第26話「やっぱりアンカップリング」
第26話
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3回目の休日。
つまりは、3回目の図書館。
今日も魔法陣の書物がテーブルに山積みにされている。
絶対に今日で終わりにさせたい。
私は強い意志をもって来ている。
そのために、今日は、私も書物探しに参加した。
この2人に必要な書物は、基礎も基礎、初級の魔法陣の教科書である。
そもそも、基本がなっていないのである。
そこまでいうとかわいそうだけど、明確にきっちりと理論的に理解ができていないのである。
それは、2人が悪いのではなく、当代を代表する魔法陣の教科書が悪い。
これは、誰かが意図的に仕込んだ罠なのではないかと思う。
あえて分かりにくい難しい書き方がされていたり、解釈が一律で決まらない曖昧な書き方になっていたり、そもそも間違った使い方で書かれていたりもする。
キヨフレッドが没してから起きたという魔法の急激な衰退というのも引っかかる。
エドザー王国では詳細がわかる歴史書はなかったが、確かにキヨフレッドが没してから50年後を境に、魔法に関する記述が極端に減っている。
何者かによって隠された歴史がそこにはあるはずだ。
キヨフレッドの死の真相も正しくはわからない。
魔族との闘いの中で致命傷を負ったのが死の原因ではあるが、なぜ致命傷を負うような状況に追い込まれたのかが不明である。
とりあえず、今はそこは考えるのはやめといて、この2人に興味深い話をしておこう。
トシード:「イネザベス先生、カコレットさん。ここ見てください」
イネザベスとカコレットが、なになにという雰囲気を漂わせながら顔を近づけてくる。
相変わらず近い。
近すぎる。
トシード:「ここの記述です。学園で使用している教科書と違うんですよね。どっちがあってるんですかね~。あと、これと、それと、あそこもです」
イネザベス:「なんですと!ちょっと待って。ふんふん。カコレット!これ見て!」
カコレット:「はあ、なになに、なんと!確かにこの書物の説明だと、しっくりきますね~」
イネザベス:「でしょ!この記述が正しいなら、私たちの使い方はちょっと変よね。もっと使い勝手の良い魔法陣が創れるんじゃない!?」
カコレット:「そうですね!絶対に今よりも良い魔法陣に造りかえることができるーーー」
2人ともだいぶ興奮して、壊れてきている。
図書館だっていうのに大騒ぎだ。
やれやれだ。
とりあえず、魔法陣の基礎知識の修正に役立つページに付箋を差し込んだ。
22か所もあれば、私は解放されるだろう。
イネザベス:「トシード!素晴らしいわ!いったん、ここで終わりにしましょう」
トシード:(よーーーし!)
私は心の中で拳を握りしめた。
カコレットは、何かをぶつぶつとつぶやいている。
もう自分の世界に入ってしまい、周りが見えていないようだ。
私は、没頭し始めた2人を残して、帰ることにした。
「先に帰りますよ~」といったものの、2人は私を見ることもなく「はいはい」と邪魔するなオーラ―を出している。
これにより、私は第4週の最後の休日は解放され、一人でささっと観光を楽しんだ。
260年前と何も変わらない街並みだ。
人は変わっても、風景は変わらない。
ノスタルジーである。
ちなみに、当然だが、私もカップリングできなかったのは言うまでもない。
兄たちのほっとする顔が目に浮かぶ。
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