第23話「魔石通話器”モシモシ”」
第23話
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1年生の魔道具コンテスト。
最優秀賞をとったのは、魔石通話器”モシモシ”だ。
1対の半球の魔道具であり、くっつけるとこぶしほどの大きさの球になる。
半球の中には、極小サイズの黒の闇属性魔石と魔法陣が刻まれた金属板が入っている。
半球にあるボタンを押すと、相手方の半球でジリジリジリーンという音が鳴る。
相手方の半球のボタンが押されると、お互いに小さなテレポートホールが発動し、その穴を通して、お互いの声が聞こえるのだ。
必要最低限の粗削りな機能とデザインだが、その新規性と利便性から、大絶賛を受けた。
もちろん、受賞者は私こと、“天才”のトシード・フォン・エチゼルトである。
トベルトが歯ぎしりをしながら、おもいっきり悔しがっている。
イネザベス:「トシード君、おめでとう。これは表彰状と副賞の大サイズの土属性魔石です」
トシード:「ありがとうございます」
イネザベスから握手を求められ、それに応えると。
彼女は顔を私の耳元に寄せ、ささやいた。
イネザベス:「後で学園長室に来てください。魔石通話器”モシモシ”の特許化の話をしましょう。これは大きなビジネスが期待できますよ。今後の研究費を稼ぎましょう~。ふふふ」
トシード:「は、はい・・・、そ、そうですね;;;」
いつの間にか、私は、研究チームの一員になっているようだ・・・。
どうやって断ろうか・・・。
・・・・・・・・・・
学園長室のドアをノックするのとほぼ同時に、ドアが勢いよく開かれた。
イネザベス:「おそーーーい。さあさあ、早く入って!」
三賢モジャー・モーリンが学園長の椅子から立ち上がり、笑顔でおいでおいでしている。
特許化書類の説明とビジネスの話は早々に終わり、あとは2人からヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典の解読についていろいろとしつこく聞かれた。
たまたま見つけただけで、詳しいことはそんなにはわかってないですよ~
と言い続けたが、どこまでごまかしきれたかは不明だ。
最後に
・ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典の解読に協力すること
を約束させられ、私は解放された。
今後は、魔石教育の授業は免除になり、そのかわり、その時間でヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典の解読をやらされることになった。
しかも、アシスタントをつけてくれるそうだ。
サボらないように見張られるということか・・・。
でも、ここで必要な魔道具を開発しておけば、私が魔法を使ったときのカモフラージュに仕えるのだから、Win-Winの関係でもある。
天才の域を超えないように、取り組もうと思う。
のらりくらりと、ほどほどに進捗を出しつつやっていけばちょうどいいかもしれない。
・・・・・・・・
放課後。
トシード:「センナさん」
センナが振り向き、私にかわいい笑顔をくれる。
箱を取り出し、センナに渡すと、彼女は嬉しそうに中身を確認する。
そして、
センナ:「ありがとうございます」
と言い残し、大事そうに抱えて急いで帰っていった。
いったいセンナは誰にプレゼントするのだろうか、気にならないと言えば噓になる。
気になりつつも、私も帰路についた。
・・・・・・・・・・
私は、自室で、火魔法と風魔法で、デスクの上のランプを灯したり、消したりしながらボケーとしていた。
ノックの音が聞こえ、私はあわてて、火を消し、ドカドカっと、デスクの上の本を落としてしまう。
トシード:「どっ、どうぞー!」
執事コグス:「どうなされましたか?」
トシード:「い、いや。なんでもない」
執事コグス:「トシード様にプレゼントが届いております」
トシード:「そ、そうか。(デザートではないのだな)」
コグスが本を片付けている間に、私はリボンを解き、プレゼントを確認する。
トシード:「こっ、これは・・・」
執事コグス:「何かほかに御用はありませんか?紅茶と菓子など」
トシード:「そっ、そうだなー」
ジリジリジリーン!!!
トシード:「コグス!もういいから、出ていくのだ!何もいらん!」
コグスが丁寧に一礼をして出ていくのを、まだかまだかと待つ時間が長く感じられる。
ジリジリジリーン!!!
半球のボタンを急いで押す。
トシード:「もしもし!」
センナ:「トシードさんですか?センナです」
トシード:「は、はい。トシードです!」
センナ:「ふふふ。どうしたのですか?そんなに急いでお話しされて」
トシード:「い、いえ。すみません。ちょっと手間取ったもので」
センナ:「今日は魔石通話器”モシモシ”をありがとうございました。これで毎晩、トシードさんにおやすみなさいを言えますわ。ふふふ」
センナと取り留めもない話をして、最後におやすみを言った。
なんとも幸せな時間だった。
これが毎晩できるなんて、なんて素晴らしい魔道具だろう。
魔道具って素晴らしい。
前言撤回だ。
俄然、新魔道具開発にやる気が出てきた。
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