第46話「エチゼルト鍛冶屋集団」
第46話
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朝食後、父カフレッドと長兄イサルトを見送り、私は鍛冶場へ向かった。
炎が舞い上がる炉、響き渡るハンマーの音、そして、いろいろな金属を加工するための様々な道具が揃っている。
炉の熱で金属が真っ赤に溶けて柔らかくなる様子から、鍛冶職人の技術と情熱と誇りを感じる。
作業台には、加工中の金属や道具が整然と配置され、職人たちの集中力と効率性が感じられる。
空間全体には煤と熱の匂いが漂う。
突如、後ろから
「おい、小僧。あぶねーぞ。何しに来た?」
と低く大きな声がし、私は身構えながら振り向く。
ムキムキの腕を組んだ大男が厳しい顔で私を見下ろしている。
トシード:「父から修理部隊に参加するようにと言われました」
ムキムキ男:「父だぁ?・・・がっはっはっはーーー、ということは、オメーはトシードだな」
私はムキムキ男の目を見たまま、頷く。
ムキムキ男:「やんちゃ坊主という噂だが、そんなんでもなさそうだなーーー。がっはっはっはーーー」
私は苦笑いをしている自分に気づく。
ムキムキ男:「ついてこい!」
というと、ズシズシと歩いて行ってしまう。
私は急いで後を追いかける。
・・・・・・・・・・
ムキムキ男:「親方!トシード殿が来やしたぜー」
馬車の荷台に積まれている武器、防具の仕分けをしているムキムキの小柄な老人が鋭い眼光をこちらに向ける。
こ、こわい・・・
なぜ、睨まれるんだ・・・
ムキムキの小柄な親方:「おお。アンタがトシード殿か。ちょっと待っていてくれ。修理のための選別を終わらせるからな」
トシード:「はい・・・」
ムキムキの小柄な親方:「声が小さいな。なんだ、緊張しているのか。はっはっはっ」
いや、ちょっとあなたが怖いだけ・・・
・・・・・・・・・・
この鍛冶場には5つのチームがあり、
紅組のリーダーが、ムキムキ小柄な強面男 親方マサムニル
蒼組のリーダーが、ここまで連れてきてくれたムキムキの大男 若頭クニヴォール
黒組のリーダーが、ムキムキ大柄なおかっぱ切れ長美人 若頭ツジエル
黄組のリーダーが、ムキムキ小柄なポニーテール丸顔美人 若頭ハチノア
桃組のリーダーが、ムキムキ三つ編み童顔美人 若頭ミインド
魔物最前線からの修理依頼の武器、防具から、修理に値するモノだけが、各若頭のチームに割り振られた。
4分の1ぐらいは、そもそも質の悪い“なまくら剣”や“欠陥防具”。
または、修理不能なモノのようだ。
これらは、親方が受け持ち、溶解し、作り直すようだ。
・・・・・・・・・・
親方マサムニル:「待たせたな。それでトシード殿は何ができるんだ?」
私の細い身体をじっくりと見ながら、疑問を持っているのだろう。
魔法による身体強化をすれば、ムキムキの皆さんと同じぐらいにハンマーを使うこともできると思うけど、そこを競い合うつもりはないし、それを求められているとも思えない。
4人の若頭も興味深げに私と親方のやり取りを聞いている。
トシード:「はい。魔道具が作れます」
若頭クニヴォール:「魔道具ぅぅ~、ふふふ、ははは」
私はクニヴォールに、一瞬目を向け、またマサムニルに目を向ける。
マサムニルは鋭い眼光で、私の次の言葉を待っているようだ。
そもそも魔法は廃れており、それゆえに一般的に魔法の凄さは認知されていない。
基本的に魔法とは伝説や御伽噺の中の話である。
そして、魔道具は一般的に生活の便利グッズであり、武器/防具に利用するという認識はない。
また、エドザー王国では、なんといっても剣術が最重要視されている。
このため、質が高く、優れた切れ味を持つ剣、つまり業物を造れる鍛冶技術や人材は最重要である。
したがって、鍛冶職人の方が、魔道具職人よりも上の存在という認識になっている。
彼らは、エチゼルト領が誇る鍛冶屋集団であり、門外不出の宝なのである。
それだけに、自分たちの仕事やスキルに自信と誇りを強く持っている。
要するに、鍛冶技術一筋の頑固者集団なのである。
父カフレッドの言葉が頭をよぎる
『ふふふ、鍛冶職人どもは、曲者揃いだぞ。しっかりやってこい』
むむむ、確かに曲者揃いということをヒシヒシと感じる。
はてさてどうしたものか・・・
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