第40話「シャトー・シフィット・キーバッハ」
第40話
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キーバッハ公爵家所有のワイナリー、シャトー・シフィット・キーバッハ。
エドザー王国最高峰のワイナリーの一つである。
豊かな芳香と調和の取れた味わい。
熟成を経ることで、ベリー系の果実味、土壌からくるミネラル感、そしてスパイスやシダーウッドのニュアンスが絶妙に融合する。
エレガンスを極めたワイン。
口に含んだ瞬間、どのような風景が広がるのだろうか。
ぜひ、味わってみたい!体験してみたい!
エドザー王国第3王女センナとキーバッハ公爵家次女ムネルダが一緒に居るんだから、飲ませてもらえないはずがない。
期待しかない。
ムネルダ:「トシード。どうしたの?」
トシード:「えっ、な、なにが?」
ムネルダ:「なんか変な笑顔になってるよ」
トシード:「そっ、そう・・・かな」
センナ:「なにをお考えですか?ふふふ」
トシード:「いっ、いや・・・ワイン楽しみだなって」
ムネルダ:「なんだ、そんなことか~」
トシード:「そんなこととは?どういうこと」
センナ:「ムネルダさんは、ワイナリーにいるときはストレートでごくごく飲みますからね、ふふふ」
私は、驚きの目でムネルダをみつめる。
ムネルダ:「もー、センナ様ったら、それは秘密ですよ!」
どうやらムネルダは両親がいるとき水で薄めたワインを飲んでいるが、ワイナリーで両親がいないときはストレートで飲むようだ。
それはぜひ私もそうしたい!
羨望の眼差しをムネルダに向けると、彼女はエッヘンというような態度で、任せとけと言っているようだ。
ぜひお願いします!
・・・・・・・・・・
風格あるお城のような建物が見えてきた。
丘陵地帯にあるシャトーは、周囲をブドウ畑に囲まれた壮麗な風景に佇んでいる。
クラシックで上品な建築スタイルが特徴的で、歴史と威厳を感じる。
ブドウ畑に作業をしている集団がみえる。
ムネルダが馬車の窓から乗り出し、大きく手を振り
ムネルダ:「ジャエールーーー!来たわよーーー!」
と大声で叫ぶ。
ジャエールと呼ばれた麦わら帽子の老人は嬉しそうに大きく手を振り返す。
ジャエール:「お嬢様ーーー!お待ちしておりましたぞーーー!」
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シャトーの食堂で待っていると、さきほどの麦わら帽子の老人が入ってきた。
日差しを浴びた健康的な肌。
身体には土の匂いが染み込み、自然とのつながりを感じさせる。
目元には深いしわが刻まれ、それは笑顔の痕跡であり、穏やかな人柄を醸し出している。
そして、深い瞳には洞察力と探究心が宿っていることを感じさせる。
差し出された手は粗い質感を持っており、ブドウの選別や畑仕事によってしっかりと使い込まれていることがわかる。
この粗い手から繊細なワインが生み出されるという対比に私の脳が熱を帯びてきていることがわかる。
歳月を重ねた醸造家が纏う独特のオーラ。
それを感じながら、私は両手で彼の大きな粗い質感の手を握っていた。
ジャエール:「初めまして。醸造責任者のジャエールですじゃ」
トシード:「は、はじめまして。トシードと申します。よろしくお願いします」
ジャエール:「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。トシードさんですな。それにしても、美女2人をつれて、羨ましいかぎりですのじゃ。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
ムネルダ:「ちょっ、ちょっとー。なにいってるのよ!ジャエール!」
ムネルダの耳と頬は真っ赤になっている。
センナは、もじもじとしている。
この老人、楽しんでいる。
トシード:「は、は、は、;;;」
ジャエール:「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。では、早速ですが、テイスティングに行きましょうかなのじゃ」
私たちはジャエールに連れられて地下の貯蔵庫へと下りていく。
ワイン樽が薄暗い通路の両脇にきっちりと並べられている姿は圧巻である。
そこで各年のワインを順に味見していく。
ジャエールから各年のブドウの出来についての語りを聞くことで、さらにワインの味わいが自分の中に沁み込んでくる。
ムネルダが、各年のワインについて、自由な感想を述べていく。
ジャエールが、嬉しそうにその感想を聞いている。
彼女はワインを詩的に表現していく。
その言葉は、心を揺さぶる。
彼女にこんな才能があったなんて、普段の活発なイメージとは180度異なる。
ジャエールがワインをムネルダに飲ませたくなる気持ちがよーくわかる。
センナも、ムネルダの詩とワインを楽しんでいる。
ただ、ワインは香りを楽しむのがメインで、口にはほんの僅かしか含まないようだ。
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一通りのテイスティングの後は、エレガントなワインと美味しい料理でアットホームな夕食である。
ジャエールが、ワイン造りの楽しさや大変さを面白おかしく話してくれる。
どんどんワインに興味がわき、ますますワインを好きになっていく。
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