第5話「執事コグス」
第5話
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10歳になる年の9月。
私ことトシード・フォン・エチゼルトは、王都にある王立学園に入学する。
これからは、王都のエチゼルト邸で、父・長兄・次兄と一緒に暮らしながら、王立学園に通う日々が始まる。
王立学園には、貴族のご令息やご令嬢、そして平民から選ばれた優れた能力者たちが集う。
長兄イサルトは、4年生。
剣技は力強く堅実であり、力と速さを兼ね備え、接近戦を得意としている。
次兄ソウミリアンは、2年生。
剣技は柔軟性と流動性に優れており、相手の攻撃を巧みにかわしつつ、的確に反撃する。
エチゼルト伯爵家の剣豪兄弟として、彼らは王立学園で有名だ。
その一方で、スキルが“盾”の私としては、肩身が狭い思いがする。
実際には、魔法が使える私としては、自分自身に攻撃力強化、耐久性強化、素早さ強化などの身体強化魔法をかけ、剣に攻撃力強化、耐久性強化そして炎などのエンチャントを施すことができる。
そうすれば、兄たちに引けを取ることはないのだが、期待されていない以上、頑張る必要もない。
とはいえ、エチゼルト伯爵家の三男として、できなさすぎるのも逆に目立ってしまう。
微妙な塩梅を探り探りやっていくしかない。
とにかく、目立たないように気をつけていくことにする。
そう自分に言い聞かせながら、馬車に揺られていると、馬車が止まった。
長兄イサルトと次兄ソウミリアンが颯爽と馬車から降り、王立学園の門をくぐり、校舎へと駆けていく。
13歳と11歳、まだまだ子供だなと思いながら、二人の後ろ姿を何となく眺めていると、
執事コグス:「トシード様」
私は頷くと、馬車を降り、入学式の会場へと向かうことにした。
今日は、入学手続きのために、執事コグスが同行してくれている。
彼の銀色に輝く白髪は完璧に整えられ、その知的な目には豊かな経験が刻まれている。
顔立ちは端正で、厳格さと優しさが見事に調和している。
体型はしっかりと筋肉がつき、年齢を感じさせないほどの身のこなしである。
彼は、執事というよりも、まるで剣士のような雰囲気を持っている。
そして、執事コグスの鋭い視線が私に向けられるたび、私はまるで彼の眼差しが心の奥底まで見透かしているかのような錯覚に陥る。
彼が、まるでキヨフレッドの存在に気づいているかのように感じる。
彼の視線は鋭く、そして冷静に観察するその姿勢が、私に警戒心を抱かせるのだ。
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