第49話「魔法属性エンチャント魔道具」
第49話
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きっかり3週間後。
紅組の鍛冶場を訪れる。
親方マサムニルとマーインが待っていた。
マーイン:「おっそーーーい。待ちくたびれたわよ!」
トシード:「ご、ごめん。朝一にくればよかった・・・かな」
マーイン:「そうよ、もうお昼過ぎよ!」
とりあえず、謝っておくことにする。
そして、それが正しい、そんな気がする。
マーイン:「ジャジャーン」
自慢げに、作業台の上に並べられた3本の剣を指さす。
トシード:「おおー、触ってもいい?」
マーイン:「もちろん、いいわよ」
私は3本の剣を順に手に取り、じっくりと吟味する。
ずっしりと重量感があり、丈夫で切れ味鋭そうな印象だ。
鑑定スキルを使って詳細も確認する。
3本とも
・種類:鋼の剣
・攻撃ランク:2
・耐久ランク:2
・魔法属性:---
であり、同等の出来栄えである。
このレベルの剣1本を1週間で造るのだから、確かにマーインの腕は素晴らしいということがわかる。
トシード:「んーーーん。確かに、すばらしい剣です」
マーイン:「エッヘン!そりゃ、あたいが造ったんだからね。当然よ」
トシード:「ありがとう」
マーイン:「へっ・・・、べ、べつに感謝しなくてもいいわよ。あたいが好きでやったんだから///」
マーインが、両手の人差し指同士をツンツンし始めた。
親方マサムニル:「トシード殿。それで、この後、どうするのじゃ?」
トシード:「はい、魔法属性を付加します」
親方マサムニル:「古の大魔導士は武器に魔法属性をエンチャントできたというが、今はそんなことできるとは聞いたことはないのじゃが」
トシード:「そうですね。大魔導士がいませんからね」
私の魔法でできますけどねと心の中で思いつつ、魔法を披露するわけにはいかないので、準備してきた魔道具をバッグから取り出す。
親方マサムニル:「なんと!そのバッグはアイテムボックスであるか!!!」
トシード:「はい。魔道具の先生からもらいました」
親方マサムニル:「それはまた、太っ腹な先生じゃな。儂も欲しいぞ。がっはっはっはっ」
トシード:「ええ。そのかわり、要求がすごく多いですけどね・・・」
マーインが、魔道具をツンツンしている。
マーイン:「トシード。これ、どうやって使うの?」
トシード:「よし。じゃあ、やってみよう」
私は、ガード部に空けられた穴に、中サイズ魔石を取り付けるための起動魔道具を取り付ける。
そして、その起動魔道具に、魔法属性を付加するためのエンチャント魔道具を取り付ける。
さらに、大サイズの赤魔石をエンチャント魔道具にセットする。
トシード:「マーイン。このボタンを押してみて」
私はエンチャント魔道具のボタンを指差す。
マーイン:「えっ。それって危険じゃないよね?怖いのヤだよ」
トシード:「ふふふ、大丈夫。ちょっと光るだけ」
マーイン:「そういうことなら・・・。ふーーー。じゃあ、押すよ!」
マーインが、ボタンを押すと、魔石から強い光が放たれ、ガード部からブレイドの先端に向けて、光の線が複数本ゆっくりと走り始める。
マーイン:「ひぇーーー、ちょちょちょっとーーー、ヤダーーーー、うぇーーーん」
そんなにびっくりするとは思わなかった・・・
というか、ビビりすぎだろ・・・
マーインは、気づけば私の後ろにまわり、私の服を握りしめている。
複数本の光の線がブレイドの先端に同時に到達し、光が消えた。
魔力をすべて失った大サイズの赤魔石は、透明に変わった。
マーインがおずおずと剣を覗き込む。
まだ、私の服を握りしめたままだ。
マーイン:「綺麗な模様ぉ~」
トシード:「火属性の魔法陣だよ。そろそろ服を離してもらってもいいかな」
マーインは、ハッと気づいたように、パッと手を離す
マーイン:「ばっ、馬鹿。怖くなんかないからね」
プイッとした顔になっている。
残りの2本も同様に火属性の魔法陣を付加する。
トシード:「それじゃ、ちょっと実験しますよ」
マーインの頭の上に???が飛んでいるのが見える。
3本の剣の起動魔道具に、中サイズの赤魔石をセットし、マーインと親方に1本ずつ渡す。
トシード:「それでは、私が合図したら、マーインは魔石をカチッとまわしてね。親方は魔石をカチッカチッとまわしてください。私はカチッカチッカチッと回します」
私は、鍛冶場の時計台を見ながらタイミングをはかる。
トシード:「5、4、3、2、1、はい!」
マーイン、親方、私は一斉に魔石を回す。
マーインの剣は1分間に魔力量1を消費する炎を纏う。
中サイズの魔石の魔力量はフルで100なので、最大100分の持続ができる。
剣のもつ攻撃力に、火炎×1の効果が付加される。
親方の剣は1分間に魔力量5を消費する炎を纏う。
最大20分の持続ができる。
剣のもつ攻撃力に、火炎×5の効果が付加される。
私の剣は1分間に魔力量10を消費する炎を纏う。
最大10分の持続ができる。
剣のもつ攻撃力に、火炎×10の効果が付加される。
作業台に置かれた3本の剣を見守る。
マーインの頭の上に???が飛んでいるのがまだ見える。
・・・・・・・・・・
私の剣が6分後にパッーンと粉々に砕け散った。
マーインがビクッとする
親方の剣が12分後にパッーンと粉々に砕け散った。
マーインは待ち構えてはいたが、ビクッビクッとする
マーインの剣は60分後にパッーンと粉々に砕け散った。
マーインは待ち構えてはいたが、ビクッビクッビクッとする
なるほど、剣の耐久ランク2は、魔力耐久量としては60ということか。
マーイン:「トシード。どういうことかしら?私の剣が壊れちゃったけど!」
トシード:「あぁーーー、ごめん。剣の耐久力が足りなかったみたい」
マーイン:「ちょ、ちょっと!私の剣が悪いってこと!」
すごい剣幕で迫ってくる。
トシード:「ちっ、違うよ・・・。魔石サイズと剣の耐久力のマッチングが悪かっただけだよ。マーインは悪くないよ。ホントだからね」
マーイン:「ちょっとーーー、納得はしてないけど、・・・まあ、いいわ。説明してちょうだい!」
親方も頷いている。
今の実験データの事実だけを使って説明する。
私が錬金スキルで鑑定できることはとりあえず秘密にする。
マーイン:「つまり、私の剣の耐久力が、魔石の魔力量をすべて受けきれないほどにヘボいっていいたいのね!」
トシード:「そうはいってないよ。どこをどうすればそう聞こえるの・・・」
マーイン:「うわーーーん、トシードの馬鹿ーーー。あたいは一生懸命に造ったのに」
トシード:「わかっているから。とてもよい剣だったよ。だけど、闘っている最中に剣が粉々に砕けるのは非常に危険だからね。魔石の魔力量が先に尽きるように調整しないといけないと思うんだよね。だから、私の魔道具の調整の問題なんだよ」
マーイン:「それはわかっているわよ。でも、剣の攻撃力を上げるには、大きな魔力量に耐えられる耐久性をもった剣が必要なんでしょ。あたいは負けないから。ぜったいにすごい剣をつくってやるんだから!!」
トシード:「お、おう・・・。期待してる」
マーイン:「やってやるわ!おじいちゃん!」
親方マサムニル:「ほい、なんじゃ」
マーイン:「あたい、最上級の修行に挑むわ!」
親方マサムニル:「ほほほ、やるか。厳しいぞ~」
マーイン:「覚悟を決めたわ。トシードのためにやる!」
トシード:「えっ、なんて?」
マーイン:「なんでもないわよ///トシードは、期待して待ってて!」
親方マサムニル:「ほほほ、楽しくなってきたのじゃ。でも、マーイン。まずは上級の修行からじゃぞ。ほほほ」
マーイン:「うぐぐ・・・、わかってるわ。そうと決まったら、さっそくやろー!!」
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