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第73話「光と闇の決着」

第73話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

氷の槍が空から降り注ぐ。

鋭い氷柱が雨のように突き刺さり、芝生を砕き、空気を凍らせる。

だが、白銀の剣士ブロンは剣を振り抜き、閃光の刃で氷を砕き散らした。

白狼ガオンの吠え声が響き、砕けた氷片は光の粒となって消えていく。

オロセルは笑みを浮かべ、黒い剣を抜いた。

「剣も魔法も、我が未来視には通じぬぞよ」

次の瞬間、剣と剣が激しくぶつかり合い、芝生を震わせる。

ブロンの白銀の剣は光を纏い、オロセルの黒剣は闇を引きずる。

一撃ごとに火花が散り、衝撃波が周囲の窓を砕き、破片が宙を舞った。

ブロンは剣だけでなく魔法を織り交ぜる。

白銀の光を剣に宿し、斬撃と同時に閃光を放つ。

その光は闇を裂き、芝生を照らすが――オロセルは水晶球を掲げ、未来を読み取るかのように攻撃をかわす。

さらに氷の鎖を呼び出し、ブロンの腕を絡め取ろうとする。

「未来はすでに私の手の中にあるぞよ!」

氷の鎖がブロンの腕を絡め取り、動きを封じる。

一瞬、体が止まる――その隙を狙い、オロセルの黒剣が振り下ろされた。

刃は闇を纏い、未来を断ち切るかのように迫る。

だが、ブロンの胸元の白銀メダルが輝き、白狼ガオンの吠え声が再び響く。

「ガォォォォーーーン!」

その瞬間、鎖は砕け散り、ブロンの体に力が満ちる。

彼は剣を振り上げ、白銀の閃光を放った。

光と闇がぶつかり合い、芝生を中心に爆風が広がる。

互いの力が拮抗し、押し合い、ねじれ合う。

芝生は抉れ、空気は震え、周囲の建物は軋みを上げる。

未来を読む魔族と、未来を切り開く剣士――その力の衝突は、まるで世界の均衡を試すかのようだった。


だが――最後に残ったのは、白銀の閃光だった。


オロセルの黒剣は砕け、水晶球は地面に落ちて割れた。

魔族の体は光に包まれ、呻き声を残して闇へと消えていく。

ブロンは膝をつき、荒い息を吐いた。

「・・・・・間一髪、だったな」

芝生にはまだ血が広がり、モジャー・モーリンの息は弱い。

だが、未来を断ち切ろうとした魔族は退けられた。


・・・・・・・・・・


戦いの余韻が芝生に残る。

漆黒の魔族オロセルは光に呑まれ消え去り、静寂だけが広がっていた。

その中心に横たわるのは、瀕死の 三賢モジャー・モーリン。

腹には深々と突き立ったナイフ。

血に染まった芝生の上で、彼の呼吸は弱々しく、意識はすでに遠のいていた。

白銀の剣士ブロンは静かに膝をつき、ナイフの柄に手をかける。

「・・・・・耐えてくれ」

低く呟き、慎重に刃を引き抜く。

血がさらに溢れ、芝生を濡らす。

次の瞬間、ブロンの掌から白銀の光が溢れ出す。

回復魔法の輝きがモジャーの体を包み込み、裂けた肉は閉じ、砕けた骨は元通りに繋がっていく。

その光は完璧な治癒をもたらし、傷跡ひとつ残さなかった。


だが――失われた血液までは戻らない。

モジャーの顔は蒼白のまま、意識は深い眠りに落ちていた。

それでも、弱々しい呼吸が確かに続いている。

一命は取り留められたのだ。


ブロンは静かに立ち上がり、夕暮れの芝生を見渡す。

「・・・・・未来はまだ、繋がっている」

そう呟くと、白銀のマントを翻し、足音もなくその場を去った。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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