第53話「白狼のマスクとマント」
第53話
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木々の間からこぼれる黄金色の光は森の奥深くまで染め上げ、葉の一枚一枚が夕日の輝きを受けて燃えるように色づき、風が吹くたびに光の波を揺らす。
遠く、鳥のさえずりが響き、夕暮れの静寂へと溶け込んでいく。
地面に広がる落ち葉は柔らかな光を抱きしめ、淡いオレンジと深紅の絨毯のように輝いている。
“白狼のダンジョン”をでた私と子白狼ガオンもオレンジ色に染まる。
トシード:「ガオン!」
子白狼ガオンは嬉しそうに頷くと、私へ向かって飛び上がる。
そして、私の頭上にきた瞬間、白銀の布がパァッーーーと広がり、風を切ってひるがえり、私の体を包み込んでいく。
瞬間、全身に力が満ちる感覚。
それはただの装いではない。
ひとつながりの白狼のマスクとマントを纏った私は、白狼と一体となったのである。
トシード:「ふふふ。じゃあ、いくか!」
胸元の白銀のメダルには立体的な白狼が刻まれている。
その白狼が目を開けると金色の瞳がキラッと輝きを放つ。
そして、誇らしげに吠える。
白銀メダルの白狼ガオン:「ガォォォォーーーン!」
風魔法を発動すると、嵐のような風が私の周囲に渦巻く。
大気が震え、木々がざわめきながらその力に呼応する。
そして、私は地を蹴る。
瞬間、風が爆発するように広がり、私の身体を持ち上げる。
森の中の木々を一気に通り抜け、まるで疾風の矢となって空へと舞い上がった。
高度が増すたびに風はさらに強くなり、私を翼のように支えていく。
トシード:「気分はどうだ?」
白銀メダルの白狼ガオン:「楽しいぞ。かっ飛ばしてくれ!」
遠くに広がる森の彼方へと視線を向けた私の瞳は、白狼の力を受けて鋭く輝いている。
トシード:「じゃあ、行くぞ!」
いっきにかっ飛ばす。
急上昇、急旋回、急降下、ともかく激しくかつ高速で飛ぶ。
白銀メダルの白狼ガオン:「ふっはぁーーーはははーーー!面白い、もっとだ、もっと、もっと」
トシード:「わかった!」
私は雲の上まで急上昇し、森の木々すれすれまでいっきに急降下する。
白銀メダルの白狼ガオン:「ひゃっほーーーーーー!!!すごすぎるーーーーーー。あばばばば」
トシード:「ふふふふふ。口は閉じておいた方がいいぞーーー」
そして、そのまま、高速で森の木々の間をぬうように飛行する。
白銀メダルの白狼ガオン:「うほほーーーい。いいぞ、いいぞ」
一通り楽しんだ後は、少し高度をあげて、森を見下ろし、ガオンと会話を楽しみながら等速飛行を続ける。
・・・・・・・・・・
トシード、白銀メダルの白狼ガオン:「「んっ?」」
白銀メダルの白狼ガオン:「トシ!いま見たか?」
トシード:「ああ、やばそうだったな」
私たちは引き戻し、上空でホバーリングし、薄暗くなってきた中で状況を確認する。
竜の尾、蛇のたてがみ、3つの犬の頭の巨大な魔獣が1体。
Aランク魔獣ケルベロス!
そして、Bランク魔物であるシルバー・レッドアイ・ドッグが1体と、シルバー・ブルーアイ・ドッグが1体。
対峙しているのは、20人の騎士たち。
魔物発生の根本原因の撲滅のために送り込まれた精鋭部隊だと思われる。
ただ、立っているのは5人のみ。
残りは倒れており、その内4人の生死は不明だ。
トシード:「猶予はないな。いくぞ」
白銀メダルの白狼ガオン:「うむ。同意だ」
私はケルベロスと騎士団の間に割って入り、ケルベロスに対して剣を構える。
ケルベロスの竜の尾はうねり、蛇のたてがみが逆立つ。
そして、三つの犬の頭はそれぞれ唸り声をあげ、敵意に満ちた眼差しを私へと向ける。
横にはシルバー・レッドアイ・ドッグとシルバー・ブルーアイ・ドッグが並ぶ。
鋭い爪が地面を削り、銀色の体毛が月光を浴びて不気味な光を放つ。
騎士団はすでに大打撃を受け、立っていられるのはわずか5人。
彼らの呼吸は荒く、傷ついた鎧が闘いの激しさを物語っている。
場の空気が震える。
深紅の瞳を持つケルベロスが、3つの頭を天へと向けて咆哮する。
その声は雷鳴のように大地を揺るがし、その巨体が獣の本能に従い、一気に私へと飛びかかる。
私は足元の土を蹴り、横へと跳ぶ。
瞬間、ケルベロスの爪が地面を裂き、土砂が舞い上がる。
すかさず、シルバー・レッドアイ・ドッグが影のように迫る。
銀色の毛が闇に溶ける中、鮮やかな赤の瞳が鋭く輝いた。
私は剣を構え、その動きを見極める。
交差する刃と爪が火花を散らし、夜の闘争を照らす。
そこに、背後から冷たい気配が迫る。
シルバー・ブルーアイ・ドッグだ。
動きは先ほどのレッドアイ・ドッグとは異なる。
静かなる水面のように滑らかで、しかし確実に致命の一撃を狙っている。
私は息を整え、ケルベロスの次の猛攻を予測する。
3つの頭がそれぞれ異なる戦術を持ち、噛みつき、炎の吐息、尾の一撃、その全てが脅威だ。
しかし、私はただの戦士ではない。
白狼のマスクとマントを纏った最強の魔法戦士である。
一閃 — 私の剣が月光の下を駆け、シルバー・レッドアイ・ドッグの爪を砕く。
瞬間、5人の騎士たちもそれぞれの武器を握り直し、最後の意地を見せるべく踏み出した。
闘いは、いよいよ激化する。
ひとりの騎士が、シルバー・ブルーアイ・ドッグの牙を弾き、右足に深い一撃を打ち込んだ。
その剣術は見惚れるほどに美しく、無駄がない。
正統派の剣技を振るう技巧の剣士、エドザー王国第2騎士団長シンリーであるに違いない。
シルバー・レッドアイ・ドッグとシルバー・ブルーアイ・ドッグは、騎士4人に任せ、私とシンリ―と思われる騎士はケルベロスと向かい合う。
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