第56話「紅茶とスコーン」
第56話
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エチゼルト騎士団の本陣。
ソリアムが嬉しそうに茶会の準備をしている。
紅茶とスコーンのようだ。
赤みの強い橙色で透明度が高く、美しく輝いている。
そして、スーッとした爽快な香りの中に薔薇のような華やかな香りも感じられる。
ひとくち口にすると、しっかりとしたコクと鋭い渋みの味わいが押し寄せる。
ソリアムが温められたミルクを片手に待ちわびている。
ロイヤルミルクティーのオーダーを待ちきれないようだ、ふふふ。
イネザベス:「ソリアム、とっても美味しい紅茶ね」
ソリアム:「ええ、私が選び抜いた茶葉ですから。特別な日のために遠征時はもってきています」
イネザベス:「特別な日?」
ソリアム:「はい、今日は特別な日です」
イネザベス:「へー、そうなんだ。何かあるのですか?」
おもわずズッコケるところだった。
可哀そうなソリアム。
目が点になっている・・・。
カコレット:「イネザベス先生。ちょうど良い日に来れてよかったですね~」
さらにズッコケるところだった。
イネザベスもカコレットも天然すぎる。
ソリアム:(・・・・・)
トシード:「そっ、それで、この紅茶の種類はなんですか?」
ソリアムの目に正気が戻る。
「ウ、ウヴァー紅茶ですよ。ミルクティーもお勧めです」
イネザベス、カコレット:「「ミルクティ~、素敵、淹れてちょうだい」」
そういうと2人はカップのウヴァー紅茶を飲み干し、ソリアムにカップを突き出す。
ソリアム:「はい、もちろんですよ」
というと、カップを受け取り、ロイヤルミルクティーを淹れはじめる。
えらい、ソリアムはめげずにえらい。
ふと横を見ると、父カフレッドと長兄イサルトは斜め上を向き、目を閉じている。
紅茶を味わっているわけではなさそうだ。
きっと、心の中で泣いているのだろう。
このけなげなソリアムの姿をみて涙がでない漢はいないだろう。
私も斜め上を向き、目を閉じる。
イネザベス:「このスコーンもとっても美味しいわ」
カコレット:「ええ、美味しいです!表面のカリカリが好きです!」
目を開けると嬉しそうにソリアムがスコーンの説明をし始めるところだった。
昨晩、ソリアムが焼いたとのことだ。
・フルーツはラム酒に漬け込むことで柔らかくなり、スコーンの生地と絶妙に馴染む
・焼く際に、表面に少しグラニュー糖を振ると、カリッとした食感がでる
イネザベスとカコレットがフンフンと大きく頷きながら聞いている。
この2人がお菓子作りをするとは思えないが、真剣に聞いているように見える。
スコーンについての話が全て終わったところで、
イネザベス:「ソリアム、素晴らしいわ。また、つくってね」
もうズッコケた。
やっぱりそうですよね、そうだと思った。
ソリアムは嬉しそうに笑顔で「もちろん、いつでも」と応える。
・・・・・・・・・・
父カフレッド:「さて、そろそろ本題に入りたいのだが、よいですかね?」
イネザベス:「もちろんですわ」
私は、椅子にしっかりと座りなおし、姿勢を正した。
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