第9話「三賢カンベルトゥス・クロヌス」
第9話
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基礎教育の歴史と地理を教えてくれるのは、エドザー王国の三賢がひとりであるカンベルトゥス・クロヌス先生だ。
カンベルトゥス:「儂はカンベルトゥス・クロヌス。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、よろしくじゃぞ~。今日は、特別な人物を紹介しようと思う」
カンベルトゥス先生は、目を輝かせながら話し始めた。
彼の手には古びた巻物が握られており、その内容に興奮を抑えきれない様子が伺える。
カンベルトゥス:「その名もキヨフレッド・フォン・ヒーゴ!彼はただの魔導士ではなく、大魔導士なのだ!どうだ!すごいじゃろ~」
カンベルトゥス先生は、260年前の大魔導士キヨフレッド・フォン・ヒーゴの大ファンのようで、第1回目の歴史の授業で興奮気味にキヨフレッドについて語る。
私としては、そんなに褒められても何も出ませんよ~と心の中では言いながらも、悪い気はしていないし、正直なところ恥ずかしい思いすらしている。
でも、カンベルトゥス先生のおかげで、歴史上、大魔導士と呼ばれるのはキヨフレッド・フォン・ヒーゴ、つまり私ただ一人であることがはっきりとした。
カンベルトゥス:「彼の功績は計り知れんのじゃ。魔法の技術はもちろん、その知識と洞察力も素晴らしいものじゃった」
カンベルトゥス先生は熱く語り続ける。
カンベルトゥス:「キヨフレッドは戦場で多くの勝利を収めただけでなく、魔法の研究においても新しい道を切り開いたのじゃ。儂がこの大陸で最も尊敬する人物の一人じゃ」
カンベルトゥス先生はそう断言しながら、キヨフレッドの業績を次々と紹介していく。
そして、大魔導士キヨフレッドを失ったことで、ヒーゴ魔法王国は滅亡するし、人間族の魔法自体も衰退してしまったというのが、カンベルトゥス先生の見解だった。
いやー、私の死が、そこまで影響するものなのかな?
あまりピンとはこないのだが・・・
次に、カンベルトゥス先生は、この大陸の260年前の古代地図を見せてくれた。
戦国時代と表現していた。
確かに、大陸を治めていた絶対的な王家の力が弱まり、多くの国が乱立し、戦争が絶えない時代だった。
私は戦が好きではなかったが、侵略されたら黙ってみている性格でもない。
多くの戦で前線に立ち、多くの活躍をした。
そして、いつの間にか、味方からも敵からも大魔導士と呼ばれ、恐れられる存在となっていた。
カンベルトゥス:「今日はここまでじゃ。3か月後に古代都市遺跡の見学にいくからのぉ。ちょっとした魔物が出るから、剣術の授業にはしっかりと出席しておくのじゃぞ~。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、楽しみじゃの~」
カンベルトゥス先生は、右手を高々と挙げて、ヒョイヒョイと振りながら、講義室を出ていった。
カンベルトゥス先生がしゃべり倒した第1回目の歴史の授業だった。
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