第22話「魔法陣のデザインルール」
第22話
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それから3週間、図書室に籠って時間をつぶした。
残り1週間で魔道具コンテストなので、そろそろいいだろう。
私はイネザベス先生の研究室のドアをノックした。
返事がない。
もう一度、大きめにノックする。
返事がない。
もう一度、さらに大きく、ドンドンドンとノックする。
返事がない。
絶対に中にいることはわかっている。
ガンガンガンと、リズミカルでとても大きな音が中からしているから。
私は思い切ってドアを開ける。
イネザベス先生は、金槌で魔石を粉砕しているようだ。
よーく見ると、耳栓!!!してるーーー。
そりゃ、ノック聞こえないよね・・・。
風魔法で少し強めの風をイネザベス先生にあてる。
まるでドアから風が吹き込んできたかのように。
イネザベス先生は手を止め、ゴーグルを外し、こちらを振り返る。
魔石の粉が飛んだじゃないか邪魔すんな、と言いたげな渋い顔が、嬉しそうな顔に変わっていく。
イネザベス:「おやおや、トシード君じゃないですか、もしかして、もしかしてですか?」
トシード:「もしかしてって???」
イネザベス:「いえいえ、それでテレポートホールの魔法陣は見つかったのですか?」
トシード:「はい、見つかりました」
イネザベス:「ほほー、すごいですね。どれですか?」
ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典の該当ページを開いて渡すと、
イネザベス先生は、しばらくそのページにジッと見入っていた。
そして、顔を上げると、落ち着いた声で、
イネザベス:「トシード君」
トシード:「はい」
イネザベス:「すみませんが、説明をしてください」
トシード:「はいっ?」
イネザベス:「ですから、このページに何が書いてあるのかを教えてください」
トシード:(・・・、どういうこと???)
私はテレポートホールの魔法陣について書かれていることを伝えた。
魔法陣のデザインにはルールがある。
基本部分は、魔力種類の記述、必要魔力量の記述、魔力変換の記述、魔力増幅の記述、魔力出力の記述である。
テレポートホールであれば、
魔力種類=闇
必要魔力量=0.3
魔力変換=テレポートホール
魔力増幅=ボリューム1
魔力出力=ステイ
という記述になる。
こんなことは基礎知識であるはずと思っていたのだが・・・。
イネザベス先生の目が♡になっている・・・。
どうやら違ったらしい・・・。
これは、まずい、非常にまずい、そんな予感しかしない・・・。
イネザベス:「トシード君!!!すごいです!!!大好きです!!!師匠と呼ばせてくださいぃぃぃ!!!」
トシード:(やはりそうかぁぁぁーーーーー、イヤな予感が的中ーーーーー)
この後、興奮状態のイネザベス先生は、私の手を握ったり、私に抱き着いたり、私の頬にキスをしたりしながら、早口でいろいろ研究のことを話してくれた。
魔法陣の解明は、
・理論部分は、かつて存在したいくつかの魔法王国の魔法陣辞典の解読
・実験部分は、魔法陣と魔石の組み合わせをともかく試す
この2通りだそうだ。
これにより、いくつかの魔法陣は実用レベルで使えるようになっているが、
実は、そのすべてが実験による成果だ。
なぜかというと、かつて存在した魔法王国の魔法陣辞典は、各国特有の古典語で書かれており、しかも、それを翻訳するための言語辞典が不完全なのである。
だから、まずは、各国特有の古典語の研究から始めないといけない状況なのである。
たしかに、イネザベス先生がくれたヒーゴ魔法王国特有の古典語を教会で使われる古典語に訳すための言語辞書はひどいものだった。
そもそも間違っているところ、微妙に間違っているところがたくさんあって、この辞書を使って翻訳すると意味が分からないものになってしまい、余計に理解を邪魔することになってしまう。
しかも、ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典はもっとも難しい辞典の1つらしい。
イネザベス先生は「きっと、見つかるわよ。テレポートホールの魔法陣」といっていたが、そんなことは思っていなかったということか・・・。
騙された・・・。
それに、いろいろな魔法陣を比較して、魔法陣のデザインにルールがありそうなことは、経験的にはわかっていたようだが、完全な理解はできていないらしい。
これについても、余計なことを教えてしまった・・・。
なかったことにしてほしいが、記憶を消去する魔法はないからなぁ~、ああ、昨日に戻りたい・・・。
イネザベス先生が窓の外に向かって
「てんさーーーい」
と叫んでいる。
そうだな、私は天才ということにしておこう。
ちなみに、最高難易度の2つの魔法陣辞典は
・ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典
・キシュレアン魔法王国の魔法陣辞典
である。
確かに、ヒーゴとキシュレアンは当時の2大魔法国であった。
だからこそ、滅ぼされたのだ。
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