第58話「シュークリーム」
第58話
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ノックの音がした。
トシード:「セバスか?入っていいぞ」
ドアを開け、セバスが入ってくる。
執事セバス:「シュークリームと紅茶をお持ちしましたが、いかがでしょうか?」
トシード:「ああ。そこに置いてくれ」
すました顔で、試作中の魔道具や材料で散らかっているテーブルに視線を向ける。
セバスは顔色一つ変えず、テーブルを片付け始める。
プロフェッショナリズムが感じられる。
さすがセバス。
侍女のジーンも入ってきて手伝い始めるが、顔は不満そうだ。
子白狼のガオンが「大丈夫か?」といった雰囲気でこちらを見てくる。
私は「仕方ないだろ」といった雰囲気で見返す。
魔道具と材料は整然と分類され並べられた。
テーブルは綺麗になり、そこにシュークリームと紅茶が置かれた。
そして、子白狼ガオン用のミルクも床に置かれている。
素晴らしい。
心の中で感謝を伝える。
お辞儀をして出ていこうとするセバスを呼び止める。
トシード:「セバス!丈夫な剣を何本かそろえておいてくれ。明日の朝までに」
執事セバス:「かしこまりました」
・・・・・・・・・・
セバスが出ていくと、子白狼ガオンは早速、ミルクをピチャピチャとなめ始める。
ガオンは子白狼のときは、無邪気で可愛くなる。
子白狼ガオン:「とっても美味しいおん」
トシード:「これもどうぞ」
といってシュークリームを差し出す。
子白狼ガオンは興味津々で鼻を近づけ、「あまくて、いい香り~」と言いながらうっとりとしている。
そして、一口かぶりつく。
私も笑いながら自分用にふんわりとしたシュー生地をそっと指でつまむ。
軽やかに弾む感触が心地よい。
その中には、たっぷりと詰め込まれた滑らかなカスタードクリームがあることが重量感でわかる。
一口かじる。
生地のほのかな香ばしさとともに、クリームがとろりと舌の上に広がり、優しい甘みが口いっぱいに満ちていく。
濃厚でありながらくどくない。
ほのかなバニラの香りが鼻をくすぐり、思わずもう一口と手を伸ばしてしまう。
食べ進めるたびに、クリームと生地の絶妙なバランスがもたらす幸福感に包まれ、最後のひと口を惜しむような気持ちすら芽生える。
シュークリームの美味しさに、完全に心を奪われ目を閉じてしまう。
しばらくして目を開けると子白狼ガオンがじっとこちらを見ている。
トシード:「ふふふ。そうだよな」
といって残りのシュークリームをすべて差し出す。
子白狼ガオンは嬉しそうに激しく尻尾を振っている。
興奮しすぎだ。
子白狼ガオン:「はむはむ、トシ、はむはむ、これは、はむはむ、何という食べ物だ?はむはむ、はむはむ、おん、はむはむ」
トシード:「ふふふ。シュークリームだよ。全部あげるから、ゆっくり味わってね」
子白狼ガオン:「おお、ありがと、はむはむ、そっか、はむはむ、シュー、はむはむ、クリーム、はむはむ、か、はむはむ、おん、はむはむ」
結局は、子白狼ガオンは休むことなくいっきにシュークリーム6個を食べきった。
子白狼ガオン:「はーーー、美味しかったおん。毎食、シュークリームでいいおん」
トシード:「ははは、じゃあ、しばらくデザートは毎回シュークリームにしようか」
子白狼ガオンは「おおお」といいながら目をウルウルさせている。
・・・・・・・・・・
翌朝、セバスが剣を届けてくれた。
エチゼルト家は剣を収集しているので、倉庫もとい宝物庫には剣がたくさんある。
その中から持ってきてくれたのだろう。
耐久ランク4の準業物の剣が10本だ。
さすがに、耐久ランク5の業物の剣はくれないか。
期待はしていなかったが、その事実を確認して、それはそれで残念だ。
セバスが申し訳なさそうな顔をしている。
トシード:「まあ、よい。十分だ」
セバスがお辞儀をし、朝食の準備へと戻っていく。
子白狼ガオン:「今日行くのかおん?」
トシード:「そうだな。行こうか」
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