第24話「感の鋭い母ウティルダ」
第24話
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神聖ヤマノーフ帝国には、宗教都市アスーカがある。
そこはアスーカ教の聖地であり、大聖堂や礼拝堂などが建ち並ぶ。
戴冠式はアスーカ教皇によって行われ、皇帝が戴冠されることで正式に帝位に就くことができる。
つまり、神聖ヤマノーフ帝国では、教皇が最上位の存在である。
なお、エドザー王国の国教もアスーカ教である。
そして、王立学園1年生の最後に、この宗教都市アスーカの研修旅行がある。
この研修旅行後には、たくさんのカップルが成立しているという、伝統のイベントである。
我が父カフレッドと母ウティルダも、この研修旅行でカップルになったと聞いている。
長兄イサルトは、ここでカップルになれず、より一層、剣に打ち込んでいる。
次兄ソウミリアンも、ここでカップルになれず、より一層、剣に打ち込んでいる。
ふたりの食事中の会話を聞いていると、いろいろあったようだが、結果としてはそういうことだ。
最近、夕食の場で、イサルトとソウミリアンが警戒心を私に向けてくるのがわかるが、直接的には、「そのあたりどうなのか」というようなことは聞いてこない。
そもそも私が盾スキルと判明してグレてからは、剣スキルを持った父、長兄、次兄とはほとんど話したことはない。
私が3人との間に溝を作ったのもあるが、それを乗り越えてこようとはしない3人でもある。
まあ、自分で言うのもなんだが、グレてからのトシードは非常に扱いにくい性格になっている。
心ではそんなことするつもりはなくても、なぜかそうしてしまっている。
やらない方がいいとはわかっているのに。
特に執事や侍女には申し訳ないことをしてきたものだ。
すべては“剣の名門”エチゼルト家という固定観念が悪いのである。
つまりは、エチゼルト家において、私は落ちこぼれなのである。
他に何ができても、この家では剣ができなければ認められないのである。
・・・・・・・・・・
ウティルダ:「トシード。もうすぐアスーカ研修旅行ね」
トシード:「はい、来月です」
ウティルダ:「懐かしいわね~、あなた。ふふふ」
カフレッド:「うっ、ゴホン。そ、そうだな」
父の頬が少し赤くなる。
きっと余計なことを言わないでほしいと思っているのだろう。
母はそれから懐かしそうに思い出話を容赦なくする。
妹のミレノアは、食事をするのを忘れて、目を輝かせながら聞き入っている。
ウティルダ:「ねっ、あなた!」
カフレッド:「そ、そうだな・・・」
ようやく思い出話から解放された父はそそくさと書斎へと引き上げていった。
仕事が残っているらしいが、本当かどうかはあやしいところだ。
母が、ふふふと笑顔で父を見送っている。
・・・・・・・・・・
母と妹は一週間の王都での滞在を終え、エチゼルト伯爵領へと戻る。
ウティルダ:「トシード、あなた少し雰囲気が変わったわね」
トシード:「えっ、そっ、そうですか?」
ウティルダ:「ええ。学園のお友達の影響かしらね?」
トシード:「そっ、そうですかね・・・私は、特に変わりはないと思いますが・・・」
ウティルダ:「ふふふ、まあいいわ」
そういいながら母は馬車へと乗り込む。
私は手を振って、母と妹を見えなくなるまで見送った。
久しぶりに母の優しさに触れた一週間は嬉しかった。
しかし、ヤバイヤバイ。
確かに最近は気が抜けているかもしれない。
グレているままを演じなくてはならない。
私は今一度、自分の状態を確認する
・盾スキルが高いことは示してよい
・魔道具作りの天才であることになっている
・魔法が使えることは隠す
魔法が使えると、敵対関係にある魔族と疑われるから
注意しないといけない人物は
感の鋭い
・母ウティルダ
・執事コグス
大魔導士キヨフレッドを研究している
・三賢カンベルトゥス・クロヌス
人族に成りすましている魔族
・五剣イトゥリアム・フォン・オルワン
いったん、こんなところか。
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