第48話「鍛冶職人マーイン」
第48話
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燃えるような真紅の作業着。
背中には燃え上がるような字体で“紅”と書いてある。
豪快にハンマーを振り下ろす少女がいる。
私と同じぐらいの年齢だろうか。
若頭クニヴォール:「マーーーイーーン!」
マーインと呼ばれた少女は手を止めずにチラッとこちらを振り向き、
「なによ、パパ!邪魔しないで!いま、重要なところなのよ!」
と言い放つ。
いま、パパっていったような・・・。
若頭クニヴォールが小声で私の耳元でささやく。
「ぐふふ。そうだ。俺の可愛い娘だ」
そ、そうなのか・・・と思い、マーインを二度見してしまった。
若頭クニヴォール:「何をじろじろ見てる!手を出したら許さねぇ―からな!」
クニヴォールから愛娘の自慢話をいろいろと一方的に聞いていると、マーインがプイッとした顔でやってきた。
マーイン:「ちょっと、パパ!声が大きいのよ。聞こえてるわよ。恥ずかしいから止めてっていつも言ってるでしょ!プイだよ」
若頭クニヴォール:「ごめんごめん。可愛いからついついだよ」
マーイン:「その言葉が余計なのよ!プイッ」
大男のクニヴォールは愛娘マーインにはめっぽう弱いようだ。
紅組の面々が面白そうにこちらを見ている。
若頭クニヴォール:「そ、そうだな。反省している・・・」
マーイン:「それで、今日は何の用なの?」
若頭クニヴォール:「そうだった。トシード殿を紹介しにきた」
マーインが、誰々といったように周りを見渡し、ようやく私に気づいた。
そして、見る見るうちに顔が真っ赤になっていくのがわかった。
若頭クニヴォール:「ど、どうした、マーイン。大丈夫か」
マーイン:「だ、だい・・・じょう・・・ぶ・・・よ」
そう言うと、マーインがクニヴォールの腕をつかむと、ビューンと100mほど遠くまでクニヴォールを引っ張っていった。
そこでマーインがクニヴォールに激しく何かを言っている。
しばらくして、シュンとしたクニヴォールを連れて、マーインが戻ってきた。
マーイン:「わ、わた、わたしはマーイン。よろしく・・・です」
トシード:「・・・よ、よろしく。トシードです」
そう言うと、マーインに手を差し出し、握手を求める。
マーイン:「わ、わた、わたしの手は汗でねちょねちょだから、あっ・・・」
トシード:「気にしなくていいよ。ハンマー振り下ろしていたんだからしょうがないよ」
そういうと私はマーインの手をとり握手をした。
マーインの顔か再び見る見るうちに真っ赤になっていく。
何事なのかわからないが、急いで手を放す。
マーイン:「あっ・・・ああー」
となんだか残念そうな表情にも見える。
トシード:「早速で申し訳ないのだけれども、3本の同品質の剣を造ってほしい。ガード部に中サイズ魔石をセットできるようにして、その魔石からブレイドの先まで魔法陣を彫り込みたいのです」
マーイン:「ああ、剣が3本欲しいのね・・・。アタイに会いに来たわけではないのね・・・」
トシード:「えっ?最後が聞き取りにくかったけど」
マーイン:「えっ、あっ、えっと、なんでもないわ///。剣が3本ね!!!」
トシード:「そう、できれば業物の剣を3本」
マーイン:「ちょ、ちょっと。アタイを何だと思ってるの。華奢だと思って舐めないでよね」
確かにムキムキの若頭の女性たちと比べれば、筋肉は控えめだが、
マーインの腕まくりされて見えている腕からはバランスの取れた美しい筋肉が全身についていることを想像させる。
それに、力強さとしなやかさがあることは、先ほどのハンマーを振るう姿からわかっている。
親方マサムニルが「腕は確かだ」というのも納得だ。
トシード:「いや、そんなことは思っていないよ。とても優れた鍛冶職人だと思っているよ」
マーインの顔か再び見る見るうちに真っ赤になっていく。
何事なのかわからない。
クニヴォールに助けを求める視線を向けると、彼もわからないといった感じで首を振っている。
マーイン:「わ、わかったわ。とりあえず、急いでもいるんでしょ。だったら、1本1週間で造るから、3週間後に来て!」
そういうと、マーインは鍛冶場へとスタタタタァーと戻っていった。
変わった面白い少女だ。
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