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第25話「アスーカ教立図書館」

第25話

ご愛読いただきありがとうございます。

すでに、ブックマーク/星評価をつけてくださった皆様ありがとうございます!

馬車が止まり、我々が降り立ったのは宗教都市アスーカ。

祈りの声で優しく包み込まれる街。


高くそびえる大聖堂、荘厳なステンドグラスの窓、鐘楼から響く鐘の音。

長年の風雨にさらされた石畳の道、古びた壁のレンガ造りの建物、花々で彩られた窓枠や扉。

街の中心の広場、精巧に彫刻された噴水、緑豊かな庭園。


広場から四方八方へと伸びる小道があり、それぞれが異なる礼拝堂や神聖な場所へと導いてくれる。

夜はライトアップされた建物や道端のランタンが、静寂の中で温かい光を放ち、幻想的な雰囲気を醸し出す。


今日から1か月、我々1年生はここでアスーカ教について学ぶ。

・午前中はアスーカ教の重鎮を講師として招き講義を受ける

・午後は大聖堂や礼拝堂など歴史的に重要な建物を巡り祈りをささげる

週に一日だけ休日はあるが、どっぷりとアスーカ教に浸ることになる。


ただ、私の休日はすでに予定が入っている・・・。

・魔道具発明家イネザベス・クスヴァリ

・彼女の一番弟子であり、私のアシスタントである魔道具発明家カコレット・サハナイト

この2人と一緒に博物館や図書館を巡る予定になっている。


この2人はどちらも大人しくしていれば美貌が際立つ美女である。

外野からの視線が気になってしょうがない。


しかし、根っからの発明家であり、独特のオーラを纏っている2人に色気はなく、周りの男性陣から羨ましがられるようなことは何もない、変わってもらいたいぐらいだ。


・・・・・・・・・・


アスーカ教立図書館。


魔法陣の書物が私の前にどんどん積まれていく。

イネザベスとカコレットが、あれもこれもと持ってくる。


トシード:「そ、そんなに読めます?」

イネザベス:「えっ、なんで?読めないの?」

トシード:「い、いやー。読めますけど、そういうことではなく、量が多すぎないかと・・・」

カコレット:「読むまで帰れませんよ、ふっふっふっ」


イネザベスは、おっとりとしたトロンとした目で見てくる。

沈黙のプレッシャーがすごい。


カコレットは、きりっとした鋭い目で見てくる。

これもまた沈黙のプレッシャーがすごい。


さすが師弟コンビ。

逃げれる気がしない。


イネザベスとカコレットが探しているのは、大魔導士キヨフレッドが創った超魔法の魔法陣だ。

2人は必死に探しているが、まあ、見つかることはない。

キヨフレッドだったころの私は自分の開発した魔法陣を書物で残したことはないのだから。


カコレット:「あ、あったーーー!」

トシード:(えっ、うそ、なんでーーー)

イネザベス:「ほんとうか!」

カコレット:「はい!ここです!ここの文字です。キヨフレッド・フォン・ヒーゴと書いてあります」

イネザベス:「うほほー。本当ですねーーー。トシード!この文章を訳して!はやく!」

カコレット:「はやく!はやく!」


私はそのページが開かれた書物を受け取る。

イネザベスとカコレットがワクワクしながら覗き込んでくる。


トシード:「お二人とも、近いです。近いですから。文字が読めませんよ」

イネザベス:「おお、ごめんーーー」

トシード:「それと静かにしましょうね。ここは図書館ですよ」


イネザベスとカコレットは静かにちょこんと姿勢を正し椅子に座りなおす


トシード:「では、読みますね。」

イネザベス、カコレット:「よろしくお願いします。大先生」


トシード:「では、読みますね」


・・・・・・・・・・


トシード:「大魔導士キヨフレッド・フォン・ヒーゴの強大な魔法の考察。と書いてあります。どうやらこれはキヨフレッド本人が書いたものではないですね」


イネザベス:「そうか~、それは残念だが、続きを教えてっ」


トシード:「大地を焼き尽くす10本の大炎柱。これは古代魔法陣“炎”を元に創られたと考える。古代魔法陣“炎”は1つの大きな炎の柱を発生させる。この魔法陣の柱数の部分を書き換えることで実現できる。ただし、膨大な魔力量が必要となる。というようなことが書かれていますね」


カコレット:「うーん、大魔導士キヨフレッドだから使える魔法陣ということか。いまだと、巨大魔石複数個を使わないとですね~」

と顎に人差し指をあて考えている。

無意識だろうが、かなり可愛い仕草である。

まわりに座っている男性陣は、本を読むのを忘れて、カコレットに釘付けである。


イネザベス:「そんな・・・。いやいや、いくら大魔導士キヨフレッドといえども、そんな魔力量はもっていないでしょう。持っているとしたら魔王ですよ」


トシード:(確かに、この魔法陣設計で10本の大炎柱を発生させることはできるが、そんなことができる魔力量をもった人間族はいないだろうね。もちろん、キヨフレッドだって無理)


カコレット:「でっ、では、キヨフレッドは魔王ということですか!?」

イネザベス:「ふふふ。いや、そんなことはないはずです。魔族と闘う人間族の英雄ですよ」

カコレット:「そ、そうですよね~」


トシード:(この2人は、当代を代表する優れた魔法研究者であるけど、いまのままだと答えにはたどり着けないだろうな。この魔法陣にはキヨフレッド特製の“増幅”の記述が抜けていますからね。それは門外不出というわけではないですが、どこにも記録を残していませんから。ちなみに、私が実際に使ったのは5本の大炎柱ですけどね)


トシード:「この書物が書かれたのはキヨフレッドが没してから50年後ですね。この作者は魔法が急速に廃れていくのを憂いて、自分の魔法研究を残したようですよ。はじめのページに書いてあります」


カコレット:「そっ、そっか~、残念。気を取り直して次を読むぞーーー」


トシード:(元気ぃーーー。諦めるとか、ちょっと休憩とかないのね・・・。うーん、これは何か良い魔法陣を見つけないと終わりそうにないな)


私は、書物確認の速度を上げる。

2人が喜んで研究に没頭できるような題材となる何かを求めて。

最後までお読みいただきありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ぜひ、

・ブックマーク

・下の評価で5つ星

よろしくお願いいたしますm(__)m

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