の嵐に飲み込まれていた。ジェイコブはコルの腕の中でぐったりと横たわり、呼吸は浅く、戦いで傷ついた体は衰えていた。リサはコルの傍らに立ち、揺るぎない存在感を放ち、その瞳には生々しい何かが宿っていた。コルが何世紀も見ていなかった何かが。
愛。献身。
彼女は彼の過去を見た。彼の痛みを感じた。それでも、彼女はここにいた。
家の扉がゆっくりと軋む音を立てて開いた。
銀髪と鋭い青い目をした背の高い男が戸口に立っていた。リサの父親。ハンター一族の長。血は繋がっていなかったが、リサを育てた男。
彼の視線はすぐにコルに釘付けになった。ハンターの本能は、予期せぬ客を前にしても決して衰えなかった。彼の視線は、傷ついたジェイコブの姿へと移り、それからリサへと移り、そして再びコルへと戻った。
二人の間に沈黙が広がった。
コルは何も言わなかった。何も言えなかった。胸が締め付けられるような感覚に襲われ、思考は過去に、自分がしてきたことすべての重みに絡み合っていた。
リサの父親は鋭く息を吐き、脇に寄った。「一晩中そこにいるつもりか?それとも、中に入るのか?」
コルはためらった。永遠のように感じられた時間の中で初めて、彼は見慣れない何かの入り口に立っていた。
戦争ではない。戦いでもない。
家だ。
リサは彼の手を取った。
そして、久しぶりにコルは前に踏み出した。
そして、過去が再び崩れ落ちてきた。
山の空気は冷たかった。
コルは岩だらけの地面にひざまずき、両手を握りしめ、悲しみと怒りで体が震えていた。服についた血はとっくに乾いていたが、まだその温かさを感じていた。
リサの血だ。
彼女は死んでいた。
デインが彼女を殺した。まさに彼の目の前で。
コルは叫びたかったが、声は出なかった。何かを破壊したかったが、体は弱り果て、何も残らないまで世界を引き裂きたかった。
しかし、エリザベスが彼の傍らに立っていた。
彼女は彼を兄弟たちから救い、死の淵から救い出し、ここ――魔界の最高峰――戦火の触れていない場所へと連れてきたのだ。
コルはうつろな目で頭を上げた。「なぜ私を救ったのですか?」
エリザベスはすぐには答えなかった。彼女は彼の傍らにひざまずき、金色の瞳には悲しみにも似た何かが宿っていた。「愛する人を失うことがどんなことか、私は知っているから。」
コルは歯を食いしばり、両手を土に突き刺した。「死なせておくべきだった。」
エリザベスはゆっくりと息を吐いた。「もし本当に死を望んでいたのなら、転生の呪文を盗むはずがない」
コルはたじろいだ。
彼女は知っていた。
彼はリサのためにそうしたのだ。全てが燃え尽きようとも、世界が彼に背を向けようとも、彼は彼女を手放すことができなかった。
エリザベスはため息をつき、背筋を伸ばした。彼を見下ろしたが、表情からは読み取れなかった。
「あなたの力への渇望が、私たちをここに導いたのです」と、彼女は静かに、しかし毅然とした声で言った。「あなたは強さを求め、そして今、私たちの家族は消え去りました。王国は崩壊しました。そしてリサは…」彼女は少し間を置いて言った。「リサは死んだのです」
コルは目をぎゅっと閉じた。
エリザベスは再びひざまずき、彼の肩に軽く手を置いた。「もしまたこんなことが起こったら…もしあなたの力がこの世界を脅かすようなことがあれば、コル…」彼女の指は強く握り締められた。「私があなたを殺します」
コルは何も言わなかった。
彼は彼女を信じていたからだ。
そして、彼女の言う通りになるのではないかと彼は恐れていた。
突然、コルの意識が現実に戻った。
コルはリサの家に立っていた。腕の中ではまだ意識のないジェイコブを抱えていた。リサの父親は二人の後ろでドアを閉め、外界から彼らを隔離した。
家の暖かさは息苦しかった。異質だった。
リサはコルの腕に優しく触れた。彼は彼女を見つめたが、表情は読み取れなかった。
「もう大丈夫よ」と彼女は囁いた。
コルはそれが何を意味するのか分からなかった。
しかし今は、試してみることにした。
そして、遠い昔のあの血みどろの夜以来初めて、彼は休息を取った。




