第43話「2年生が始まる」
第43話
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長期休暇があけ、王立学園の2年生になり、学年集会に参加している。
センナとムネルダが、小さく手を振ってくる。
ミツルクは、微笑んでくる。
トベルトは、つり目でガンを飛ばしてくる。
いったい私が何をしたというのか・・・。
クラス発表。
クラスはAとBの2つがあり、Bクラスから1名の生徒がAクラスに移り、AクラスからBクラスへは2名が移った。
1年生のはじめにAクラスで、突出した能力を持っていると感じた5人の中の一人に平民のアユナがいた。
2年生でこのアユナはBクラスへと移る。
実力はあるはずだが、その実力を授業の中では隠していたように思う。
私としても授業中に数回話した程度で、理由を聞くほどの仲でもないが、気にはなっている。
気にはなっているが、こちらから何かしらのアクションを起こすほどのことでもないし、そんなにお節介焼きでもない。
担当教師の紹介へと集会のアジェンダが進んでいく。
Aクラスは
・クラス担任:イネザベス・クスヴァリ(魔道具発明家)
・基礎教育(読み書き、算数): イネザベス・クスヴァリ(魔道具発明家)
・基礎教育(歴史、地理):カンベルトゥス・クロヌス(三賢)
・教会教育(古典語、神学、神話):セサス・タクィナス(三賢)
・宮廷教育(礼儀作法、音楽、ダンス): サフィア・グウトルプ
・騎士教育(騎士としての技術や規範):ハジメルド(エドザー王国第3騎士団長)
・魔石教育(魔石活用技術):イネザベス・クスヴァリ(魔道具発明家)
教会教育の担当が、神学者、哲学者として有名な三賢セサス・タクィナスになっている。
1年生は古典語だけだったので、イネザベス・クスヴァリが担当していたが、2年生からは神学、神話が追加されるための担当変更とのことだ。
三賢セサス・タクィナスが何となく私を見ているように思えるのは気のせいだろうか・・・。
・・・・・・・・・・
王都のエチゼルト邸の食堂。
扉が開かれ、執事コグスを伴った父カフレッド入ってきた。
父カフレッド
長兄イサルト
次兄ソウミリアン
そして
私トシード
の4人での夕食という王都での日常が戻っている。
母ウティルダと妹ミレノアのいる食事がいかに賑やかで花があったのか、身に染みる。
父カフレッド:「イサルト。いよいよ最高学年だな」
長兄イサルト:「はい」
父カフレッド:「卒業後はどうするつもりだ?」
長兄イサルト:「はい、エドザー王国騎士団を目指したいと考えています」
イサルトはエドザー王国騎士団に入りたいのか~。
てっきり父のエチゼルト騎士団に入るのかとおもっていたが。
王国には4つの騎士団があり、どの団長も人気がある。
近衛騎士団 団長イサード 実践向けの剣術を振るい強い心で諦めを知らない剛力の剣士
第1騎士団 団長ソリアム 天才肌で圧倒的センスで剣を閃かせる疾風の剣士
第2騎士団 団長シンリー 正統派の剣技を振るう技巧の剣士
第3騎士団 団長ハジメルド 豪快な一撃を繰り出す突撃の剣士
長兄イサルト:「私は第1騎士団に入り、ソリアム団長の疾風の剣技を身に着けたいです」
ソリアムかぁ~
イネザベスに片思いで、料理の得意なイケメン男子という印象が強いが、剣術は確かに超一級品だった。
ただ、天才だからできる剣術であって、マネできるとは思えないけどなぁ。
スピードとパワーを兼ね備えたあの三段突きはありえない剣術だった。
憧れるのはわかるけど、身体がついてこないよ、普通は。
次兄ソウミリアン:「僕は第3騎士団のハジメルド団長がいいな~。一撃突きでどんな相手でも一瞬で倒すってカッコイイです」
ハジメルドかぁ~
スイーツ大好きの印象しかないけど、確かに授業で見せてもらった剣技は優れていた。
一撃突きは全身を大きく使って繰り出す技のため、決まれば確実に致命傷を負わせる事が出来るが、外した時は隙が大きいためカウンターを喰らいやすい。
死と背中合わせの大技といえる。
そんな覚悟を持つことができる精神力がすごい。
いったいどんな鍛錬を積んできたのか、想像ができない。
父カフレッド:「なるほど。疾風の剣士ソリアムと突撃の剣士ハジメルドか。どちらも非常に優れた剣士であるな。その夢が叶うように励むとよい」
長兄イサルト、次兄ソウミリアン:「「はい!」」
父カフレッド:「トシード。何を考えておる?」
トシード:「えっ、いや・・・ソリアム団長とハジメルド団長とは関りがあるので、お二人の剣技を思い出していました」
長兄イサルト、次兄ソウミリアンからの視線が刺さる。
父カフレッド:「そうか」
父は何か言いたそうだが、そのまま黙っている。
次兄ソウミリアン:「トシードの剣技レベルじゃ、騎士団は無理だよ」
父カフレッド:「ソウミリアン!その話はもうよい」
次兄ソウミリアンが、驚きとともにションボリとしている。
父カフレッド:「トシードよ。宰相ミツトー殿が褒めておったぞ」
父はそう言い残すと、食事を切り上げ、自室へと戻っていった。
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