第44話「魔法属性エンチャントバングル」
第44話
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2年生になり半年が過ぎたころ、王都が突如として騒がしくなった。
大陸は4つの国と魔王で分割統治されている
-西:サマヴァー獣人王国
-中央:エドザー王国
-東:ムツート連合国
-南:神聖ヤマノーフ帝国
-北:魔王が統治する“冥界の大森林”
西のサマヴァー獣人王国、中央のエドザー王国、東のムツート連合国は“冥界の大森林”と接しているため、魔王の脅威に常にさらされている。
エドザー王国の“我がエチゼルト伯爵領”や“トベルトのエチュアート侯爵領”は、“冥界の大森林”と接している領地であり、魔物や魔族の侵入を防ぐ役割を担っている。
そして、今、“冥界の大森林”の魔物が再び活発化し、国境付近にCランクの魔物が増えており、さらにBランクの魔物もときどき現れるらしい。
このため、父カフレッドはエチゼルト領に戻っているし、エドザー王国第1騎士団も派遣されている。
これにより、エチゼルト騎士団、エチュアート騎士団、エドザー王国第1騎士団で連携して国境を守っていることになる。
おかげで、王都は安全と思っていたのだが・・・。
さらに、エドザー王国第2騎士団も派遣されることになったようだ。
“冥界の大森林”の魔物たちの勢いはかなりのものだということであろう。
そして、最近、イネザベスが担当する授業がすべて自習に変更になった。
何事かと思い、研究室を訪ねると、イネザベスとカコレットが忙しそうに、いや、楽しそうに何やら作業をしている。
この緊急事態を受けて、宰相ミツトーからイネザベスへ魔物撃退に有用な魔道具の改良依頼がきたとのことだ。
どうやら連射タイプの魔石砲の開発をしているようだ。
しかも、キヨフレッドオリジナルの圧縮技術を追加しているので、かなりの威力が見込めそうだ。
2人の邪魔をしても申し訳ないので、こそっと研究室を抜け出した。
・・・・・・・・・・
王都のエチゼルト邸へ戻ると、何か慌ただしい雰囲気がしている。
トシード:「コグス!どうしたのだ」
コグス:「トシード様、お帰りなさいませ。イサルト様とソウミリアン様がエチゼルト領へ応援に向かわれるとおっしゃられており。急ぎ支度中でございます」
トシード:「兄達が、そうか。言い出したら聞かないからな。父上は知っているのか?」
隣にいる侍女が苦笑いをしている。
コグス:「先ほど、魔石通話器”モシモシ”でカフレッド様にはお伝えし、承諾いただいております」
トシード:「そうか、それならいいか」
コグス:「はい。トシード様もご一緒に来るようにとのことです」
トシード:「えっ、私も!?」
コグス:「はい」
トシード:「わ、わかった。私の準備も頼む」
気にはなっていたが、やはり“冥界の大森林”の奥地で何かが発生し、魔物たちが外へと押し出されてきているのだろう。
根本原因を排除しなければ、何回もこの危機は訪れる。
エチゼルト領へ戻ったほうが、対応はしやすくなるから、好都合、渡りに船だ。
出発は2日後ということで、私はイネザベスの研究室へ籠ることにした。
・・・・・・・・・・
トシード:「イネザベス先生!」
イネザベスとカコレットが振り返り、ジト目で見てくる。
連射タイプの魔石砲開発の邪魔をするなと目が言っている。
トシード:「えーっと、少し話を聞いてもらえませんか・・・」
2人の目が早く言えといっている。
私は、大きな白紙の紙を机に広げ、メカ設計と魔法陣を書きながら説明を始める。
2人の目が徐々に輝きを増してくる。
よかったー、興味を持ってくれたようで。
イネザベス:「わかったわ!今から2日間は、魔法属性エンチャントバングルの製造に集中しましょう!」
学園5年生の鍛冶スキルをもった優秀な生徒を3名加えて、我々は魔法属性エンチャントバングルの製造を不眠不休で取り組んだ。
・・・・・・・・・・
2日後、私は60個の魔法属性エンチャントバングルを持ってエチゼルト領へ旅立つことができた。
イネザベスとカコレットは、連射タイプの魔石砲開発に戻り、生徒3名は引き続き魔法属性エンチャントバングルの製造を行ってくれることになった。
感謝しかない。
ただ、やっぱり言われたのが
生徒3名:「「「魔物の素材まってまーす」」」
イネザベスとカコレットが大きく頷いている。
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