表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/106

第95話「ソウル・ダイブ」

第95話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

サリアの魂は、暗く果てしない深淵を落ち続けていた。

そこは光も音もなく、ただ冷たい闇だけが広がる世界。

重力も方向もなく、ただ“落ちている”という感覚だけが続く。

だが、その闇の奥に――微かな光があった。

サリアはその光に向かって手を伸ばした。

その光は、彼女が何度も夢に見た温もりだった。


キヨフレッドの魂。


彼は静かに座り込み、まるで眠るように目を閉じていた。

深淵の闇に溶け込むように、静かで、儚くて、触れれば消えてしまいそうだった。

サリアは震える手で彼に触れた。

「……キヨ……!」

その瞬間、彼の魂がゆっくりと目を開けた。

深い闇の中で、彼の瞳だけが温かく光っていた。

「……サリア……どうして……ここに……」

その声は、現実の彼と同じだった。

優しくて、少し困ったようで、サリアの心を包み込む声。

サリアは涙をこぼしながら抱きついた。

「あなたを……迎えに来たの……!

だって……あなたは私の愛する人なのよ……!」

キヨフレッドは目を見開き、そして悲しそうに首を振った。

「だめだ……サリア。

ここは魂の深淵……サリアが来ていい場所じゃない……」

「そんなの関係ない!

あなたを一人にしておけない……!」

サリアの叫びが深淵に響いた。

その声は震えていたが、強かった。

愛する人を失う恐怖と、絶対に離さないという決意が混ざっていた。


だが、その声に応えるように――

深淵の闇が、サリアの魂を飲み込もうと蠢き始めた。

「……っ!?」

魂が削られるような痛みが走る。

視界が白く染まり、意識が遠のいていく。

深淵は“異物”を許さない。

サリアの魂を引き裂き、闇に溶かそうとしていた。

「サリア!!」

キヨフレッドが彼女を抱きしめた。

その腕は温かく、しかし震えていた。

「だめだ……サリア……サリアの魂が……消える……!」

「キヨ……わたし……あなたを……」

言葉が途切れ、サリアの魂が崩れ始める。

深淵が彼女を引き裂こうとしていた。

キヨフレッドは歯を食いしばり、

サリアの魂を抱きしめたまま叫んだ。

「――帰れ!!

サリア……生きろ!!」

その叫びは、深淵の闇を裂いた。

光が爆発し、サリアの魂は強制的に深淵から弾き飛ばされた。

キヨフレッドの姿が遠ざかる。

彼の手が離れていく。

「キヨ――!!」

サリアの叫びは闇に吸い込まれ、

彼女の意識は現実世界へと戻されていった。


・・・・・・・・・・


「――っ!!」

サリアは跳ね起きた。

息が荒く、胸が苦しい。

全身が汗で濡れ、手は震えていた。

魂の深淵から戻ったのだ。

「……キヨ……!」

サリアはすぐに寝台へ駆け寄った。

キヨフレッドは相変わらず静かに眠っている。

呼吸は弱く、瞳は閉じたまま。

サリアは彼の手を握りしめた。

「キヨ……どうして……どうして私を戻したの……

あなたの魂は……まだ深淵に……」

返事はない。

だが、サリアは気づいた。

――彼の手が、ほんの少しだけ温かくなっている。

「……キヨ……あなた……」

サリアの目から涙が溢れた。

深淵で彼が見せた表情。

自分を守るために、魂の力を振り絞って押し戻したあの瞬間。

「どうして……どうして自分を犠牲にするの……

わたし……あなたを助けたかったのに……!」

サリアはキヨフレッドの胸に顔を埋め、泣き続けた。

彼の魂はまだ深淵に囚われている。

だが――確かに彼はサリアを守った。

その証拠が、彼の手の温もりだった。


・・・・・・・・・・


サマヴァーとエアリが駆け寄ってきた。

「サリア! 大丈夫か!?」

「サリア……戻ってきたんだね……!」

サリアは涙を拭き、二人に微笑んだ。

「……うん。

でも……キヨはまだ深淵にいる。

私を守ってくれたの……」

エアリは唇を噛み、涙をこぼした。

「キヨ……そんな……

サリアのことが……本当に大事なんだね……」

サマヴァーは拳を握りしめた。

「……あいつらしいよ。

だが、サリア。

お前が戻ってきてくれて……本当に良かった」

サリアは首を振った。

「まだ終わってない。

キヨは……まだ深淵にいるの。

だから……今度は今度こそは私が……」


サリアはキヨフレッドの手を握りしめた。

「キヨ……絶対に……絶対にあなたを取り戻す……

今度こそ……あなたを救う……!」

彼女の声は震えていたが、強かった。

愛する人を失う恐怖と、絶対に離さないという決意が混ざっていた。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

・ブックマーク

・下の評価で5つ星

よろしくお願いいたしますm(__)m

つけてくれると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ